前回>> 140
君への想い 最終回
(推定OP・なかよしマーチ[低音&サビ前まで])
輝きがある、それがフレンズ。
では、輝きを失ったフレンズはどうだろう。
答えは実に簡単である。
それはフレンズではなくなり、欲になる。
そしてそれはまるで輝きを取り囲むが如く、大きくなる。
だから、殺さなくてはならない。
どんなに悲しんでも、絶望には抗えない。
・
・
・
ぼくは、前に倒れた。
不思議と体が軽い。
痛いはずの体に感覚がない。
壊れかけの体をなにかが包み込む。
かばん「これが……死……か……」
薄々悟った。
ぼくは死んでいると、
か……ん……だ……う……
ん?
かば……だ…じょ……
え?
かばん……大丈……
誰かがぼくを起こす。
意識がある。
つむった瞳を開ける。
【???「かばんちゃん!大丈夫!?」】
視界はまだぼやけている。
汗と涙で前が見えない。
かばん「え……?」
何かがぼくを抱きしめる。
嗅いだことのあるこの匂い、
まるで太陽……
声から感じとられる安心感、
まるでサバンナ……
ぼやけた視界で見える色合い、
まるで……
まるで……
まるで……
かばん「……サー……バルちゃん……?」
嘘だ……
絶対嘘だ!
ありえない……こんなこと空想でもない限り……こんなことが……起きるわけない……
【サーバル「安心して……もう大丈夫だよ……」】
これは現実?
幻覚?幻想?
もう死んだ?
これは天国?
【サーバル「ごめんね…かばんちゃん……迷惑かけて…」】
ふざけるな……死に際に…こんなふざけたことを考えるな……ぼく……
こんな縁起でもないことを……
かばん「出てけ………」
【サーバル「え……?どうして」】
かばん「早くでt……」
男「かばん!!」
あの男の声……
ぼくの目の前にいる。
男「いい加減にしろ!!」
男は息を荒くしていた。
男「また、なんだ?あれか?幻想か幻覚かなんかに勘違いでもしてんのか?あぁ!?」
かばん「幻覚かどうかなんてわかるでしょ!?どうせあなたもぼくの幻覚……」
【サーバル「かばん……ちゃん?」】
男「んなこと言えるのはなぁ!確信を持ってからだろ!なに?憶測の段階で決めつけて、それを傷つけようとするだぁ!?そんなんクソだろ!」
かばん「じゃあどうやったらこれが現実ってわかるんですか!?そんなのないですよね?こんなの!」
ぼくは怒鳴った。
傷だらけのはずなのに
男「じゃあ……お前の言う《こんなの》を信じれば?話せば?笑えば?方法なんざ腐るほどあるんだよ、それでも信じられないんだったら、それを抱きしめろ。そしたらわかるはず」
ますます腹が立つ。
なんなんだ?この男は?
話せだ?笑えだ?
【サーバル「かばんちゃん……」】
抱きしめろ?意味がわからない
【サーバル「かばん……ちゃん……」】
何回だってこんな幻覚見てきたと言うのに……
【サーバル「………かばんちゃん……」】
こんなのばっかだから……ぼくは……!
【サーバル「………………」】
こんな……こんな……
サーバル「かばんちゃん!!!!」
ぼくの耳に振動が走る。
ぼくを抱きしめる強さがさらに強くなる。
サーバル「どうしてそんなに…人を信じられないの!?そんなの……そんなのかばんちゃんじゃないよ!!」
サーバル「自分の体を見てよ!!さっきまでボロボロだったのに……今は傷ひとつないじゃない!!」
サーバル「どうして……私はかばんちゃんに会いたかっただけなのに……どうしてこんなこと言われなきゃいけないの!!??」
サーバル「あの優しいかばんちゃんを返して!!返してよ!!!!!」
・
・
・
・
こんな……心に……したのは一体誰だと……思ってるんだ………?
男「お前だよ、いい加減にしろ」
ぼくの目から涙がこぼれた。
嬉しかったんだ……
男「だから、抱きしめる必要があるんだよ、泣いてんじゃん、辛いなら言ってやれよ《ごめん》って、黙って泣いてるだけじゃ伝わらないことこそわかるよな?」
ぼくは男を見ず、頷いた。
ぼくはそっとサーバルちゃんの背中に手を添えた
そして強く抱きしめた。
サーバルちゃんに負けないくらいに強く。
そして、ぼくは、言った
かばん「ごめんなさい……サーバルちゃん……ごめんなさい………!」
ぼくは目を閉じた。
目が覚めた時は、深夜2時ほど、そして自宅のベッドの上で寝ていた。
不思議なことだが、なぜか納得がいく。
本当、なぜか
ぼくはトイレに行きたくなった。
だから体を起こし、ベットから降りた。
そしておもむろに横を見る。
眠かったのが晴れ、ぼくは笑顔になる。
かばん「これからもよろしくね……サーバルちゃん」
これは現実、ぼくは信じる。
(ED・なかよしマーチ[サビ&オルゴール])
「君への想い」 完
無事に終わらせることができました。
次回作主人公のアンケートにぜひぜひお答えください。
(運が良かったらあの[男]の正体がわかるかも……)
誠にありがとうございました!!
じゃぱりぱーくは死後の世界だった…?
全体的に話は重いが、こういうアプローチからのけもフレもまた面白いですね
次回作もがんばって下さい👍