立ててみます。
お正月SS 神隠し異聞 シロとタタラ 亜久利子異聞 バレンタイン (笑顔がまぶしい) 珠玉 Boy's Nap (元絵と) 天目一箇神異聞 (暗躍する動物) 野狐は巷間を彷徨う
ヒャア!!!!!!!
はー、尊い……。 シロのバブみに籠絡されていくタタラがたまらん……。
過去を思えば、タタラはこの先ずーっと甘えてても いいぐらいじゃないかと。
シロ様の肌は蛇だから、ひんやりしっとりで絶対気持ちいいよね。いいなあ、らぶらぶ魅惑の捕虜生活。
基本的に体温低いんだけど、触れてるうちに ぬくもってくるみたいな…想像が膨らみます。
これは人を駄目にする悪いヘビですよカテジナさん!!!!
みんな優しい…ありがとうございます。 さらにはかわいいイラストまで。
一回ちゃんとぶつかってみ?ということで考えていきましたが、 終わったら後は引きずらない、これ大事。 以降は、いつまでも楽しく仲良くしててほしいです(おま言う
SSありがとうございました! 特に、タタラの見た目は頑張った職人の証って部分に注目していただけて嬉しいです! そしてそのせいで迫害された結果、見た目がコンプレックスになっちゃった部分までセットで!
原作のタタラは、自分の姿を誇りだとも醜いとも言ってましたが、 そんな矛盾したような気持ちは誰しも持ち得るでしょう。 それがバランスを崩しちゃった時、さりげなく自分を認めてくれる 友達が側にいたら、きっと嬉しいと思うのです。
寝かせてた草案の中に稲荷たちの過去話もあったけど、 最近の本編とは全然違っちゃったなあ。 いや、元から矛盾だらけだったんですけどね。 まあまたパラレルワールドと言い張れば…
どんなお話なんだろう…気になる~
ちな、うちの稲荷の詳細は本編でなんですが、お沢・泉光院・与次郎・アグリコあたりはわりと決まっていて、お沢が出羽にやってきたところから始まる感じです。 キツネが出羽稲荷と絡むようになるのは昭和からなので今回の話にはほぼ無関係。 赤沼・雪見は出羽稲荷のくくりには入りますが太平山がメイン。
あとは、クリムゾンや囚人番号『井の零零零零八零』みたいなのは端役なので無関係? https://zawazawa.jp/yamachat/topic/1/152
四人とも出ますが、お沢とアグリコが中心です。 ただキャラ設定が本編とは違ってて、やっぱパラレルですわ。 半分以上はできてるので、盛り上がり必至な本家過去編が終わって ほとぼりが冷めた頃にコソッと投下できればいいな~と(願望)
楽しみにしてます~~😄
お沢様とアグリコ様が中心と聞いて、めちゃくちゃ楽しみにしています。
精一杯やりましゅ! あるお方も仰ってましたが、結局、自分が読みたい話を 自分で考えてるわけで、それを楽しんでもらえるなら望外です。
髪留め…
なかよし…時代的にはなさげな髪留めだけど、そんなのどーでもいー。
ほんと服飾知識に弱すぎるー
ま、まあ自分もコメントでヘアピンとか言ってたし。 今回は時代を考えて髪留めとしましたが。 ちな6月11日脱稿。ここからいじらないでおきます。 パラレルとはいえ、この先本編とどれだけズレていくか見もの。
ピンクキツネ登場に期待🦊
今日の午後にでも投下します…! 題材かぶりで気が引けてたけど、 しっかり休んで復活して頂くに当たっての 露払いというか、ささやかな埋め草にでもなれば…
ヨシ!(現場猫 ではいきます。「亜久利子異聞」
この方々のお話です。
「また傷が増えたわね」 村の外れで、女が眉をひそめて言った。 前髪に付けた髪留めが、西日を受けて輝いた。
相手は、お沢稲荷。 古館山を拠点に、雄勝一帯を統べる女である。 左目の周りと右肩に、包帯が巻かれている。 妖を退治した際に受けた傷だった。
そうでなくとも、精悍な体のあちこちに傷跡がある。 しかし、本人は外見など気にしていない。 元々切り揃えられていたであろう髪はぼさぼさで、 長い後ろ髪を、後頭部で一つにまとめていた。
お沢が不敵に笑った。 鋭い右目で、不安げな女の顔を見つめている。
