経歴1:
ナバラ地方で生まれた彼女は、父母の影響を受けて民族の権利向上を目指す運動に参加するようになった。「人種に関係なく助け合う」という理念の下で、旧連邦内戦では対話を第一に逃亡兵や避難民など放浪者たちを率いて戦火を回避し続けた。帝国の成立後も権利向上の運動をやめることはなかったが、皇帝の刈り取り政策に反発して反政府運動スペイン・イスラーム解放戦線(FLLE)の創設に関わり、皇帝が刈り取り政策廃止するまで徹底抗戦することを宣言した。ゲルニカ地下鉄爆破テロを期にFLLEの内部分裂が始まり、彼女とその一派はミスリルを組織してナバラ自治政府との戦闘を継続した。彼女の統率力と部下の指揮の下でミスリルは一時期ナバラの半分を制圧するまでに至ったものの、帝国軍の全面介入を招き彼女もエステーラにて頭に狙撃銃をくらって即死。後を追うようにミスリルも衰退し2019年に敗北宣言を出した。
経歴2:
ANHとエレナ・ニーナによる、死体を利用し損傷個所にエーギルの細胞を組み込んで再生具合や症状の記録を目的とした「レゾナンス計画」の下でAg-2018-19として半エーギル化した状態で蘇生した。彼女は被験者の中では一番人の形を保ったまま蘇生できた成功例であったが、レゾナンス計画が医療への転用を目的とした臨床試験の意味合いを含んでおり、盲目や言語障害など副作用が発生したことで医療目的としては失敗した。ただエーギルの研究という意味合いでは成功を収めたことで、軍に引き渡され第168臨時特務予備連隊へと編入された。
計画での蘇生以降、彼女の民族の権利向上への意欲は失せており性格も消極的になった。ナバラ紛争の終結後、研究が一通り終わったことや暴走の兆候がないことを理由に管理レベルが引き下げられ彼女はナバラへの帰還を申請し受理された。罪滅ぼしと理由をつけて戦災孤児のための孤児院を設立しほとんど休暇も取らずに孤児院の事務に明け暮れている。異性体の捕獲や追加の実験など軍や企業からの招集がかけられた際、特別な事項がない限り招集に応じることはないそう。
余談:
なお、家族の中で彼女がエーギル化したことを知っているのは長男と夫だけである。盲目や声がでなくなった理由は「事故のせい」としている。また、出歩く際の偽名として「アデリーナ・エラストヴナ・ヴラジーミロヴァ」という名前がある。