…どう見ても異常だ。
確かに運転手は被弾してそのまま投げ出されたはずなのに、車はそのまま走り続けている。
どう見てもおかしいが、今はとにかく冷静に指揮を執り続けることが先決だ。
「追いかけろ! 追撃するんだ!」
「はい!」
「おい、いったいどうするんだ!?」
「この向こうに小さい飛行場がある! そこにある航空機を強奪するぞ!」
「本当にそれでいいのか!?」
「それしか手段がない!」
そう言うと、バンパーは車を急カーブさせて路肩の森へと突っ込んだ。
その動きに追手の車は対応しきれず、次々に急停止する。
「おい、事故るなよ!」
「分かってる!」
木々の間をすり抜けながら、車を全速力でかっ飛ばす。
追いかけてくる車も何台かいるが、木をよけきれずに衝突する車が相次いでいる。
「…よし、この調子なら逃げ切れる!」
「おい! 案外うまくいかなそうだぞ!」
軍用車に続き、次は半装機式オートバイが追いかけてきた。
後部座席から盛んに発砲しているが、逆に運転手を撃たれて無力化されていき
あの大型ヘリ以外の追手は全て撒けた。
「…よし! あとはヘリを奪うだけだ!」
…その途端、一気に視界が開けた。
目の前に滑走路が見える。
「あった! 飛行場だ!」
車体をドリフトさせ減速し、そのまま駐車する。
目の前には脱出に使えそうなセスナやヘリが駐機していた。
「おい、誰だあんた?」
1人の老人が近づいてきた。 多分ここの所有者か誰かだろう。
「さては強盗ーーー」
そういった瞬間、ポケットから拳銃を取り出そうとしたが…
「ちょっと借りるだけだ!」
そのまま殴り倒され、地面にぶっ倒れてそのまま気絶した。
死んでいないか心配だが、そんなことを確かめている暇はない。
「急げ! このままだと奴らにまた追われる羽目になる!」
「ああ!」
そのまま、全員でフロート付きの中型ヘリに乗り込んだ。(補足:Mi-14Pもどき)
「燃料は大丈夫か!?」
「全て大丈夫だ! 離陸するぞ!」
ヘリのエンジンを全開にして、そのまま離陸する。
トラストまであと少しだ…。