「いつものことだ。心配するなアグリコ」 「いつもだから心配するのよ」 “亜久利子”と呼ばれた女も、土着の神であった。
正徳の頃、杉宮の地に、アグリコはふらりと現れた。 それ以来、村の家々を助けて回り、非常に喜ばれていた。 村人たちと生活を共にして、もう五年になる。
一介の神に過ぎぬアグリコにとって、お沢は頼れる頭だった。 杉宮に居座った理由は、その膝元という点が大きい。 お沢もアグリコの評判を聞き、目をかけていた。 そうして、二人は親しくなった。
ただ、付き合いを続ける中で、お沢への印象が変わってきた。 荒事となれば、お沢は誰よりも先に飛び込んで行く。 ゆえに生傷が絶えず、時にはひどい怪我を負うこともある。 その度に忠告するのだが、行動を改めようとしない。
まるで自分の外見どころか、命にすら頓着がないようだった。 このままでは、いつか大変なことになるのではないか。 アグリコは、気が気でなかった。
「とにかく、もう危ない真似はよして」 そう言ったアグリコに、お沢は詰め寄った。 「体を売るのは危なくない、とでも言うつもりか?」 アグリコが、はっと息を呑んだ。
数日前、アグリコは夜鷹に扮し、旅の男に誘いかけた。 しかし寸前になって怖じ気づき、這う這うの体で逃げ出した。 お沢の耳に入るとは誤算だった。 変化していたし、人目もなかったので、油断していた。
「規律を乱す者は斬る。わけがあるなら言ってみろ」 お沢は、もう笑ってはいなかった。 アグリコは誤魔化すこともできず、うつむきながら話し始めた。
村の人々に尽くしてきた徳が、伏見に認められたこと。 正一位を賜ると決まったが、そのために莫大な金が必要なこと。 金策に走り回ったものの、どうしても十両ほど足りないこと。 全ての事情を説明した。
お沢が、ふうっと溜息をついた。 「そんなことで自分の身を…」 「そんなことって何よ!」 アグリコが、語気を強めた。
「あなたはいいわよ!ずっと昔から、稲荷だったんだから!」 「私みたいな神が伏見の目に留まるのは、大変なこと!」 「やっと認められた、報われたのよ!」 「こんな機会、私には、もうないもの…」
八つ当たりのようだと、自分でもわかっていた。 それでも言わずにはいられなかった。 抑圧していた悩み、苛立ち、思いを聞いてもらいたかった。 いつしか、目の前が滲んで見えていた。
しばらく黙っていたお沢が、口を開いた。 「村の者を頼ってはどうだ。肝煎に話せ」 アグリコは首を振る。 「私はずっと人間で通してきたし、こんな話、信じないわよ」
「夢枕に立つんだ。霊験を示せば、信じるだろう」 アグリコが、はじかれるように顔を上げた。 お沢は、穏やかな目をしていた。
「お前は、皆を信じろ。それとも」 また不敵に笑った。 「お前が苦楽を共にした連中は、そんなに薄情なのか?」
優しい婆様、剽軽な若者、話好きな娘…次々と顔が浮かぶ。 アグリコは、答える代わりに、お沢に飛びついた。 お沢は、左腕で軽々とアグリコを抱え上げた。
二ヶ月後、アグリコは伏見からの帰途にあった。 村人たちの協力を得て、無事に正一位を賜ることができた。 当初は、京をゆっくり見物してから帰るつもりでいたが、 やがて、早く故郷に錦を飾りたい気持ちが勝るようになった。
越後と出羽の境で、道の向かいから長身の男が駆けて来た。 アグリコの見知った相手だった。 「あら、与次郎ちゃん。迎えに来てくれたの?」 「た、大変だよ!」
健脚の与次郎稲荷に背負われ、アグリコは古館山へ向かった。 社で目にしたのは、意識を失い横たわるお沢だった。 首に巻かれた包帯は、赤い染みができている。 治療を行うために、後ろ髪がばっさりと切られていた。
「どうしてこんなことに…」 アグリコは顔を青ざめ、全身を震わせた。 お沢の眷属や近隣の神々から、話を聞くことができた。
前日、お沢は熊の妖と戦っていた。 激戦の果てにとどめを刺した瞬間、妖が最期の力で反撃した。 長く鋭い爪が、お沢の首を貫いたという。
戻ってからというもの、アグリコはひたすら看護を続けた。 智恵を借りようと、思兼神が祀られる神社を訪ねたこともある。 良薬があると聞けば、眷属や与次郎に走ってもらった。
