”ウォーデン”は咆哮を挙げながら地団駄を踏み…爆発的な脚力で踏み出して前進する。
小隊長「射撃開始!!」
号令と共に200丁に及ぶ銃火が解き放たれ、”ウォーデン”に襲い掛かるもその疾走は止まらない。自らを抑え込む火力が下がった事と、今まで全く動けなかった鬱憤を晴らせる事が”ウォーデン”を前に前に進めているのだ。
兵士「と、止まらない!!」
兵士「隊長!!後退指示をおねがいs…」
”ウォーデンは”その速度と圧倒的膂力をもって二つの拳によるダブルハンマーを陣形に向けて振り降ろす。土煙と赤い血肉が噴水のように吹き上がった。
それだけではない、敵陣のど真ん中に居る獣はその巨木のような腕を振り回し、周りに展開する兵士を蹴散らしていく。
兵士「ふげえっ」
兵士「おごばぁっ」
圧倒的膂力を持つ”ウォーデン”の腕に殴られた者達は、上半身を引き千切られたり腕や腹を潰される。
まだまだ終わらない。悲鳴や苦痛の声を挙げる兵士達を次の獲物として捉え、その剛腕を振り下ろそうとした時、その体を30mm砲弾が殴りつける。
“ウォーデン”は僅かに怯んだが、すぐさまその方向へ向き直ると突進を開始する。そこには砲塔を横向きにして射撃をしている歩兵戦車がいた。突進してくる”ウォーデン”に向けて必死に射撃を繰り返すが獣は止まらず、勢いのままに歩兵戦車の土手っ腹目掛けて体当たりをかます。
“ドゴンッ!!!”という音が響き、鉄やセラミックの塊である歩兵戦車が文字通りくの字に曲がる。体当たりの威力を殺しきれず、そのまま歩兵戦車はゴロゴロと地面を転がり、沈黙した。
しかし時間は稼げた。”ウォーデン”目掛けて兵員輸送車とその周りに居る兵士達が銃撃を浴びせる。しかし、今までに”ウォーデン”に致命傷を与えられたのは現状120mmや155mmの高火力砲である。そんなチンケな豆鉄砲で止まる相手ではないのだ。
しかし、兵士もそんなことは流石に分かっている。兵員輸送車から降りた一人の兵士がロケットランチャーを疾速する”ウォーデン”目掛けて発射する。
不規則な加速を行いながらも獣目掛けて飛翔する誘導弾、しかし銃弾とは違う自らに向かってくる音に反応した”ウォーデン”は腕を正確に振り抜き誘導弾を弾く、急に横から衝撃を喰らった誘導弾は”ウォーデン”の横に着弾し爆炎を咲かした。
兵士「ロケランを弾くなんて反則だろ!!」
兵士「クソッ!!止まれ止まれ止まれよぉ!!!」
銃撃を掻い潜り、勢いのままにウォーデンは兵員輸送車に向けて腕を振り下ろし、”グシャッ!!!”という音を起てて運転席を叩き潰す。あまりの衝撃に兵員輸送車の後輪が一瞬浮き上がる程だ。運転手は後ろの席と前の窓に潰され、弾け飛んだ体から出た血が”ウォーデン”の体を赤く染め上げる。