五日目に、お沢が目を覚ました。
「ココハ…?」
口から、自分でも驚くほどのガラガラ声が出た。
体を起こすと、アグリコが横から支えた。
「よかった、気がついて…白髭様の薬が効いたのかしら」
久しぶりに会う親友が、ほっとした顔をしている。
周りには眷属と少年、与次郎の姿もある。
お沢は状況を察した。
「迷惑ヲかけた。すまナイ」
お沢が頭を下げると、伸びた前髪が垂れ下がった。
「迷惑だなんて、水臭いわよ」
アグリコは、努めて明るく言った。
「いヤ」
お沢が、険しい顔つきになった。
「己の実力ヲ、私は過信してイタ。その挙句がこのザマだ。
私は規律を守ルために、もっと強クならねばならナイ!」
やはりそうか、とアグリコは思った。
お沢は一人で、責務を背負いこんでいる。
それだけ自分たちが、お沢に頼りきりだったということだ。
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