とりわけ、一人の少年が熱心に手伝ってくれた。 まだ修行中の身だが、ここ最近はよくお沢の側に控えていた。 相討ちとなった師を必死に山まで運んだのも、この少年らしい。
三日目の早朝、力水の前で、少年が昏倒していた。 「休息はきちんと取ること。いいわね?」 アグリコに叱られ、少年は神妙な顔でうなずいた。 当のアグリコは、ほとんど不眠不休だった。
容体そのものは、かなり安定してきた。 遠からず、動けるようにもなるはずである。 しかし、このままでいる方が、お沢には幸せなのではないか。 アグリコは、そんな思いを禁じ得ない。
生き延びたお沢は、やがてまた戦い、傷つくだろう。 「ずっと…繰り返すの?」 そうつぶやくと、アグリコはお沢の横で仮眠を取った。
五日目に、お沢が目を覚ました。 「ココハ…?」 口から、自分でも驚くほどのガラガラ声が出た。 体を起こすと、アグリコが横から支えた。
「よかった、気がついて…白髭様の薬が効いたのかしら」 久しぶりに会う親友が、ほっとした顔をしている。 周りには眷属と少年、与次郎の姿もある。 お沢は状況を察した。
「迷惑ヲかけた。すまナイ」 お沢が頭を下げると、伸びた前髪が垂れ下がった。 「迷惑だなんて、水臭いわよ」 アグリコは、努めて明るく言った。
「いヤ」 お沢が、険しい顔つきになった。 「己の実力ヲ、私は過信してイタ。その挙句がこのザマだ。 私は規律を守ルために、もっと強クならねばならナイ!」
やはりそうか、とアグリコは思った。 お沢は一人で、責務を背負いこんでいる。 それだけ自分たちが、お沢に頼りきりだったということだ。
「厳格なところ、あなたらしいわ。でも」 アグリコは、自分の髪留めを外した。 そして、お沢の前髪をかき分け、その髪留めを付けてやった。 「忘れないで、私たちが側にいるってことを」
お沢は両目をぱちくりとさせて、髪留めに手を触れた。 視界が開けたような気分だった。 少年と与次郎もうなずいた。
かつてアグリコに説いたことを、お沢は忘れていた。 この場にいる者たちを見回した。 自分は、一人ではない。 皆、いるではないか。
「並んで走ることはできなくても、ちゃんとついて行くから…」 アグリコが、気恥ずかしそうに笑った。 暗く険しい道を、お沢はこれからも進み続ける。 アグリコは、先駆けするお沢を見失うまいと決めたのだ。
お沢は、まっすぐアグリコの方を向いた。 いつもの不敵な笑みではない、柔らかな微笑を浮かべていた。 「あア、よろしくなアグリコ。いや…アグリコ稲荷」
例の如くパラレルですが、今回は、初期案から今のスタイルに変遷したなら どんな感じだろう、というのを出発点に夢想してみました。
最近の本編の展開は、全く反映されていません。 お沢とアグリコに抱いていたイメージは、以前コメントした通り。 そのせいで、天涯孤独のアグリコがお沢親分に見初められた みたいな雰囲気がただよっていますw
与次郎討伐なんて想像もしていなかったので、この話の与次郎は、 祀られて浄化された後、ただの気の良い兄ちゃんになっています。 どうも失礼致しました。
勝手にコラボ。4/8 ラストの挿絵ー。ポニテお沢様ー。片手抱っこー。すきー。
やったあ!ありがとうございます! なんだか、こう見るとえちぃ。誰だこんなシチュ考えたのは。 まあオマージュ元は66話おまけ記事のイラストなんですけどね。
ですよね!この2人のなかよし絵はみんな大好きですよね! 管理人さんより先にリアクションするのどうなのかと思ったけど、描かずにはいられなかったー。こちらこそありがとうございますー。
今日は色々盛りだくさんだったので紹介や読むの明日にしようと思って(でもめっちゃ気になったので読んでしまった
>レベル3さん 無理すんなって言ってる側から無理させちゃったかな…ごめんなさい。休んでね。 >隠れ県民さん ありがとうございますの言葉が嬉しくてスルーしちゃったけど、えちぃってwwwあなたの考えたシチュですからね!(笑)。
アグリコ伝承に沿いながら仲が進展していくのとても新鮮! 考えもしなかった展開が楽しかったです~~!
