至って変わったところのない親子はヒーローの戦うテレビを見ていた
その様子はとても微笑ましく、1つの団らんが出来上がっていた。
『おとうさん!ゆーやもヒーローなりたい!かっこいい!』
『ふふ、ユウヤならなれるさ、身近にもヒーローがいるからな、さてそれはなんだと思う?』
『みじかな…ヒーロー?』
ユウヤと言われた少年は悩み出した。だがその顔は楽しそうに見えた。
『悪い人を捕まえたりしてるじゃあないか、それは誰だい?』
『わかった!けいさつさんだ!』
…………………
目が醒めた。懐かしい夢だった そして辛くもあった。
俺はそのヒーローとしてポリ公になれちゃあいなかったからだ…
今日もつまらないバイトだ、このまま苦しみ続けてサツになれずに死ぬと思うと苦しくなってくる。
変わらない交差点。同じように車や人が通る。
こんな景色に面白みなど欠片さえ無かった。子供が歩く。車は走る。
ただ… その車は信号無視、無慈悲に子供の渡る歩道に突っ込んできた。
許されない ましてや子供を。ただ俺はこのままではただの目撃者だ。
こんなところで生きるのも辛いし、どうせなら最後にヒーローのように、そして愉快に死にに行ってやろう。
「どらああああああッ この子供を歩道に…ぶっ飛ばす!」
ものすごい勢いで突っ切って子供を掴み、歩道にぶん投げた。怪我してても、死ぬよりかマシだ。
そして、その次に何が起こるのか予測できる。俺はこのまま車に突っ込まれて………死ぬ
「アッ↑」\ゴシャァァ…/
確実に、死んだ。
このあとの出来事は覚えていない。なぜなら…
マジでわけわかんねー場所にいたからだ。
病院ならまだわかる。それなら死に損なっただけと合点がいくのだ。だが
道路でもなければ家でもない。平原のど真ん中。理解が追いつかなかった。
今、俺がどうなっているかと言うと、女になってた。
いやなんで?なんでキャバ嬢みたいにケモ耳や尻尾とか普通にあんの?
巨乳にジャケットにミニスカとか…それ洒落ならないくらいに恥ずかしいから。
とりあえず何故か置いてあった俺がおしゃれするときの服があったからそれに着替えることにした。
胸はサラシで押し潰して。これ恥ずかしいどころか動きずらいからな。アニメキャラはなんであんな動けてんのか不思議だよ。
そして手元には…
意外ッ!それはリベリオン!(dmc参照)
まあ随分と敵がいたらヌルゲーになりそうな大剣が手元にあった。
ようするに、俺は異界送りにされてしまったってわけだな。
とりあえず俺は道無き道へと進み出した。行動しなけりゃなにも生まれないからな。
ナアナアナアナアナアッ!!
あんた未完のSSが二つあるでしょうが!!そっちはどうするんですか!?
しかも異世界転生なろう野郎じゃあねーか!!(決してなろう小説を罵倒している訳ではありません)
逆に追い込むッ!これが私のやる気の出し方さァーッ!!
出だしでけものフレンズじゃないのかと思ってしまった(笑)
私も作ってて思った
七日間色々探検しながらすごしたところ、そんなベリーハードな世界じゃなかったみたいだった。
いや普通リベリオンとか持ってる時点で多分人生イージーモードだが。
声をかけるものはこちらには敵対してこなく、無邪気に向かってくるのもいればやや警戒しがちなものもいたが。
俺は元から適応能力が高いらしく、だいぶここには慣れてきたので考えてみれば確かにそうかもと思った。
ある日、いつものイージーモードが始まると思い探検していると…
「姉様は仲間がいたら連れてきてほしいと仰っていましたが…そう簡単に見つかるものでしょうか…?」
仲間?仲間を探しているのか。轢かれる前は警察にはなれなかったからここでは少しでも警察らしいことをしてやろうと思った。
と言うか俺も最初そうだったがミニスカとか恥ずかしくないのだろうか。
いや、俺は仮にも女じゃなかったから女の子のオシャレとかよくわかんないんだがな。
「※Ciao,figlia. 誰かお探しかな?」(※こんにちは、お嬢さん。)
俺はイタリア語で挨拶するというシャレたことをした。
その子は普通に振り向いたかと思えば、俺の姿を見るなり驚愕していた。
アレ?顔になんかついてる?俺って不潔? それとも何か。このリベリオンにビビったのかね。
