思い出に浸っていた私はノックの音で我に返りました。
がちゃ…
ともえ
「こんにちは~!」
ドアを開けると、そこに並んで立っていたのはヒト・・・
アムトラ
「・・・」
・・・と、ビースト!?
イエイヌ
「離れていて下さい!」
ともえ
「いや、この子はもう…」
私は、2人の間に割って入ろうとするが、ヒトは何故か私を止めようとする。
イエイヌ
「離してください!」
ともえ
「だから大丈夫だって…」
そんなやりとりをしている間も、なぜかビーストは襲ってくるわけでもなく、無表情で私たちを見ていました。
そうこうしているうちに私とヒトは、もつれあい、#倒れ込んでしまいました
ともえ「食べていい?」
覆いかぶさる態勢になったヒトが言いました。
イエイヌ「た…食べないでください・・・」
貞操の危機なのだ! を感じて、私はそう返しました。
アムトラ
「冗談はその辺にしておけ」
ともえ「ちぇ~」
表面上は軽く、それでいて残念そうに言って、どいた。
本当に冗談だったんでしょうか?
ある意味ビーストより危ないんじゃないでしょうか? このヒト・・・
アムトラ
「・・・」
ふと気付くと、ビーストが私を睨んでいました。
このヒトの言う通り、以前のビーストとは違うようですが、
ボロボロにされた時のことは記憶に新しく、見下ろされるとやはり委縮してしまいます。
ともえ
「ほら、そんな顔してると『睨まれてる』って勘違いされちゃうよ?」
え・・・?
アムトラ
「・・・ ただ見ていただけだ…」
そう言うとビーストは目線を外しました。
確かに殺気は感じられなかったし、あの時は強く感じた「怒りや悲しみ」も伝わってきませんでしたけど・・・
一体この2人はどういう関係性なのでしょう?
ともえ
「とりあえず中に入れてくれない?
説明するからさ」
ヒトにはマウンティングを取られ、ビーストとの格付けも済んでいる以上、
断る、という選択肢はありませんでした。