あとやはり本編との差異! お沢親分⇄新参お沢・若輩アグリコ⇄大親分アグリコ・弱めのお沢⇄鬼強お沢とことごとく真逆なのも面白い~~(妖にやられまくるお沢とか新鮮!
さておき一行だけの登場にフフッとなったので、猛烈な違和感を感じているアグリコを置いておきます
本編とのギャップがすごい与次郎!ありがとうございます! 出番こそ少ないものの、裏では色々と駆けずり回ったはずの彼なので 慮ってやって下さいな。
えへへ。
オモイカネ級!
それにしても色んな方からコンテンツを提供してもらえるの幸せもの過ぎる……
山形LVEさんとやり取りする中で思ったけど、 秋田戦争で久保田を救ったミヨシの伝承にマタギを 盛岡側として加えたら、本編の代理戦争的なネタになるかも。
人々を救わんと、戦場を駆けるミヨシ。 その前に立ちはだかるは、最強のマタギ…… 『修羅の刻』っぽい雰囲気もあるのう。
大砲vs鉄砲ですね…
ロマンですね。 近づいたら棒とナガサですか。 とはいえ、肉弾戦になればミヨシ有利は必至なので、 マタギとしてはいかに姿を見せずに戦うかが鍵になりそう。
与次郎とヘソクリで間違い。 かなり記憶をしぼり出したし、個人的にはいい難易度…! (手前味噌ながら、自分のSSとごっちゃになって一瞬つまったりなんかして)
なーんか既視感あるなあと思ったらSSかー! 本編の外からも持ってくるとは恐ろしい……
僕は自分の記憶を都合よく書き換える能力者なので「アオはキツネの影響を受けて目の下に朱を入れている」のが公式だったと記憶してるよ(偽りの記憶)— リラ (@dettalant) August 22, 2020
僕は自分の記憶を都合よく書き換える能力者なので「アオはキツネの影響を受けて目の下に朱を入れている」のが公式だったと記憶してるよ(偽りの記憶)
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ヒャア!!!!!!!
はー、尊い……。
シロのバブみに籠絡されていくタタラがたまらん……。
過去を思えば、タタラはこの先ずーっと甘えてても
いいぐらいじゃないかと。
シロ様の肌は蛇だから、ひんやりしっとりで絶対気持ちいいよね。いいなあ、らぶらぶ魅惑の捕虜生活。
基本的に体温低いんだけど、触れてるうちに
ぬくもってくるみたいな…想像が膨らみます。
これは人を駄目にする悪いヘビですよカテジナさん!!!!
みんな優しい…ありがとうございます。
さらにはかわいいイラストまで。
一回ちゃんとぶつかってみ?ということで考えていきましたが、
終わったら後は引きずらない、これ大事。
以降は、いつまでも楽しく仲良くしててほしいです(おま言う
SSありがとうございました!
特に、タタラの見た目は頑張った職人の証って部分に注目していただけて嬉しいです!
そしてそのせいで迫害された結果、見た目がコンプレックスになっちゃった部分までセットで!
原作のタタラは、自分の姿を誇りだとも醜いとも言ってましたが、
そんな矛盾したような気持ちは誰しも持ち得るでしょう。
それがバランスを崩しちゃった時、さりげなく自分を認めてくれる
友達が側にいたら、きっと嬉しいと思うのです。
寝かせてた草案の中に稲荷たちの過去話もあったけど、
最近の本編とは全然違っちゃったなあ。
いや、元から矛盾だらけだったんですけどね。
まあまたパラレルワールドと言い張れば…
どんなお話なんだろう…気になる~
ちな、うちの稲荷の詳細は本編でなんですが、お沢・泉光院・与次郎・アグリコあたりはわりと決まっていて、お沢が出羽にやってきたところから始まる感じです。
キツネが出羽稲荷と絡むようになるのは昭和からなので今回の話にはほぼ無関係。
赤沼・雪見は出羽稲荷のくくりには入りますが太平山がメイン。
あとは、クリムゾンや囚人番号『井の零零零零八零』みたいなのは端役なので無関係?
