ダブルスフィア×時短探偵・雪子 伏線回収系推理SS
【ホワイトアウト】
アルマー
「ねぇ、寝てるだけってことはないの?」
外では季節外れの暴風雪が吹き荒れる洋館:ろっじアリツカ。
センちゃん
「いいえ、アミメキリンさんは警戒心が強いので横になって寝ることはありません。
これだけ人が集まってるのにちっとも目を覚まさないのもおかしいですし時間も長すぎです。
そもそも廊下ですよ? ここは。
つまり外的要因によるもの、と言わざるを得ません。
ライイングメッセージも持ってますしね」
アルマー
(dyingじゃなくてlying・・・確かにウソはついてないよね)
一同の目の前ではアミメキリンが俯せに倒れている。
白紙の原稿用紙を持って・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アルマー
「え、なになに!?」
センちゃん
「どこから出てきたんです!?」
突然の登場に集められた容疑者たちも目を白黒させている。
アルマー
(さっき館内を捜索した時には確かに居なかったはずだけど・・・)
雪子
「袖で出るタイミングを見計らっていました!」
アルマー
(袖・・・って?)
センちゃん
「いきなり出てきて根拠のない推論を語るのはやめてください。
まだ外部の犯行の可能性も残されてるんですよ?」
「ちっちっち」
人差し指を立て、左右に振りながら雪子は自慢げに反論する。
「あなた方が入館し、ハクトウワシさんが退館したあと、
私はけものミラクル:嵐雪遮界(ホワイトアウト)をすみやかに発動しておきました。
これは吹雪を起こすことで戦闘時には敵の攻撃命中率の低下を引き起こしますが、
今回は結界(密室状態)に転用させていただきました。
効果は12時間。 その間はセルリアンどころかアリリアンの出入りする隙もありません!
ちなみに、この技名とタイトルが同じなのは伏線です!!」
アリツさん
「あの風と雪はあなたの仕業でしたかぁ・・・」
アルマー
「どっちに転んでもセルリアンなんだね」
博士
「時短とはネタバラシをすることではないと思うのです。
核心は突いてないので物語的にセーフだとは思いますが・・・」
助手
「探偵のくせに推理モノのお約束も知らないのですか?
セリフは長尺ですし・・・」
タイリク先生
「伏線とは撒いておくもので、開始と同時に巻き取るものではないよ」
口々に容赦ないツッコミが入った末に、無慈悲な宣告が告げられる。
センちゃん
「・・・するとあなたも容疑者ということですね」
雪子
「ぎゃふん!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
容疑者たちの供述(※任意の事情聴取)は以下の通りである。
博士(長1)
「我々は限定ジャパリm…
締切間近だというのに原稿を持ってこないので催促に来ただけです。
ちなみに今回、私はアミメキリンとは話してもいませんよ」
助手(長2)
「ここに来た理由は博士と同じです。
タイリクオオカミがたるんでいるのはアミメキリンのマネージングにも問題があるのではないですか?
ーということを言ってやろうと思いましたが、アミメキリンからの返答はありませんでしたね」
タイリク先生(マンガ家)
「アミメくんの持っている白紙の原稿用紙は確かに私のものだ。
だがそれ以上でもそれ以下でも無いよ。
締め切りのことで? ああ、原稿が間に合ってないことで軽い諍いはあったが、
『日常茶飯事』の範疇を越えるものではなかった、という認識でいるよ。
それについてはアリツさんが証明してくれるだろう。 一緒にいたのでね」
アリツさん(ろっじ経営者)
「ええ、確かに先生とアミメキリンさんは揉めてらっしゃいましたねぇ。
アミメさんはかなり興奮されていらしてぇ・・・
えぇ? 私が部屋を訪れた理由ですかぁ?
いつも締め切り前日には差し入れをお持ちしますのでぇ。
それを召し上がったあと、アミメさんは部屋を出ていかれましたぁ。
私は仕事がありますので部屋を出て戻ろうとしたところ
廊下で倒れていたのを発見した次第ですぅ」
雪子(時短探偵)
「なんで私まで容疑者扱いなんですか! 探偵ですよ、私は!
