「ハァッ!!ハァッ!!ハァッ!!ハァッ!!」
(クソッ!!クソッ!!クソッ!!クソッ!!)
どうしてこんなことになった?!!!
人通りの少ない街の裏路地をただひたすらに、
走る
走る
走る
まだ見えない。
まだ追いつかれていない。
近くの壁へもたれ掛かり、乱れた息を整えながらぼんやりと電灯に照らされた路地の虚空を睨む...。がやはりあの『赤い光』は居ない。
「ハっ、ハハハハッ...」
どうやら逃げ切ったらしい。
(俺以外の逃げ遅れたヤツらも気がかりだが、俺はまだ捕まる訳にはいかない)
そうだ...。普段何かとイチャモンをつけてきてウザったいとは思っているが連中に...、『サツ』に。サツに伝えに行かなければ...。
あんなヤツらが...、あんなものが街に潜んで...ッ?!!!
皿が割れたような甲高い音が鳴ったと同時に突如として足に激痛が走り、まともに立っていることができなくなる。
咄嗟に手を付き顔面から崩れ落ちることを免れた俺は自分の足元を見やるとそこにはダーツのようなものが刺さっていた。
カツッ... カツッ... カツッ...
路地の暗闇の向こう側からゆっくりと歩み寄ってくる『赤い光』を見た。見てしまった。
「あ...、アァ...ッ」
『これはこれは...、随分と探しましたよ。貴方の希望通りもう少し『鬼ごっこ』に付き合って差し上げたいのも山々なのですが私達にも事情というものがございまして...。長居はできないのです。あぁ、足のソレについてはご安心ください。単なる麻酔弾ですよ。もっとも火薬発射式なので酷く痛みますが...。貴方は他の方々に比べて元気が過ぎます。もし移送中に怪我の一つでも負ってしまっては申し訳ないので...』
耳障りの良い女声の機械音声。気遣わしげに語りかけてくるソレは、却って不気味な印象を受ける。
『さぁ、私達と一緒に行きましょう。鬼ごっこももちろん良いのですがもっと楽しいことも沢山あります。それに貴方達の協力を得てまた一歩進むことができたのなら...』
『ツィリーナが喜びます』
・例のモヒカン君の一人。他の仲間を囮に何とか逃亡。警察に行こうとしたけど捕まっちゃった。
・火薬発射式の麻酔銃。狂愛さんのガントレットに装備されているセミオートライフの弾薬バリエーションの一つ。非殺傷での捕獲を目的としているけど結構痛い。
・ツィリーナが喜びます。進むが2つも望まないタイプの人(逃げずに一つ、進んでも一つ)