https://zawazawa.jp/yamachat/topic/1/152
四人とも出ますが、お沢とアグリコが中心です。
ただキャラ設定が本編とは違ってて、やっぱパラレルですわ。
半分以上はできてるので、盛り上がり必至な本家過去編が終わって
ほとぼりが冷めた頃にコソッと投下できればいいな~と(願望)
楽しみにしてます~~😄
お沢様とアグリコ様が中心と聞いて、めちゃくちゃ楽しみにしています。
精一杯やりましゅ!
あるお方も仰ってましたが、結局、自分が読みたい話を
自分で考えてるわけで、それを楽しんでもらえるなら望外です。
髪留め…
なかよし…時代的にはなさげな髪留めだけど、そんなのどーでもいー。
ほんと服飾知識に弱すぎるー
ま、まあ自分もコメントでヘアピンとか言ってたし。
今回は時代を考えて髪留めとしましたが。
ちな6月11日脱稿。ここからいじらないでおきます。
パラレルとはいえ、この先本編とどれだけズレていくか見もの。
ピンクキツネ登場に期待🦊
今日の午後にでも投下します…!
題材かぶりで気が引けてたけど、
しっかり休んで復活して頂くに当たっての
露払いというか、ささやかな埋め草にでもなれば…
ヨシ!(現場猫
ではいきます。「亜久利子異聞」
この方々のお話です。
「また傷が増えたわね」
村の外れで、女が眉をひそめて言った。
前髪に付けた髪留めが、西日を受けて輝いた。
相手は、お沢稲荷。
古館山を拠点に、雄勝一帯を統べる女である。
左目の周りと右肩に、包帯が巻かれている。
妖を退治した際に受けた傷だった。
そうでなくとも、精悍な体のあちこちに傷跡がある。
しかし、本人は外見など気にしていない。
元々切り揃えられていたであろう髪はぼさぼさで、
長い後ろ髪を、後頭部で一つにまとめていた。
お沢が不敵に笑った。
鋭い右目で、不安げな女の顔を見つめている。
「いつものことだ。心配するなアグリコ」
「いつもだから心配するのよ」
“亜久利子”と呼ばれた女も、土着の神であった。
正徳の頃、杉宮の地に、アグリコはふらりと現れた。
それ以来、村の家々を助けて回り、非常に喜ばれていた。
村人たちと生活を共にして、もう五年になる。
一介の神に過ぎぬアグリコにとって、お沢は頼れる頭だった。
杉宮に居座った理由は、その膝元という点が大きい。
お沢もアグリコの評判を聞き、目をかけていた。
そうして、二人は親しくなった。
ただ、付き合いを続ける中で、お沢への印象が変わってきた。
荒事となれば、お沢は誰よりも先に飛び込んで行く。
ゆえに生傷が絶えず、時にはひどい怪我を負うこともある。
その度に忠告するのだが、行動を改めようとしない。
まるで自分の外見どころか、命にすら頓着がないようだった。
このままでは、いつか大変なことになるのではないか。
アグリコは、気が気でなかった。
「とにかく、もう危ない真似はよして」
そう言ったアグリコに、お沢は詰め寄った。
「体を売るのは危なくない、とでも言うつもりか?」
アグリコが、はっと息を呑んだ。
数日前、アグリコは夜鷹に扮し、旅の男に誘いかけた。
しかし寸前になって怖じ気づき、這う這うの体で逃げ出した。
お沢の耳に入るとは誤算だった。
変化していたし、人目もなかったので、油断していた。
「規律を乱す者は斬る。わけがあるなら言ってみろ」
お沢は、もう笑ってはいなかった。
アグリコは誤魔化すこともできず、うつむきながら話し始めた。
村の人々に尽くしてきた徳が、伏見に認められたこと。
正一位を賜ると決まったが、そのために莫大な金が必要なこと。
金策に走り回ったものの、どうしても十両ほど足りないこと。
全ての事情を説明した。
お沢が、ふうっと溜息をついた。
「そんなことで自分の身を…」
「そんなことって何よ!」
アグリコが、語気を強めた。
「あなたはいいわよ!ずっと昔から、稲荷だったんだから!」