その子はこっちに近づいてくると、俺にこう言った。
「貴方、私と同じオオカミのくせに何ほっつき歩いてるんですか!早くお姉様の元に向かいますよ!」
……えぇ? 急になんだこの子は。 事情もクソも話さずに言わないでくれ。
とりあえず俺はその子に問いかけた。
「おいおい なにをそんなに おこっ「えっ まさか私たちオオカミ連盟をしらないのですか!?」
「きれぼし脳の言葉になっちゃったじゃないか… まぁいいや オオカミ連盟とは?」
「オオカミ連盟は私や貴方みたいなオオカミのフレンズが集まる連盟のことです。」
「あら意外と簡潔… とりあえずオオカミである俺はそこに行けばいいワケ? あとフレンズって何だよ」
「フレンズのことは現地で言います とりあえず私についてきてくださいね? お姉様が待ってるんです」
「そう…(無関心) ところであのド■クエでスライムとして出てきそうなやつはなに?」
「っ…… セルリアン…!」
セルリアン?なにか良く分からんが危険なんか? なんか俺の危険センサーか何かがそう言ってるんだけど。
とりあえずやべーものは殴れ。丁度こっち気づいてるみたいだしな。
「気づかれている…! 助けを求めないと…って えぇ!?」
「とにかく殴れ!やばそうなら殴る! 俺の決まり事だね」
俺は手にしたリベリオンで斬りかかる。兜割りがセルリアンとやらの脳天に直撃。
いや、こいつの脳天ってどこかわかんないんだけどな。 とりあえずそれらしい場所に。
「ムゥん!」
「な……… 何やってんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!????」
とにかく俺は見よう見まねのダ■テの剣技をセルリアンとかいうのに浴びせてやった。
これは結構削れてる。
と、急にさせまいと思ったのか触手っぽいので攻撃してきた。
無駄無駄。今の俺は身体がめちゃくちゃ軽い。いとも容易く華麗に避けてやった。
そしてトドメにようわからん力をリベリオンに込めて…
「Drive!!」
衝撃波でぶっ壊してやった。もしかしたら うんが わるかったんじ ゃ ないかな。
俺はリベリオンをしまい、オオカミの女の子の方を向いた…ら、また驚愕していた。
「せ、セルリアンをたった一匹で…」
「いや別に凄いわけじゃないよ♂(レ)」
ドヤるのはノンケだけです、みたいな感じになった。
そんなやり取りをしていると…
「大丈夫!?なにかあったの!?イタリアオオカミ!?」
「お姉様!?」 「えっなにこれは」
誰かやって来たようだ。そして出会ったオオカミの名はイタリアオオカミだったみたい。
「へぇ~…そんなことがあったのね…」
「はい」
イタリアオオカミは現れた女性と会話していた。それもオオカミっぽかった。
俺はなんか面倒くさいことになりそうだと思い、逃走を図った…が。
「ところで…セルリアンを倒した本人のあなたは何をやってるの?」
「ニャニィ────ッ!? ば、バレたァ!?」
「お姉様の目の前で逃げようなんて許せません!」
「ち、違うよ────ん ボクちんほかのセルリアンとかがいないか探してただけ…「問答無用!」ぎゃパァ───ッ」
そのままズルズルと引きずられながらオオカミ連盟の本部に連れていかれることになった。
そのあとと言うと…………
「いやあ、まさか私たちのなかまにこんな強いやつがいたとはなァ」
「凄いよ凄いよ!あんなおっきいセルリアンを一匹でやっつけちゃうなんて!」
こういう風に、ほかの仲間たちからベタ褒めであった。
それもそうだ。あんな一回り大きいセルリアンを一匹で相手するのはまさしく自殺行為。
そんなことを一人で平然とやってのけ、そのうえ生き延びて帰ったどころかやっつけてしまったからである。
だが当の本人はあまりいい気はしなかったようで。
「……あなた 逃げようとする必要あった?」
「わからない」
「………………」
イタリアオオカミはため息をついた。
そして、聞いてもない新しいオオカミのフレンズの発表が始まった。
「……ということで、オオカミ連盟に新しい仲間が加わることになったわ」
「しかも巨大セルリアンを討伐した期待の新人。これから私たちの力になるはずよ」
「…で、あなた名前は?」
「名前、かぁ…」
一番答えるのに辛い質問が来た。どうすればいい?
