リバティニア
補助龍 6641dc4fb6
2023/12/13 (水) 21:17:39
「ローゼンバーグ王立陸軍大将閣下。例の報告書が完成致しました」
ローゼンバーグが部下から用意された報告書を受け取り、読み始めた。
いつもと違う分厚い報告書を一枚一枚めくっていくうちにローゼンバーグの顔に笑顔が現れた。
チェコによる人道支援、軍による反乱軍の制圧、効率化された委任統治。まだ敵を完全に排除したわけではないが、彼が初めて銃を握ってから30年以上もの時の間、ずっと心待ちにしていた瞬間がついに訪れたのだ。
後はこの状態をこのまま完璧なまま保ち続けるだけで、元帥へ昇進できる。彼にとってこれ以上に幸せな事は何も無かった。
「それと、ローゼンバーグ王立陸軍大将閣下。本国より上物のスコッチが届いております」
「その木箱か?ここに置いておいてくれ」
「了解致しました」
彼には奴らとは違い優秀な部下がいる。彼には奴らとは違い優秀な兵士もいる。そして彼には奴らとは違い勝利を祝福してくれる物がある。ローゼンバーグは、今ある幸せで今を楽しもうと思った。早速部下の置いていった木箱を開けようと箱に手を伸ばし、箱を開けるため頭を下げたその時、唐突に彼は一つの違和感を感じた。スコッチが入っているはずである木箱の中から機械の動く音が聞こえるのだ。最初はあまり気にしなかったが、木箱を置いた途端に逃げるように部屋を出ていった部下の姿を思い出しローゼンバーグはそれが意味する事実を理解し、額に冷や汗が出るのを感じた。
爆弾だ。
ローゼンバーグはすぐに爆弾を遠ざけようとしたが、中の時限爆弾は、それを待ってはくれなかった。
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