「私みたいな神が伏見の目に留まるのは、大変なこと!」
「やっと認められた、報われたのよ!」
「こんな機会、私には、もうないもの…」
八つ当たりのようだと、自分でもわかっていた。
それでも言わずにはいられなかった。
抑圧していた悩み、苛立ち、思いを聞いてもらいたかった。
いつしか、目の前が滲んで見えていた。
しばらく黙っていたお沢が、口を開いた。
「村の者を頼ってはどうだ。肝煎に話せ」
アグリコは首を振る。
「私はずっと人間で通してきたし、こんな話、信じないわよ」
「夢枕に立つんだ。霊験を示せば、信じるだろう」
アグリコが、はじかれるように顔を上げた。
お沢は、穏やかな目をしていた。
「お前は、皆を信じろ。それとも」
また不敵に笑った。
「お前が苦楽を共にした連中は、そんなに薄情なのか?」
優しい婆様、剽軽な若者、話好きな娘…次々と顔が浮かぶ。
アグリコは、答える代わりに、お沢に飛びついた。
お沢は、左腕で軽々とアグリコを抱え上げた。
二ヶ月後、アグリコは伏見からの帰途にあった。
村人たちの協力を得て、無事に正一位を賜ることができた。
当初は、京をゆっくり見物してから帰るつもりでいたが、
やがて、早く故郷に錦を飾りたい気持ちが勝るようになった。
越後と出羽の境で、道の向かいから長身の男が駆けて来た。
アグリコの見知った相手だった。
「あら、与次郎ちゃん。迎えに来てくれたの?」
「た、大変だよ!」
健脚の与次郎稲荷に背負われ、アグリコは古館山へ向かった。
社で目にしたのは、意識を失い横たわるお沢だった。
首に巻かれた包帯は、赤い染みができている。
治療を行うために、後ろ髪がばっさりと切られていた。
「どうしてこんなことに…」
アグリコは顔を青ざめ、全身を震わせた。
お沢の眷属や近隣の神々から、話を聞くことができた。
前日、お沢は熊の妖と戦っていた。
激戦の果てにとどめを刺した瞬間、妖が最期の力で反撃した。
長く鋭い爪が、お沢の首を貫いたという。
戻ってからというもの、アグリコはひたすら看護を続けた。
智恵を借りようと、思兼神が祀られる神社を訪ねたこともある。
良薬があると聞けば、眷属や与次郎に走ってもらった。
とりわけ、一人の少年が熱心に手伝ってくれた。
まだ修行中の身だが、ここ最近はよくお沢の側に控えていた。
相討ちとなった師を必死に山まで運んだのも、この少年らしい。
三日目の早朝、力水の前で、少年が昏倒していた。
「休息はきちんと取ること。いいわね?」
アグリコに叱られ、少年は神妙な顔でうなずいた。
当のアグリコは、ほとんど不眠不休だった。
容体そのものは、かなり安定してきた。
遠からず、動けるようにもなるはずである。
しかし、このままでいる方が、お沢には幸せなのではないか。
アグリコは、そんな思いを禁じ得ない。
生き延びたお沢は、やがてまた戦い、傷つくだろう。
「ずっと…繰り返すの?」
そうつぶやくと、アグリコはお沢の横で仮眠を取った。
五日目に、お沢が目を覚ました。
「ココハ…?」
口から、自分でも驚くほどのガラガラ声が出た。
体を起こすと、アグリコが横から支えた。
「よかった、気がついて…白髭様の薬が効いたのかしら」
久しぶりに会う親友が、ほっとした顔をしている。
周りには眷属と少年、与次郎の姿もある。
お沢は状況を察した。
「迷惑ヲかけた。すまナイ」
お沢が頭を下げると、伸びた前髪が垂れ下がった。
「迷惑だなんて、水臭いわよ」
アグリコは、努めて明るく言った。
「いヤ」
お沢が、険しい顔つきになった。
「己の実力ヲ、私は過信してイタ。その挙句がこのザマだ。
私は規律を守ルために、もっと強クならねばならナイ!」
やはりそうか、とアグリコは思った。
お沢は一人で、責務を背負いこんでいる。
それだけ自分たちが、お沢に頼りきりだったということだ。
「厳格なところ、あなたらしいわ。でも」
