???
「のだーーーーー!」
💃➰➰➰➰➰➰➰➰➰➰ゴロゴロゴロ・・・
しんみりとした空気を台無しにする声と共に『何か』が目の前に転がり込んできた。
フェネック
「…!?」
その『何か』に声を掛けようとして、思わず固まってしまう。
???
「イテテ・・・ 急に突風が吹いてきて飛ばされてしまったのだ」
言葉が出なかった。
早く声を掛けないと、このままではすぐにどこかに行ってしまうだろう。
そして、少しでも会話を引き延ばさないと・・・
フェネック
「・・・春一番のこと~?」
咄嗟に口から出てきたのは子供騙しのような『間延びした言葉遣い』だった。
???
「1、2、3、なのダーー!」
相手は気にすることなくノってきた。
フェネック
「モノマネ芸人の話じゃないよ~ しかも古いよ~」 (今なら誰になるのだろう)
???
「そうなのか? とにかく助けてくれてありがとうなのだ。
・・・えーと、命の恩人の名前を教えて欲しいのだ」
フェネック
「別に助けてないけどね~ フェネックだよ~」
キュルル…
アライ
「あ、アライさんはアライさんというのだ!
アライさんは『けもの』だけどタヌキじゃないフレンズなのだ!」
腹を盛大に鳴らしたアライさんは何故か必死に自己紹介する。
アライ
「そう言えば全然食べてなかったのだ」
フェネック
「あ、じゃあコレ・・・」
一緒に出掛ける時のクセで、つい準備万端整えてしまっていたことに我ながら戸惑いつつ
懐からジャパリまんを1つ取り出すとアライさんに渡した。
アライ
「ありがとうなのだ!」
フェネック
「?」
すぐに齧り付くと思いきやアライさんはニコニコしたままこっちを見ている。
フェネック
「どうしたの~ 遠慮しないで食べなよ~」
アライ
「フェネックは食べないのか?」
フェネック
「・・・今は食欲が無くてね~」
実際、この1週間というもの空腹感はマヒしていた。
アライ
「ジャパリまんを食べて『元気出すかー!』なのだ」
そう言うとジャパリまんを千切って大きい方を差し出してきた。
ツッコミどころが多過ぎる・・・
とりあえずモノマネ芸人の話はもう引っ張らなくていいと思うがスルーして、
フェネック
「全部食べていいよ~」
それだけを言うに留めておいた。
しかし、
アライ 😆
「フェネックが食べないならアライさんも食べないのだ」 キュルル…
フェネック
「・・・」
受け取らないわけにはいかなくなった私は、差し出されたジャパリまんを手に取ると半分に千切り、
片方をアライさんの手に握らせると、自分の分のジャパリまんを一口齧ってみせる。
アライさんはそれを満足げに確認すると、自分も両手に持ったジャパリまんを一気に口に放り込んだ。
アライ
「むぐ… ぐ・・・ げほっ げっほ!」
盛大に噎せるアライさんを見て、スッと水筒を手渡した。
アライ
「んぐんぐ… ぷは~
死ぬかと思ったのだ」
フェネック
「気を付けてよね~ そんなに急いで食べるから~」
アライ
「フェネックは、まるでこうなることが分かってたかのように用意が良いのだ」
フェネック
「・・・」