<元首>
1991年の建国時からモルトラヴィス1世が即位していたが、2022年3月に崩御し現在はサビーネ・パトリツィア・ルートヴィッヒ・フォン・アステシアがモルトラヴィス2世として即位している。
<内政>
1991年3月に帝国憲法が制定され、皇帝から任命を受けた大宰相が国家を運営する大宰相制が採用されている。国家元首である皇帝は、立法権を帝国議会とともに行使し、行政執行権を憲法に基づき行使する。4年毎に与党内から数名が選出され最終的に全国選挙にて選ばれた人物が皇帝から任命を受けて大宰相となる。任命された大宰相は、人員を招集して大宰相府を組閣するが、人員は議員に限らず経験を持つ一般人を招集することもできる。
帝国の議会は二院制を採用しており、上院にあたる帝国元老院と下院にあたる帝国臣民院がある。元老院は6年に一度全国選挙にて半数が、臣民院は2年に一度全国選挙で全数が選出される。上院と下院どちらも与党であるアステシア王党派が8割の過半数を占め、野党の力が弱いことで一部からは「意味のない民主制」と批判されることもある。建国以降、アステシア王党派以外の政党が与党になったことはない。
アグスティン政権(1991~1995)
アデレード政権(1994〜2006、2010〜2014、2016〜2024)
ヴィリバルト政権(2006~2010)
イポリト政権(2014~2016)
ルミナス政権(2024~)
<人権>
帝国憲法において「帝国及び領邦、自治領、伯領、自由都市に住むすべての臣民の基本的人権を保障する」と明記されている。しかし、2016年の臣民危機予防対処執行法など「危険因子」と判断された人物を事前に逮捕できる法律などが施行されており、一部の人々などから「監視国家」と批判され裁判沙汰にまで発展している。またガリシア王国や南アメリカ連合共和国などではLCWSSの導入により、該当地域では監視体制が急速に進んでいる。
帝国は多くの民族を抱える多民族国家であり、その多くの民族が旧連邦の第二次連邦内戦を経験した。内戦の最中現在の帝国領に移住してきた人々を「旧連邦移民」と呼び200万人ほどが帝国へと渡ったとみられている。初期こそ問題にならなかったが帝国各地で紛争が続発すると、紛争の裏で連邦再興のため暗躍しているなどとの根拠のない噂がながれ旧連邦移民へのヘイトが生まれた。モルトラヴィス1世による刈り取り政策で5万人の連邦移民が強制収容区に送られるなど不当な扱いを受けた。モルトラヴィス2世即位後、解放され補償が行われたが現在も旧連邦移民に対するヘイトは少なくない。サビーネ帝の体制下でアデレード政権、ルミナス政権は、旧連邦移民の地位向上に向けた政策を推し進めており2023年の連邦移民地位基本法はその代表例である。
帝国の主要産業は、機械工業や観光産業、近年では国土の拡大もあり鉱業も発展している。
様々な分野で台頭しつつある複合企業のエレナ・ニーナや造船業のバルセロナ・ザリツィア造船公社など著名な大企業もあり、先述した2社の世界進出も目覚ましい。成立初期は国内の民族紛争もあり経済成長が伸び悩んでいたものの、サビーネ帝即位後に主だった国内戦役が終結し産業への投資が進んだことで経済成長率、GDPが共に上昇し「青薔薇時代」と称される経済成長を遂げた。ルミナス氏が大宰相となった後、「強い帝国」というスローガンの下でアデレード政権時の方針を引き継ぐ形で積極的な産業投資政策を推し進めており、国内企業の育成に努めている。
【観光業】
帝国は多数の世界遺産を抱える国であり、観光業は帝国の経済を支えるのに欠かせない重要な産業のひとつになっている。
【農業】
南フランスを中心に農業が盛んにおこなわれており「帝国の食糧庫」とも称される。帝国政府や各領邦政府により、農業経営の近代化、若年層の就農促進など多数の政策により後押しされている。
【工業】
バルセロナ・ザリツィア造船公社に代表される造船企業により、バルセロナやガリシアなど沿岸部では造船業が発展した。第二次連邦内戦中から終結後にかけて、大量の邦人等を避難させるべく移民船の需要が急激に発生した。国内の造船企業では移民船バブルとも呼ぶべき、造船ラッシュが起こり造船業の飛躍的な発展を後押しした。そうした背景や帝国自体の発展、企業の海外進出が進んだことで国内外からの、輸送船など民間船舶のみならず軍艦など様々な受注が増加し今や造船業は帝国の重工業を牽引する重要な産業となっている。
エネルギーでは、ヴィリバルト政権時から第4次アデレード政権にかけて国内の多くの原子力発電所が建設されそれらによって国内需要の約40%を賄っている。老朽化などにより一部は建て替えが進められており最終的には次世代の発電技術として期待される核融合発電による供給を目指している。次に火力発電と水力発電が並ぶ。
国内で稼働している発電用原子炉は44基に及ぶ。とはいえ北アフリカや南アメリカなど本土から離れた領土では火力発電がメインであり他の発電方法への転換を急いで進めている。近年イベリアでは地熱発電などが注目され老朽化した一部の原子力発電所の発電量を代替する目的で研究が進められている。
【鉱業】
帝国本土にあたるイベリア領では、ニッケル、銅、亜鉛、タングステンが少量ながら産出されているがほとんど鉱物資源は海外領土や他国からの輸入に頼っている。石炭や水銀に限っては本土においても十分な埋蔵量、採掘量を誇る。北アフリカ領においては、コバルトの産出が主。ヌエバ・アステシア領(南米)では、原油に代表される豊富な資源があるが、原油は埋蔵量に反して採掘量は多くない。
