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文藝誌 ジャパリ文學(SS総合投稿スレ) / 439

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名無しのフレンズ 2018/11/10 (土) 12:29:16 修正 f2808@7d493

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【未来のぼうし】
 [3話] ~Aパート-3~

―と、部屋の扉が勢いよく開き、

折楠(おりくす)「失礼します」

小禄(おろく)「知事、これを」

さっきのSP2人が入ってきて勝手に会議室のTVを点ける。

新井「? 今は大事な会議中なのだ!」

笛音「あ~」

ミライ「?」
 
折楠「詰め所でTVを観ていたところ」

小禄「CM前のフリで『この後、ひらパー前から』というスーパーが出ていたので」

おい、仕事しろ! SP!

新井「おお、そうか。 博士、会議はちょっと中断なのだ」

ミライ「えぇ…」

笛音
「新井さんは#ひらかたパークに並々ならぬ思い入れがあってね~。
どんな小さなことでも逐一情報を入れるように言いつけていて、他のどんな執務より優先するのさ~」

それでいいのか? 大阪府民。
TVに映ったのはワイドショーだった。

MC「・・・はい。 では、ひらかたパーク前に津田さんが行ってます。 津田さん?」

レポーター津田「はい。 今日は話題の『ごはん屋台』を紹介したいと思います」

MC「ごはん? こはん(•̀ᴗ•́)و のタイプミスじゃなく?」

津田「難聴でもありません」

MC「たこ焼きとかの『粉もん』でしょ? 大阪なんだし」

津田「いえ、ごはんです」

MC「おにぎり とかでもなく?」

津田「はい。『白ごはん』オンリーです。 漬物も付いてきませんし、おかずも売ってません」

MC「えぇ…?」

ワイプに映っているゲストコメンテーターたちも一様に微妙な顔だったり、半笑いを浮かべている。
しかしカメラがパンし、行列や人集りが映ると明からさまに態度が変わった。

MC「すっごーい! いつもこんな集まってんの?」

津田
「いえ、今日は特別です。
 なんでも店主さんのお友達という方が#パフォーマンスをしてまして」

こっちのコツメちゃんは足技もイケるのか。
それよりあの格好(水着)は...

女性ゲスト「MYNさん、鼻が伸びてますよ」 ジト目(;¬_¬)

MYN
「僕、インドゾウと(ちゃ)うし。 踊ってたらヒトにぶつかった、とかないから!
 あと、それを言うなら鼻の下な!」

男性コメンテーター「ウソばっかり ついてるから」 ジト目(;¬_¬)

MYN
「ピノキオでもないし。 だいたい僕、ウソついたことなんか 一回も無いよ? 
 それと、さっきも言うたけど鼻の下な。 なんなん皆して!」

全員なごやかな雰囲気でボケとツッコミを楽しんでいる。
関西ローカルらしいやり取りだった。
茶番が一段落するとカメラは現地に切り替わった。

津田「この屋台は1日2回、この場所に来てまして・・・」

リポーターは一通り店の紹介をすると、ジャガーにインタビューを始める。
聞かれたジャガーは、どんな質問にも即座に、的確に、時にトリビアやユーモアを交えながら答える。
津田さんも「せやな そやな これな あれな わかるー」と小気味よく相槌を打つ。
視聴者は「感銘・明察・達観・博識・天下無双」を感じたことだろう。

そして試食タイムに移った。

津田「では、いただきます」

箸でごはんを持ち上げる。
そこにカメラが寄り、アップでご飯を映す。 微妙に手が震えている。

津田「見てください、この色・ツヤ」とか、
スタジオゲスト「おいしそー」 
MYN「ええなー」とか言っている。

そして口に運ぶ。

津田「うまーい! うまいぞー!」

口からレーザービームを発射する着物の爺さん(味O)のように叫ぶ。
スタジオの面々が口々に美味しそう、とかコッチには無いの? とか言っている。

津田
「ジャガーさんの『ごはん屋台』は1日2回、ひらパー前に出店しています。
 是非、食べに来てみてください」

さっきまで自分が騒いでいたとは思えないほど落ち着いた様子で笑顔でシメた。
プロの仕事だった。

津田「では最後に・・・ 店主、あなたにとって『ごはん』とは?」

出た。 非常に答えにくいフワっとした哲学的な質問だ。

ジャガ「人生そのもの、かな?」

津田「おぉ… 深いでs…」

ジャガ「知らんけど...」

MC「はい。 ありがとうございました。 いやぁ、美味しそうな ごはんでしたねぇ…」

カメラは抜群のタイミングでスタジオに戻ってMCが引き取る。
地味だがスイッチャーもプロの仕事だ。
バックの大きいモニターにはポカンとしたリポーターが映っていた。

バラエティコーナーは終わったらしく、報道センターのニュースに移るようだった。

アナウンサー「政府は大阪で起こっている地震などの影響を重く見て、近くJ隊の派遣を…」

新井「ひらパーの情報じゃなかったのだ!」 

うん、確かにひらパーそのものの情報とは言いがたい。
それを察してか、いつの間にかSP2人は姿を消していた。

新井さんは憤懣(ふんまん)やるかたないのか、顔を真っ赤にして地団太を踏んでいる。

笛音「またやってしまったね~。 新井さ~ん」

私はキュン死しそうだった。

博士は無表情でポツリと呟いた。

「知らんがな…」

・・・・・・・・・・・・

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