ローゼンバーグにとってノートンを始めとする将軍らはライバルと言える存在であると同時に様々な戦場を共に戦ってきた戦友と呼べる存在でもあった。しかし今回の出来事に関しては喜ぶべきであると言えるだろう。彼らはこれからの行動を妨害してくる可能性がある。それだけは避けなければならなかった。そのような不安も今回の出来事のお陰で完全に忘れる事ができるようになったのだ。プラカードを掲げ抗議運動を続ける群衆の声を聞きながらローゼンバーグは内務大臣に送る手紙の最後の一文字を書き終えた。
自身の机から葉巻を一本取り出し、火打ち石の心地良い音を鳴らしながら火をつけその芳醇な香りを楽しむ。視点を窓の外から机の上の時計へと移す。…そろそろ時間だ。外から10名ほどの足音が聞こえてくる。スケジュール通りに物事が進んでいる事はいいことだ。
「入ってきてくれたまえ」
アーニー・エマーソン・メイスやウォルター・パトリック・ハワード・ジュニアなど、その他多くの著名な人物が続々と会議室に入ってくる。皆笑顔でローゼンバーグの名を呼び握手をして軽い挨拶をしているが彼には彼らがどのような裏の顔を隠しているのかをよく知っていた。人は見た目によらないという言葉の意味を改めて実感する。
バンと勢いの良い音と共にローゼンバーグは立ち上がると「仲間たち」に向けはっきりと聞き取りやすい英語で話し始めた。
「さぁ諸君、今後の方針について話し合おう」
まだ、下準備に過ぎない
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