ナバラ紛争末期、各国の警察機関を纏めて平時の任務に加えて占領地などの治安維持任務を遂行する組織である神聖皇帝領統治機構(HEGO)が設立された。HEGOには装甲車など軍と変わらない武器類が導入され、ナバラ紛争における反抗勢力への対応、南フランスの北バスクから越境してくるゲリラとの戦闘などのために規模を拡大した。旧連邦移民が待遇などから反乱軍に加わることも少なくなく、内戦においてゲリラ戦の経験を積んだ彼らに実戦経験が浅い帝国軍や諸王国軍は苦しめられており各戦争においても少なくない損害が出ていた。これに業を煮やしたモルトラヴィス1世は2019年に旧連邦移民の「刈り取り政策」を開始。反乱軍へと参加していた旧連邦移民とその家族を帝国の敵と見なして逮捕した。刈り取り政策には、中央政府であるアデレード政権や中央評議会、諸王国政府が激しく非難し皇帝との対立を深めた。結果的に刈り取り政策は当初の規模から縮小されたものの、皇帝が廃止を明言することはなく崩御まで約5万人の旧連邦移民が逮捕された。
2022年1月にモルトラヴィス1世は崩御し、モルトラヴィス1世が後継者として指名していた息子のジークヴァルトは交通事故により死亡したため皇帝位は先帝ヴァイオレットへ引き継がれた。しかしヴァイオレットは病により先は長くないと推測されており自らも即位を拒否した。残るボニファティウス系も即位を拒否した。ヴァイオレットの息子であるウルリッヒと妻のペルタは既に死亡していたため、ウルリッヒの長女であり当時17歳だったサビーネ・パトリツィア・ルートヴィッヒ・フォン・アステシアへと継承権が引き継がれた。アデレード政権と中央評議会、諸王国政府は緊急会議を開いて即位を承認し、12日にサビーネがモルトラヴィス2世として即位した。