え? 『探偵なのに犯人だった』展開も推理モノあるある?
じゃあダブルスフィアのお2人だって容疑者にするべきじゃないんですか!?
ちょ… いくら話が進まなくなるからって『作者権限でダブルスフィアは潔白設定』なんてズルですよー!
そもそもアミメキリンさんとは一面識もないですし、
昨晩もチラっとすれ違っただけで、言葉さえ交わしていませんよ!
あ~ こんなことなら嵐雪遮界なんて使うんじゃなかったー!!」
アミメキリン(マネージャー・ポンコツ探偵)
「・・・」(へんじがないまるでしかばねのようだ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
くらがりの間(2人の自室)に戻った2人は今後の捜査方針について話し合うことにした。
アルマー
「どうしよう?
館内をくまなく捜索したけど、やっぱり部外者が出入りした形跡は無いし、
かといってここに残っている人の誰もウソは言ってないみたいだし・・・」
ラッキービースト(メディカル担当)
「アミメキリンの診断結果を表示するヨ」
センちゃん
「AI技術が発達したおかげでボスの性能も上がりましたね」
ホワイトボードに出力された診断結果の要点は以下の通りだ。
・呼気から微量のアルコール成分が検出
・後頭部に軽い打撲
・バイタルチェックによると犯行時の直前に血圧・脈拍の乱高下があったと推測される
センちゃん
「容疑者の供述と比べてみると、ウソこそついてないかもしれませんが、
意図的に情報隠蔽している可能性はあります。
もう一度、取り調べる必要がありそうですね」
アルマー
「うーん…
でも、とりあえずアミメさんは容疑者から外れそうかな?」
センちゃん
「自作自演の可能性を考えて候補に入れていたんですが、
こうなってみると確かにその線は薄いと言わざるを得ませんね」
季節外れの吹雪で一種の密室状態にある、ろっじアリツカで起きた不可解な事件。
その容疑者は5人に絞られた・・・
2話~前日譚~
3話~推理編~
・・・に続く
【すぺしゃるさんくす:ツッコミ隊長さん@901ff32967】
時短探偵・登場編
デカパンダ編
VS怪盗編
※1話に加筆修正しました。
ですが、このまま読み進めて頂いてもまったく問題はありません。
読み直すほどの変更ではないので。今は
は、犯人は誰なのだー!?
雪子ちゃんの活躍も気になるぜ 続編がんばってなのだ
雪子が犯人役として大活躍・・・ということにならなければいいんですが…w
明日以降も頑張りまっする
(イラスト:ネギ大福さん)
待ってました!コロナ生き延びた甲斐がありましたのだ!
風龍さんのイラストかわいいですね
雪子に新しいミラクルが!しかし使ったことでなぜか犯人候補に
時短にもなってないというところは雪子らしいのだ
白い原稿用紙が犯人を指し示している→白とう和紙→ハクトウワシ
ホワイトアウトはハクトウワシOUT
動機はケシカラン原稿のすり替え??・・・思い浮かばな~いのだ!
続き楽しみにしております
ありがとうなのだ
読んでいただきありがとうなのだ
推理が当たってるかどうか・・・は続きを読んでのお楽しみなのだ
ダブルスフィア×時短探偵・雪子 伏線回収系推理SS
【ホワイトアウト】
時は遡って3月2日18:00頃のこと・・・
アルマー
「こんにちは~」
アリツさん
「いらっしゃいませぇ~
お泊りですかぁ?」
ダブルスフィアです。 ちゃんと予約しておいたはずですが?
アリツさん
「えぇと…」
アリツさんが宿泊台帳を繰る。
「これは失礼しましたぁ
はい、確かに承っておりましたねぇ」
センちゃん
「・・・読者に見えないからって愛想のいいテンプレ挨拶とは裏腹に
あからさまに嫌な顔するのやめてもらえます?