アグリコは、自分の髪留めを外した。
そして、お沢の前髪をかき分け、その髪留めを付けてやった。
「忘れないで、私たちが側にいるってことを」
お沢は両目をぱちくりとさせて、髪留めに手を触れた。
視界が開けたような気分だった。
少年と与次郎もうなずいた。
かつてアグリコに説いたことを、お沢は忘れていた。
この場にいる者たちを見回した。
自分は、一人ではない。
皆、いるではないか。
「並んで走ることはできなくても、ちゃんとついて行くから…」
アグリコが、気恥ずかしそうに笑った。
暗く険しい道を、お沢はこれからも進み続ける。
アグリコは、先駆けするお沢を見失うまいと決めたのだ。
お沢は、まっすぐアグリコの方を向いた。
いつもの不敵な笑みではない、柔らかな微笑を浮かべていた。
「あア、よろしくなアグリコ。いや…アグリコ稲荷」
例の如くパラレルですが、今回は、初期案から今のスタイルに変遷したなら
どんな感じだろう、というのを出発点に夢想してみました。
最近の本編の展開は、全く反映されていません。
お沢とアグリコに抱いていたイメージは、以前コメントした通り。
そのせいで、天涯孤独のアグリコがお沢親分に見初められた
みたいな雰囲気がただよっていますw
与次郎討伐なんて想像もしていなかったので、この話の与次郎は、
祀られて浄化された後、ただの気の良い兄ちゃんになっています。
どうも失礼致しました。
勝手にコラボ。4/8 ラストの挿絵ー。ポニテお沢様ー。片手抱っこー。すきー。
やったあ!ありがとうございます!
なんだか、こう見るとえちぃ。誰だこんなシチュ考えたのは。
まあオマージュ元は66話おまけ記事のイラストなんですけどね。
ですよね!この2人のなかよし絵はみんな大好きですよね!
管理人さんより先にリアクションするのどうなのかと思ったけど、描かずにはいられなかったー。こちらこそありがとうございますー。
今日は色々盛りだくさんだったので紹介や読むの明日にしようと思って(でもめっちゃ気になったので読んでしまった
>レベル3さん
無理すんなって言ってる側から無理させちゃったかな…ごめんなさい。休んでね。
>隠れ県民さん
ありがとうございますの言葉が嬉しくてスルーしちゃったけど、えちぃってwwwあなたの考えたシチュですからね!(笑)。
アグリコ伝承に沿いながら仲が進展していくのとても新鮮!
考えもしなかった展開が楽しかったです~~!
あとやはり本編との差異!
お沢親分⇄新参お沢・若輩アグリコ⇄大親分アグリコ・弱めのお沢⇄鬼強お沢とことごとく真逆なのも面白い~~(妖にやられまくるお沢とか新鮮!
さておき一行だけの登場にフフッとなったので、猛烈な違和感を感じているアグリコを置いておきます
本編とのギャップがすごい与次郎!ありがとうございます!
出番こそ少ないものの、裏では色々と駆けずり回ったはずの彼なので
慮ってやって下さいな。
えへへ。
オモイカネ級!
それにしても色んな方からコンテンツを提供してもらえるの幸せもの過ぎる……
山形LVEさんとやり取りする中で思ったけど、
秋田戦争で久保田を救ったミヨシの伝承にマタギを
盛岡側として加えたら、本編の代理戦争的なネタになるかも。
人々を救わんと、戦場を駆けるミヨシ。
その前に立ちはだかるは、最強のマタギ……
『修羅の刻』っぽい雰囲気もあるのう。
大砲vs鉄砲ですね…
ロマンですね。
近づいたら棒とナガサですか。
とはいえ、肉弾戦になればミヨシ有利は必至なので、
マタギとしてはいかに姿を見せずに戦うかが鍵になりそう。
与次郎とヘソクリで間違い。
かなり記憶をしぼり出したし、個人的にはいい難易度…!
(手前味噌ながら、自分のSSとごっちゃになって一瞬つまったりなんかして)
なーんか既視感あるなあと思ったらSSかー!
本編の外からも持ってくるとは恐ろしい……