「ノエル、少し頼みたいことがあるけどいいかしら」
リーダーからの頼み事だ。そういえば忘れていたがリーダーの名前はタイリクオオカミと言うらしい。
「なんすk…」
「ノエル…」
実はイタリアオオカミにはリーダーには敬語を使え、と釘を刺されている。
もし言い切っていたら破壊力Aのラッシュを喰らわされるところかもしれなかっただろう。
「え、えと…どう言ったご要件でしょうか…?」
「あはは…あんまり気にしなくていいわ。それより、頼み事と言うとあなた、新人として来たのよね?」
「ハイ、半強制的デスガ…」
「あなた以外にも新人が来てたのよ。その子、あなたと違って気弱な子なの。」
「だから、少しでも慣れるようにメンタルケアの係を任せたいのだけど、いいかしら?因みにニホンオオカミも担当してるわ。」
「かしこまっ! …そしてヌゥん!!」
俺の脳天めがけて振り下ろされたイタリアオオカミの手刀を俺は白刃取りすることに成功した。
「なっ…」
「オイオイ、メンタルケア係として安心してもらう為に今のやったんだぜ? 空気読んでくれよ…」
イタリアオオカミは悔しそうな顔をして黙った。
「それで、この子が別の新しい子よ。あんまり刺激しないであげて頂戴ね。」
「あ、アードウルフ、です…」
言葉が出なかった。俺は気弱どころの話じゃないと思ったからだ。
絶対何かされただろ、と思うほか無かった。俺にこの子のココロが照らせるのか、と悩んでしまった。
「…ノエル? 何かあったの? 急に黙り込んで…」
「…あ! あぁ~ アッハハハハハ! ちとあまりにも美人だったんで見とれちまったのよ~!ヤダー俺って女たらし~」
「あの…何か…すみません」
「お、おいおい気にすんなよ~!急に謝られたからノエルくんびっくりしちゃった!」
勿論、見抜かれていただろう。イタリアオオカミも様子が違うみたいな顔で俺を見てるし、
タイリクオオカミに限っては辛そうな顔をしている。
まぁニホンオオカミとかいうアホの子には見抜かれなかったが。コヨーテは顔には出さないがきっと気付いているであろう。
自分の自信がへし折られた気がした。あとイタリアオオカミに殺されるかも。