片付け忘れていたお茶のセットを目ざとく見つけたヒトが、そう言いました
イエイヌ
「すいません。
すぐに・・・」
ともえ
「いいよ、いいよ、ちょうど喉が渇いてたから。
頂きまーす!」
アムトラ
「さっきと言ってることが。 それに・・・」
ごくごく…
ポットに残っていた紅茶を自分でカップに注ぐと一気にあおりました。
イエイヌ
「え? え!?」
タン!
ともえ
「うーん、マズい!」
イエイヌ
「うぅ…」
普通に淹れてもイマイチという評価だったのに、冷めた状態で飲んでも美味しくないのは当然でしょう。
それよりも、あまりの展開の早さについて行けません。
アムトラ
「#おい!
それはないだろ!」
なぜかビーストの方がフォロー(?)してくれます。
何があって大人しく このヒトに付き従っているのでしょう?
ともえ
「おぉ… 怖い・・・
あ、ごめんね。 勝手に飲んだ上に失礼なこと言っちゃって」
ん?
上下関係が分からなくなってきました。
さっきからビーストがヒトをたしなめ、ヒトは素直にそれを受け入れています。
イエイヌ
「いえ、いいんです。 本当のことですから。
どうせ誰も飲んでくれないし…」
ともえ
「そんなことないよ!
これからあたしたちが毎日飲むんだから」
イエイヌ「!?」
アムトラ「!?」
ともえ
「だから明日、博士の所に紅茶の淹れ方を習いに行こう!」
イエイヌ
「え? え!?」
何が何やら。
一度にいろんなことが起こって頭の整理が追い付きません。
アムトラ
「だから話に脈絡が無さすぎだろ! 毎日ってどういうことだ。
ここに通うつもりか?」
ともえ
「あれ? 言ってなかったっけ?
あたしたちもここに住みたいなぁって。
ん~ 憧れの屋根のある暮らし・・・」
アムトラ
「いや、オレは野宿でも・・・」
ともえ
「袖振り合うも他生の縁。
ここまで一緒に旅してきたんだから、一緒に住んでも問題ないよね」
アムトラ
「・・・
見たところ、他にも家はあったようだが?」
困惑して言葉も出ない私を横目にビーストが食い下がります。
ボス
「ピピ…
ラッキーネットワークの情報によると、
長い間、居住実績がないので電気は通ってないし、掃除にも行ってないみたいだヨ」
イエイヌ
「ウワァァァァ! シャベッタァァァァァ」
ともえ
「お。 お約束だね」
ボスとお話しているということは、やっぱりヒト・・・
ともえ
「ねぇ、この家の主として私たちを受け入れてくれる?
まあ、こっちはあくまでお願いする立場だから、迷惑なんだったら、そう言ってくれていいんだけど。
別を当たるから」
またです。
このヒトは あくまで下手に出て、今度は私に判断を委ねようとしています。
確かに この状況で「今日からあたしがこの家の主だ」と言い出すのも変でしょうし、
ビーストも良い顔をしないだろうことは予想が付きますが・・・
かと言って「命令してください」っていうのも変な気がしました。
イエイヌ
「いえ、迷惑だなんて。
・・・ ぜひ泊まっていってください」
そう言うのが精一杯でした。
ともえ
「・・・ ちょっと気になる言い方だけど、まあいいか。
宿ゲットだね!」
アムトラ
「・・・」
ともえ
「そう言えば自己紹介もしてなかったね。
あたしは『ともえ』
あなたのお名前は?」
イエイヌ
「イエイヌ…です」
ともえ
「イエイヌ・・・イニシャル『I』だね。
このSSの『I』には『if』と『ieinu』っていう意味が込められてるんだって」
イエイヌ
(メタネタ・・・)
ともえ
「あと、この子はアムールトラ アムトラちゃんでいいよ」
アムトラ
「・・・」
ともえ
「それからボス」
ボスウォッチ
「ヨロシク」
イエイヌ
「・・・」