「ほ、ほら!これも可愛いだろ!ほらこれも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!」
ノエルこと俺は、アードウルフに笑ったり元気を与えようと、いろいろ試していた。
俺たちはショッピングモールらしきところに行き、可愛らしいぬいぐるみを探しては、
喜んで貰えるように、ちょっとした腹話術もしてみせた。
「やぁアードウルフちゃん!ぼくはテディベアくんだよ!どうしたの!笑って笑って!」
こうやって子供に喜んでもらおうとしてかじった腹話術。だが笑ったのはニホンオオカミだけだった。
「あははははは!すごいすごい!本当に喋ってるみたーい!」
「お前じゃないんだよなぁ… 気に入ってくれたのは嬉しいけどさ」
こうしてどんどん俺の自信が崩れていく。だがこんなことで凹んでる暇はない。
他にも色々試したが、どれも上手くいかなかったようで。
「なぁなぁニホンオオカミ、なんかちょっとでもええ案出してくれてもエエんとちゃう?」
「うーん… わかんない!」
「このポンコツは…」ギリギリギリギリギリ…
「いいんです、私なんてこんなつまらないフレンズですから…」
「う…ぐぅ…」
正直、心が折れそう。なんかいろいろ否定された気分になった。
だがそれを少しでも言うと余計気を使わせてしまうだろうから黙るしかなかった。
ニホンオオカミもあんまり怒鳴ったりドス聞かせたりすると凹むだろうし。
というわけで、今回はダメだったという結果を持って戻ることにした。
「結局収穫なしか… でも引きつった笑いが見られないのがまだ助かるところかな…」
「収穫ならここにあるよ!ほら!」
さっき俺が腹話術で使ったテディベア。俺はため息をついた。
しかも「帰ったらまた見せてくれる?」とのことだ。やれやれだ。
なんてやり取りをしてると、最悪なタイミングで…
「あぁ…あぁ…!」
「ひ──────────っ! 嘘でしょ────!?」
セルリアンの大群だ。だが、大型は幸いなことに一体だけだった。
「あ~… まぁあれくらいなら大丈夫…かな?」
「むてきのけんぎでなんとかしてよォ───────ッ!」ワクワク
「んなワクワクしながら言われても…」
ここからはニホンオオカミ、私が思ったことを言っていくよ。
やはりきょだいなセルリアンをひとりでやっつけたノエルにとってはあんなセルリアンのたいぐんは烏合の衆!
そこらじゅうたくさんいるセルリアンをばっさばっさとやっつけていっちゃったの!
しかもあの動き、ムダがない! まるでおどりながらやっつけているような動き!私はこれが見たかったんだ!
そして…
「フゥゥゥゥゥゥ~~~~ これで全滅かな…?」
「わああああああああ…! 噂以上のかっこよさだよ~~~~~!」
「す、すごい…!私にはとてもできない…!」
「見惚れてるところ悪いケド早く帰りましょ 結構遅くなってそうだから」
ノエルは収穫がなくガッカリして、アードウルフはまだ驚いている様子で、ニホンオオカミはとてもうれしそうという、いろいろめちゃくちゃな結果で帰ることになった。