幸也 と言う誇りある我が名を名乗るべきか、あるいは動物名か。
だが本名を名乗れば困惑するだろう、かと言って動物名わかんないし。
ならば、答えは後者だ。
「俺…名前知らないんだ」
「「「「え」」」」
「わからないから自由に呼んでくれ、俺はオオカミだけしかわかってないんだ」
決まるのには小1時間かかった。結果的に決まったのはノエルと言う名前であった。
普通なら女性の名前だと思われがちだが、ヨーロッパ系では男の名前である。
しかもラテン語のnatalis=「誕生」が語源という事実なので、もしかすると凶星の「誕生」とかけてたりしてなんて。
ここでも引用。
「ノエル、少し頼みたいことがあるけどいいかしら」
リーダーからの頼み事だ。そういえば忘れていたがリーダーの名前はタイリクオオカミと言うらしい。
「なんすk…」
「ノエル…」
実はイタリアオオカミにはリーダーには敬語を使え、と釘を刺されている。
もし言い切っていたら破壊力Aのラッシュを喰らわされるところかもしれなかっただろう。
「え、えと…どう言ったご要件でしょうか…?」
「あはは…あんまり気にしなくていいわ。それより、頼み事と言うとあなた、新人として来たのよね?」
「ハイ、半強制的デスガ…」
「あなた以外にも新人が来てたのよ。その子、あなたと違って気弱な子なの。」
「だから、少しでも慣れるようにメンタルケアの係を任せたいのだけど、いいかしら?因みにニホンオオカミも担当してるわ。」
「かしこまっ! …そしてヌゥん!!」
俺の脳天めがけて振り下ろされたイタリアオオカミの手刀を俺は白刃取りすることに成功した。
「なっ…」
「オイオイ、メンタルケア係として安心してもらう為に今のやったんだぜ? 空気読んでくれよ…」
イタリアオオカミは悔しそうな顔をして黙った。
「それで、この子が別の新しい子よ。あんまり刺激しないであげて頂戴ね。」
「あ、アードウルフ、です…」
言葉が出なかった。俺は気弱どころの話じゃないと思ったからだ。
絶対何かされただろ、と思うほか無かった。俺にこの子のココロが照らせるのか、と悩んでしまった。
「…ノエル? 何かあったの? 急に黙り込んで…」
「…あ! あぁ~ アッハハハハハ! ちとあまりにも美人だったんで見とれちまったのよ~!ヤダー俺って女たらし~」
「あの…何か…すみません」
「お、おいおい気にすんなよ~!急に謝られたからノエルくんびっくりしちゃった!」
勿論、見抜かれていただろう。イタリアオオカミも様子が違うみたいな顔で俺を見てるし、
タイリクオオカミに限っては辛そうな顔をしている。
まぁニホンオオカミとかいうアホの子には見抜かれなかったが。コヨーテは顔には出さないがきっと気付いているであろう。
自分の自信がへし折られた気がした。あとイタリアオオカミに殺されるかも。
「ほ、ほら!これも可愛いだろ!ほらこれも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!」
ノエルこと俺は、アードウルフに笑ったり元気を与えようと、いろいろ試していた。
俺たちはショッピングモールらしきところに行き、可愛らしいぬいぐるみを探しては、
喜んで貰えるように、ちょっとした腹話術もしてみせた。
「やぁアードウルフちゃん!ぼくはテディベアくんだよ!どうしたの!笑って笑って!」
こうやって子供に喜んでもらおうとしてかじった腹話術。だが笑ったのはニホンオオカミだけだった。
「あははははは!すごいすごい!本当に喋ってるみたーい!」
「お前じゃないんだよなぁ… 気に入ってくれたのは嬉しいけどさ」
こうしてどんどん俺の自信が崩れていく。だがこんなことで凹んでる暇はない。
他にも色々試したが、どれも上手くいかなかったようで。
「なぁなぁニホンオオカミ、なんかちょっとでもええ案出してくれてもエエんとちゃう?」
「うーん… わかんない!」
「このポンコツは…」ギリギリギリギリギリ…
「いいんです、私なんてこんなつまらないフレンズですから…」
「う…ぐぅ…」
正直、心が折れそう。なんかいろいろ否定された気分になった。
だがそれを少しでも言うと余計気を使わせてしまうだろうから黙るしかなかった。
ニホンオオカミもあんまり怒鳴ったりドス聞かせたりすると凹むだろうし。
というわけで、今回はダメだったという結果を持って戻ることにした。
「結局収穫なしか… でも引きつった笑いが見られないのがまだ助かるところかな…」
「収穫ならここにあるよ!ほら!」
さっき俺が腹話術で使ったテディベア。俺はため息をついた。
しかも「帰ったらまた見せてくれる?」とのことだ。やれやれだ。
なんてやり取りをしてると、最悪なタイミングで…
「あぁ…あぁ…!」
「ひ──────────っ! 嘘でしょ────!?」
セルリアンの大群だ。だが、大型は幸いなことに一体だけだった。
「あ~… まぁあれくらいなら大丈夫…かな?」
「むてきのけんぎでなんとかしてよォ───────ッ!」ワクワク
「んなワクワクしながら言われても…」
ここからはニホンオオカミ、私が思ったことを言っていくよ。
やはりきょだいなセルリアンをひとりでやっつけたノエルにとってはあんなセルリアンのたいぐんは烏合の衆!
そこらじゅうたくさんいるセルリアンをばっさばっさとやっつけていっちゃったの!
しかもあの動き、ムダがない! まるでおどりながらやっつけているような動き!私はこれが見たかったんだ!
そして…
「フゥゥゥゥゥゥ~~~~ これで全滅かな…?」
「わああああああああ…! 噂以上のかっこよさだよ~~~~~!」
「す、すごい…!私にはとてもできない…!」
「見惚れてるところ悪いケド早く帰りましょ 結構遅くなってそうだから」
ノエルは収穫がなくガッカリして、アードウルフはまだ驚いている様子で、ニホンオオカミはとてもうれしそうという、いろいろめちゃくちゃな結果で帰ることになった。