こちらは客ですよ?」
アリツさん
「えぇ~? なんのことでしょう?」
センちゃん
「しらばくれないでくださいよ」
「だって『探偵さんが洋館に泊まると事件が起こる』のってフラグじゃないですかぁ~」
イラスト:Tじろ~ さん
「あ、ハクトウワシさんお疲れ様ですぅ~」
ジャパリパークでは明日3/3ひな祭り(桃の節句)を記念して
『限定:白桃ジャパリまん』をパーク内の特定施設で配ることになっていた。
ろっじでも朝ごはんとして宿泊客に振る舞うことになっており、
この地区担当のハクトウワシがその搬入を済ませたところだった。
ハクトウワシ
「ええ。 ブツは『ひんやりの間』に置いておいたわよ」
アリツさん
「お手間を掛けさせてしまって申し訳ございませんでしたぁ」
ハクトウワシ
「いいのよ。 盗み食いはイッツ・ギルティ!だものね」
アリツさん
「ありがとうございましたぁ~
あ、お待たせしました。 話を戻しますけど」
アルマー
「私たちとの対応に明白な差が・・・それはもう、すがすがしいほどに出てるね…」
アリツさん
「ほらぁ、そうでなくてもウチは『ホラ吹き上手のホラー漫画家さん』が逗留しているろっじ
として名が広まってしまってるじゃないですかぁ。
中には
『何も起こらなかったじゃねぇか! キシャー!』
『ふまん…』
ーとクレームを付ける方までいらして・・・」
センちゃん
「そんなことまで私たちのせいにしないでください」
アリツさん
「・・・それもそうですね。 愚痴ってしまって申し訳ありませんでした。
では改めてお部屋のご案内をさせていただきますねぇ」
アルマー
「はーい」
すっかり仕事モードに切り替わったアリツさんと、それに続いて歩くダブルスフィア。
その様子を見ていた白い影が、物陰から出てくると館の出口に向かって歩いて行った・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カタカタ…
廊下を進んでいると注意を促すかのように窓が音を立てた。
アリツさん
「あら? 急に風が・・・
ハクトウワシさんは大丈夫でしょうか?」
ガタガタ… ガタッガタガタ!
それどころじゃないぞ、と言わんばかりに窓は身悶えする。
アルマー
「さっきまであんなに天気が良かったのに・・・」
風は更に強く、雪まで混じっているようだ。
センちゃん
「こんな時期におかしなこともありますね。
異常気象でしょうか?」
窓の外は、すぐに1m先も見通せないぐらいの吹雪に変わっていった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アリツさん
「こちらが『くらがりの間』になります。『こはん』から『巣穴』に適した土を搬入し敷き詰めた部屋となっておりまして、お客様本人に掘り進めてもらうことでそれぞれに合った居住空間を確h・・・」
センちゃん
「部屋の解説なら必要ありません。
事前にこちらのホームページを確認して調べて決めましたので」
アリツさん
「がーん。
便利になり過ぎるってのも良し悪しなのかしらねぇ…」
アリツさんは打ちひしがれた様子だった。
アルマー
「センちゃんは淡白だね
オタク特有の早口っていうの? 私はもうちょっと聞いててもよかったけど・・・」
アリツさん
「ではごゆっくりぃ…
今度、ミステリールームでも企画してみようかしら・・・?」
アリツさんはアルマーのフォローも耳に入っていない様子でブツブツ言いながら去っていった・・・
日付は変わって2023/3/3 AM1:00
アリツさん
「ほらぁ、だから言ったじゃないですかぁ」
こうして冒頭の状況に戻る。
苦虫を嚙み潰したような顔のセンちゃん。
目の前にはアミメキリンが突っ伏している。
センちゃん
「私たちのせいで、とは絶対に認めたくはありませんが・・・
こうなってしまったからには探偵の責務として犯人を挙げるのみ!
アルマー、館内にいる人たちを集めてきてもらえる?」
アルマー
「OK♪」
鼻歌交じりで被害者の周囲をなぞるように白線で囲んでいたアルマーが応えた。
センちゃん・アリツさん
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして集められた容疑者は
アリツカゲラ、タイリクオオカミ、博士、助手。
そして雪子を加えた5人だった。
センちゃん
「こちらがラッキービーストによる調査報告の結果になります。
これを基に改めて取り調べを始めさせていただきますが・・・
自白して罪を軽くするなら今のうちですよ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
解決を急ぐあまり容疑者を一堂に会して、というやり方がマズかったらしい。
取り調べという名の会議は紛糾を極めた。
雪子
「ダイイングメッセージの『白紙』から『博士』ってことはないのですか?