人種
帝国は多民族国家であり、約20の民族からなる(旧連邦移民や南米人など纏められているところもある)。ヴァイオレット朝成立時よりアステシア人、ポルトガル人、カタルーニャ人、バレンシア人、ガリシア人は中核をなしてきた。帝国成立前から直後にかけて旧バルカン半島から流入した旧連邦移民は、帝国の成立に貢献したものの連邦内戦を首謀者としても見られておりイベリア人との民族問題が発生している。ディートリヒ帝(モルトラヴィス1世)の治世に「刈り取り政策」の下で同化政策が推し進められた結果、権利拡大を目指したSULFやミスリルなどの反政府運動を過激化させることとなった。サビーネ帝即位後からの領土の急拡大によって、モロッコや南フランス、南米が帝国領となりベルベル人やアラビア人などが加わった。
言語
●国家公用語…スペイン語、ドイツ語
●地方公用語…アラビア語、ベルベル語、フランス語、カタルーニャ語、バレンシア語、バスク語、ガリシア語、アラン語、アストゥリアス語、アラゴン語、ポルトガル語など
多民族国家故に抱える言語は多く、帝国ではスペイン語を公用語として帝国憲章にて明記している。帝国では、多言語社会における対応を迫られたため国民の公用語習得をはかるとともに言語教育に力を入れている。帝国軍や諸王国軍においてもスペイン語習得は必修とされ、軍の連携体制の構築を行っている。
また、皇族の慣習によりドイツ語が公用語に指定されており戴冠式などではドイツ語、スペイン語の両方が使われる。
宗教
帝国の国教として知られるキリスト教カトリックは、国内の50%で約半分を占める。次にアフリカや南イベリアに多く分布するイスラム教スンニ派が23%、帝国北部からもたらされたプロテスタントや旧連邦移民が広く信仰する東方正教会など幅広い宗教がある。国事行為などではカトリックの影響が強い。
教育
帝国において、初等教育学校6年(6歳〜12歳まで)、中等教育学校3年(12歳〜15歳まで)、前期高等学術学校3年(15歳〜18歳まで)の3過程に分かれる。
帝国では、多言語・多民族社会のために教育に力を入れており、初等教育から中等教育までは帝国政府及び諸王国政府が教育費等の支援を行う。
後期高等学術学校の例として、バルセロナ海軍大学、マドリード文化大学、ポルト国民語学文化大学、サラゴサ農業大学など。
帝国が掲げる「教育・軍事・産業」の成長目標の一つとして特に力が入れられてきたため、2019年度の国内の識字率は98.1%と高い水準を維持している。
帝国軍は、帝国陸軍、帝国海軍、帝国防空軍、帝国航空宇宙軍、帝国戦略ミサイル軍、帝国特殊作戦軍の6軍からなり、軍務省の傘下に入る。総指揮官は皇帝、大宰相であるが皇帝は名目上に過ぎないため実質的に大宰相が総指揮官となる。予備役を含めて約150万人を抱え、中でも海軍は世界有数の軍事力を誇る。
サビーネ帝の即位初期から核実験を行い、原爆や水爆といった核戦力を有するが、2024年5月にチェコ政府の仲介によるSoSSZ-Ⅰで削減が行われた。
また、帝国軍の他に各領邦が有する王国軍が存在する。王国軍は帝国軍の対外軍事作戦に参加する義務はなく現地の防衛を担当する(ネーデルランド君主連邦の保有するネーデルランド統合軍は例外)。
皇帝が独自に保有する帝国親衛隊、各宰相が組織する私設護衛部隊など準軍事組織が多数存在する。
帝国は近年影響力を増し、近隣諸国と共にECSC(欧州集団安全保障共同体)、UES(欧州国家連合体)など欧州諸国とのつながりを強めている。旧連邦内戦後、新興国として成立した帝国は以後も紛争に悩まされ国内問題解決に忙殺され外交がおろそかになっていた。しかし、ディートリヒ帝末期からサビーネ帝の即位後現在にかけての改革で国内問題は粗方解決し積極的な外交戦略を打ち出している。
<アジア側との関係>
欧州諸国との関係を強める中で、アジア諸国との関係は薄いといえる。台湾危機への介入など軍事行動が目立つ。エレナ・ニーナやバルセロナ・ザリツィア造船公社に代表される帝国企業はアジアへと進出し経済的繋がりを構築している。
<食文化>
スペイン料理の特徴として素材を生かした調理があり、地方にはそれぞれの地域の特産品を生かした独特の料理がある。イベリアは「ヨーロッパの尾」「アフリカの頭」と呼ばれるように異文化が混在し大きな影響を受けている。スペイン料理とはいえど、各地方で独自の調理法、料理がある。ただ、どの料理にもオリーブオイルは欠かせない。サビーネ帝の即位後の拡張で多くの領土を獲得しさらなる異文化圏との融合が見られるだろう。
<祝祭日>
1月12日…皇帝即位記念日
2月2日…皇帝生誕日
3月12日…建国記念日/連邦内戦終結記念日
帝国の治安は、2022年のナバラ紛争停戦以降反政府勢力による組織的かつ大規模な戦闘がなくなったことで改善傾向にある。帝国初期はナバラ紛争やガリシア継承戦争など「連邦内戦の再来」とも称されるほどに民族紛争が多発した。これまで国務省管轄の警察が国内の治安維持を担っていたが、諸王国も別々に警察機関を保有しており統率にばらつきがあった。2015年に各国の警察機構を統合して、神聖皇帝領統治機構(HEGO)が設立された。神聖皇帝領統治機構は帝国全体の治安維持並びに国境部の防衛を担うまでに巨大化し、「第二の軍隊」と危惧されている。神聖皇帝領統治機構は、国務省公安庁管轄であり自称独立国である南アメリカ連合共和国にも支部を併設して治安維持にあたっている。