おうちに帰ると、博士たちからもらった葉で早速#紅茶を淹れてみました。
ともえさんはニコニコしながら美味しいと言ってくれました。
アムトラさんは・・・相変わらず無表情でしたが、残さず飲んでくれました。
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翌日。
私は思い切って、お願いしてみることにしました。
イエイヌ
「あの・・・」
ともえ
「なに?」
イエイヌ
「ジャパリカフェ?…に行ってみたいのですが・・・」
ともえ
「その気になってくれたんだね。 嬉しい!
うん、うん。 どうぞいってらっしゃい」
イエイヌ
「え…?」
としょかんの時のように連れて行ってくれると思った私は、戸惑いました。
ともえ
「ん?」
・・・ そんな気はさらさら無いようです。
でも勝手に期待をしておいてそれを押し付けるのも、おこがましい気がしました。
イエイヌ
「いえ… 行ってきますね」
ともえ
「お留守番は任せて!」
私は初めての場所に一人で行く不安を抱えながら出掛けることになりました。
ともえ「はい、そうです。 はい・・・」
どこかにボスウォッチを掛けているのが聞こえていました。
きっと私なんかと出掛けるより大事な用事があるのでしょう・・・
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#アルパカ
「いやぁ 待ってたよぉ~」
イエイヌ
「え・・・?」
アルパカ
「今日はメイドカフェデーなのぉ~
でもトキちゃんもショウジョウちゃんも都合が付かないらしくてにぇ~
お手伝いしてくれるなんて助かるな~
はい、イエイヌちゃんの衣装はコレにぇ~」
店に入った途端、畳みかけるように喋り掛けられ、
沸き上がった疑問も差し挟む余地がありません。
あれよあれよとメイド服?…を #着付けられてしまいました。
アルパカ
「ふわぁ~ かわいいにぇ~ すんごい似合ってるゅぉ~」
イエイヌ
「///」
そうこう言っているうちに・・・
「こんにちはー」
「私いつものねー」
「あれ、今日はメイドデーだったんだ。 かわいい~」
「なになに? 新人ウェイトレスさん?」
開店と同時に次々フレンズが訪れ、あっという間に店はいっぱいになりました。
アルパカ
「はい、紅茶を1番テーブル」
「ハーブティーはテラスのお客様ね」
「3番テーブルのカップを下げてきてくれる?」
先ほどのゆったりした喋り方と、ほーげん?はどこへやら。
仕事モードのマスターは、てきぱきと指示を飛ばします。
私は慣れない作業に、終始てんてこ舞いでした。
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アルパカ
「大変だったでしょ~ お疲れ様~」
閉店後、アルパカさんは そういって紅茶を淹れてくれました。
イエイヌ
「ふぁぁ~」
とても美味しくて、知らず知らず張り詰めていた力が、体じゅうから抜けました。
アルパカ
「疲れが取れるお茶だょ~
いやぁ~ おかげで助かったゅぉ~
後で、ともえちゃん?…にもお礼を言っとかないとにぇ~」
イエイヌ
「? どういうことですか?」
アルパカ
「ボスウォッチで『イエイヌちゃんが来るから紅茶をごちそうしてあげてね』
って連絡もらってにぇ~
今日は忙しいからって言ったんだけど、
『じゃあイエイヌちゃんが、いいって言ったら、お店体験をさせてあげて下さい』
って言ってくれてにぇ~
あら~? そう言えばお手伝いしてもらえるか聞いてなかったにぇ~
ごめんにぇ~」
イエイヌ
「いえ、大丈夫です。 楽しかったです」
ああ、そんな話を通してくれていたんですね。
相変わらず、私の了承は得ていませんが…
アルパカ
「それじゃあ良かったよぉ~
今度はお客さんとして来てくれると嬉しぃな~」
イエイヌ
「はい。 ぜひ!」
アルパカ
「あとコレ。
頑張ってくれたお礼にあげるゅぉ~」
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おうちが近付くにつれ、なぜか緊張してきました。
今まではずっと独りで「待つ側」でしたし、
どこかに出掛けたとしても「誰もいない家」に帰るだけだったからです。
イエイヌ
「た… ただいま帰りました」
自分の家なのに、そ~っとドアを開け、恐る恐る声を掛けます。
ともえ
「おかえり~」
ゾクゾク…
なんでしょう? この感覚は…
いつも「言う側」だったので違和感があります・・・が、
ともえ
「ほら、アムトラちゃんも」
アムトラ
「・・・ おかえり…」
ゾクゾク…
くすぐったいような、むずがゆいような・・・
でも決してイヤ感じではありませんでした。