コバルト「…」
コバルトはリモコンを操作して次の映像に切り替える。次は手榴弾が爆破し、砂煙が舞い上がるがその次の瞬間に青白い衝撃波が撮影者を襲う。”胴体”を失い撮影機器を搭載していた”頭”が地面に落ちる…そこに映ったのは生々しい…
「「…」」
無言で映像を見つめるダイバー1、口をしかめるコバルト、口を押えるオペレーター…反応は様々であった。
コバルト「以前にあった解析部隊の編成だが、上層部はこの遺跡を制圧及び無力化する為に遺跡に位置的に近い第3機動軍を投入する事が決定した。これには首相といった閣僚陣及び統合参謀本部も賛成している。」
ダイバー1「無力化…?解析ではないのですか?」
コバルト「ああ…あれほどの怪物を国内に抱えるのを良しとしないからな…国家を考える身としては当然だろう。ただ…」
(統合参謀本部議長であるウランは首相達とは違う意見を出していたがな…)とコバルトは出かけた言葉を胸にしまう。考えるのは後だ、これが終わってから何故上層部の見解が食い違ってたかを聞けばいい。
コバルト「”ダイバー1”、君にこの話を持ち掛けたのは”DDD案件”の”リベンジマッチ”だ。君は”ラウンド2”をお望みなのだろう?」
ダイバー1「私怨…ヤツへの復讐心はあります。しかし…私達は一度敗北した身…もう一度機会が訪れるなど…それに…」
コバルト「君の心境は理解している。だからこそ君が適任なんだ。あの戦いで生き残った君達が…」
コバルトは資料を彼に手渡す。
コバルト「辞令だ。統合参謀本部からではあるが、君をこれから正式に設立する”ダイバーズ”の隊長に任命する。これが最初の任務だ…我々であの忌々しい遺跡を制圧する。」
ダイバー1「…了解!」
コバルト「では、あの怪物の対処法を考えようか…既に奴に上層部はコードネームをつけた…名は”アバドン”と言うそうだ。意味は分かるか。」
ダイバー1「確か…ヘブライ語で”奈落の底”、”滅ぼす者”でしたよね…ピッタリな名前ですね。あの戦闘力…厄介な名前を貰ったものですね。」
コバルト「そうだな…しかし朗報だ。統合参謀本部から”ポータル”の使用許可を貰えた。この意味は分かるな?」
ダイバー1「ええ…洞窟内に関わらず展開できる広ささえ確保出来れば”機甲部隊”が投入可能…という事ですよね。」
コバルト「ああ、君達の出した見解が正解だ。”アバドン”は歩兵部隊が持つ装備で倒せるか怪しい。多少の犠牲は免れないが、機甲部隊への誘導を行ってもらう。」
ダイバー1「覚悟の上です。必ずや任務を成功させましょう。」
コバルト「ああ…頼むぞ。」