パークは冬の時代を迎えていた。
長い間サンドスター山の噴火が起こらなかったせいだ。
2代目PPPが3人しか集まらなかった背景にも、そういった事情があった。
特に深刻だったのはライオンやヒグマといった強いフレンズが生まれなかったことだ。
(ジョーンズさんというチート級の宇宙人が居た世代もあったそうだが、この時期は母星に里帰りしていたらしい)
必然的にセルリアンによる被害が増大し、フレンズはどんどん数を減らしていた。
群れで対抗しようにも5人以上集まっていると決まって襲ってくる性質のオメガセルリアン(裏ボス)のせいで
博士たちからは『なるべく密にならないよう』通達が出る始末だった。
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ある日のこと、私たちは毎年恒例のお花見をすることにした。(2人ならセーフだ)
その丘に向かっていると、歌声が聞こえてくる。
フェネック
「今日だったんだ」
このご時世では仕方ないことだったが、
2代目PPP解散コンサートの会場となった桜の丘は閑散としていた。
観客はソーシャルディスタンスを守るようキツく言い含められていたし、
多くのフレンズはボスネットでの配信ライブでの視聴を選んでいた。
♪ジャン、 ジャンジャジャン♬
\ドーーーン/
「なに!?」
「サンドスター山の方だよ」
「噴火!? 何年振りだろう?」
「もうちょっと早かったら…」
「紙テープとかクラッカーを用意しとけばよかったね」
こうして2代目PPPはサンドスター山の粋な演出で最後の花道を飾り、惜しまれつつ引退した。
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偶然PPPの解散に立ち会った、その帰り道。
私たちは『例のセルリアン』に出くわしてしまう。
情けないことに私は立ち尽くし、『覚悟』を決めることしか出来なかった。
それを打ち破ったのはパートナーだった。
アライ
「ここは任せるのだ!
フェネックは会場に戻って、この事を知らせるのだ」
フェネック
「でも…」
アライ
「早くするのだ!」
私は急いでコンサート会場に戻ると、
思い出話に花を咲かせたり余韻に浸っていたフレンズ、
そして名残惜しそうにファンと交流しているPPPに例のセルリアンが出たことを伝え、避難を促した。
数分後、急いで取って返した私が目にしたのは、
満足したのか立ち去ろうとするセルリアンの後ろ姿と
元パートナーの変わり果てた姿だった。