【十九話】
コヨーテたち一行が自然史博物館廃墟を後にした丁度そのころ、荒野ちほーの別の場所
コヨーテ達から少し離れた場所に位置する、小高い展望台を併設するインフォメーションセンターの廃墟
そこにも自然史博物館と同じように、逃げ遅れたフレンズ達が数人・・・
バイオリンを演奏するジェネットの周りを取り囲むようにフレンズが座っていた
(🎻~~~~~~~~♪)
ジェネットは颯爽とした動きでバイオリンを奏で、その美しい音色は館内に涼しく響き渡る
フレンズ達はジェネットの演奏に心を打たれ、元気を取り戻していく
彼女のバイオリンの音色は、取り残されてしまって嘆くフレンズたちに新たな希望をもたらすかのようだ
アダックス「う~ん、綺麗な音色・・・ジェネットちゃん ほんとにバイオリン上手だね。」
ケープアラゲジリス「今日も素敵な音楽を聞かせてくれてありがとね!なんか元気でてきた!」
「えへへ・・・ジェネのこんなバイオリンでみんなが元気になってくれるのがうれしいでし♪」
ジェネットは頬を赤らめて照れるように笑った
しかし、バイオリンの音色で朗がな空気が流れたもののふと我に帰れば、一抹の不安は押し寄せる
フレンズ達はこの場所に囚われの身になっているも同然だからだ
ゴールデンハムスター「でも、私たち一体いつまでここにいたらいいんだろう・・・」
「どうなんだろう・・・下手に外に出るとセルリアンだらけだからね・・・助けが来るのを待つしかないでし」
ケープアラゲジリス「助けったって、いつまで待ってたら来るのさ?私たちかれこれ、3か月くらいここにいるよ?」
アダックス「確かに・・・幸い、ラッキーさんがじゃぱまんだけは持ってきてくれるけど・・・」
「そういえば、今日はラッキーさんが遅いでしね。どこかで道草でも食ってるのかな?」
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アダックス「確かに・・・ちょっと様子を見に行ってみようか」
フレンズ達は窓の光が届かない明かりの無い薄暗い通路を通り
いつもラッキービーストが現れる裏口まで足を運んでみた
するとどういう事か、いつもラッキービーストが入ってくる裏口のドアは空いたままで
荒野を吹く乾いた風だけがドアから吹き込んでいた
「・・・なんか、ジェネ すごーくいやーな予感がするんでしけど・・・」
ゴールデンハムスター「嫌な予感?でも、ラッキーさん見当たんないね。どっか行っちゃったのかな」
ケープアラゲジリス「・・・もしかして、オバケだったりしてね」ボソッ
ケープアラゲジリスがつぶやいた一言に、ジェネットの背中にゾクゾクと悪寒が走った
ジェネットはホラーなお話がめっぽう苦手なのだった
「ちょ、ちょっと・・・!怖がらせるの、やめてね!ジェネはそういうの苦手なんでしから!!」
アダックス「あのねー、こんな真昼間にオバケなんて出ないでしょ。」
「そもそもオバケなんて非科学的なもの、この世界には存在しないでし!!イヤでし!!ジェネはそういう怖いやつは・・・」
ジェネットたちがくだらない事でもみ合っていると
突然ゴールデンハムスターはジェネットたちの会話を遮るように言う
ゴールデンハムスター「シー!!!・・・ちょっと待って。・・・なんか、聞こえない?」
よく耳を澄ましてみると、確かにどこかで電子音のような不思議な音が響いているのがわかった
ジェネットたちは小さく聞こえるその音をたどって音の発生源を探る・・・
すると、物陰の床にじゃぱまんが無造作にいくつもバラまかれていた
「あれ?じゃぱまんだ・・・これって・・・」
ジェネットは床に落ちているじゃぱまんを1つ1つ拾って歩く
緑のじゃぱまん、ピンクのじゃぱまん、黄色いじゃぱまん
4つほど拾ったところで、その先に見覚えのある青い物体が倒れていた
「キ・・・ケン・・・ キ・・・」
今にも消えてしまいそうな小さな声でラッキービーストが音を発していた
ラッキービーストの身体は見るからに大きく損傷しているのが見て取れる
そして電気がほとばしり、体内から漏電している事をうかがわせた
「ら、らっきーしゃん!?これは一体、どういう状況なんでしか!?」
壊れたラッキービーストに駆け寄って、起こそうとするジェネットだったが
起こしても力なく倒れ込んでしまう
どうしたらいいかわからずオロオロしていると、背後から突然謎の影がとびだしてきた!
ローチセル「ーーーーーーーー!!」
「ニョワーーーーーーーー!!!」