「へぇ~…そんなことがあったのね…」
「はい」
イタリアオオカミは現れた女性と会話していた。それもオオカミっぽかった。
俺はなんか面倒くさいことになりそうだと思い、逃走を図った…が。
「ところで…セルリアンを倒した本人のあなたは何をやってるの?」
「ニャニィ────ッ!? ば、バレたァ!?」
「お姉様の目の前で逃げようなんて許せません!」
「ち、違うよ────ん ボクちんほかのセルリアンとかがいないか探してただけ…「問答無用!」ぎゃパァ───ッ」
そのままズルズルと引きずられながらオオカミ連盟の本部に連れていかれることになった。
そのあとと言うと…………
「いやあ、まさか私たちのなかまにこんな強いやつがいたとはなァ」
「凄いよ凄いよ!あんなおっきいセルリアンを一匹でやっつけちゃうなんて!」
こういう風に、ほかの仲間たちからベタ褒めであった。
それもそうだ。あんな一回り大きいセルリアンを一匹で相手するのはまさしく自殺行為。
そんなことを一人で平然とやってのけ、そのうえ生き延びて帰ったどころかやっつけてしまったからである。
だが当の本人はあまりいい気はしなかったようで。
「……あなた 逃げようとする必要あった?」
「わからない」
「………………」
イタリアオオカミはため息をついた。
そして、聞いてもない新しいオオカミのフレンズの発表が始まった。
「……ということで、オオカミ連盟に新しい仲間が加わることになったわ」
「しかも巨大セルリアンを討伐した期待の新人。これから私たちの力になるはずよ」
「…で、あなた名前は?」
「名前、かぁ…」
一番答えるのに辛い質問が来た。どうすればいい?
だが本名を名乗れば困惑するだろう、かと言って動物名わかんないし。
ならば、答えは後者だ。
「俺…名前知らないんだ」
「「「「え」」」」
「わからないから自由に呼んでくれ、俺はオオカミだけしかわかってないんだ」
決まるのには小1時間かかった。結果的に決まったのはノエルと言う名前であった。
普通なら女性の名前だと思われがちだが、ヨーロッパ系では男の名前である。
しかもラテン語のnatalis=「誕生」が語源という事実なので、もしかすると凶星の「誕生」とかけてたりしてなんて。