どちらも『はくし』と読めますし」
博士
「燃やされたいのですか!? ダジャレで犯人扱いなんて認められません。
そもそも白紙はタイリクオオカミさんのものだったのでしょう。
疑うならまず、そこからではないのですか?」
タイリク
「私はアミメくんに感謝こそすれ憎む理由がないよ。
締め切りのことでせっつかれるのも私の不徳の致すところだしね。
なのに助手は私に直接言わず、かなりアミメくんにつらく当たってたそうじゃないか。
そう愚痴っていたのを何度か聞いたよ?」
助手
「それを言ったら『先生のサボり癖』も嘆いていましたけどね。
ところでアリツカゲラは『事件を引き起こす探偵』を苦々しく思っていたそうじゃないですか。
トラブルメーカーでポンコツなくせに探偵気取りのアミメを・・・というのは動機になりませんか?」
(イラスト:kisachiさん)
ここぞとばかりに2人掛かりで圧を掛ける。
アリツ
「そんな大それたこと考えたこともありませんよぉ。
仮に私が嫌がっているとして、それで事件を起こしてたら本末転倒じゃないですかぁ」
雪子自作自演 なんて
「いいえ!
倫理観ゼロ、論理破綻した動機による
長期連載推理モノのお約束じゃないですか!」
自らに掛けられた疑いを晴らそうと必死なのかフレンズたちの討論は
まるで時限爆弾ゲームのようだった。
アルマー
「どうしよう・・・
このままじゃ迷宮入りだよ~」
いよいよ収拾が付かなくなりつつ様子を見て、もはやアルマーは白旗を上げる寸前だ。
センちゃんもどうしたものかと考えあぐねている。
アリツ
「あの~」
センちゃん
「はい?」
アリツ
「差し出がましいことを言うようですがぁ・・・」
センちゃん
「一応聞いててみましょう、なんですか?」
アリツさん
「ボス犯カメラの映像を確認されてはどうでしょう?」
アルマー
「え・・・?」
このろっじではあまりにも不可解な事件・事象の二次創作が作られるので
ラッキービーストからカメラ機能を借り受け、館内各所での動体検知録画を導入したのだという。
アルマー
「もっと早く言ってよ!」
4話~真相編~に続く
続きがとーっても気になるのだ!
挿絵がとてもいい仕事してますのだ
それぞれ発注したのだ? とてもいいアクセントになってますのだ
あと雪子の白紙→博士のムチャ推理で「燃やされたいのですか!?」には
すごく笑ったのだ たーのしーのだ😂
(>3<)☝内緒ですが無断でPIXIVやニコニコ静画から拝借させて頂いてますm(ーー)m
ところでヒゲじいのダジャレ→燃やせ!ムーブは、いつからどんな経緯で始まったんでしょうね?
解き明かしてくれたら👏(はくしゅ)します
アリツさんが一番有能説が出てきたのだ
作者の趣味が色濃く反映されちゃいましたかねw
こういうキャリアウーマン的なキャラ好きなんですよ
脚もエッッッですし…
ダブルスフィア×時短探偵・雪子 伏線回収系推理SS
【ホワイトアウト】
録画データの確認が始まった。
2023/03/02/11:58
(イラスト:ShiBiさん)
タイリクオオカミの部屋にアミメキリンが入ってきたところからだ。
アルマ
「この時はまだ何も起こってなさそうだね」
しかしこの後、状況は一変する。
[先生! これはどういうことですか!?]
白紙の原稿用紙をバサバサ振りかざしながらアミメキリンが激昂している。
[アイデアがまったく浮かばなくてね。 %%{bg:mistyrose}頭の中は真っ白%%さ]
タイリク先生は悪びれた様子もない。
[どうするんですか、締め切りは明日なんですよ?
これまでも発刊が遅れたり休載するたびに
製本担当の博士たちや、新刊を待っている読者さんたちに白い目で見られる私の身にもなってくださいよ!]
アミメキリンは涙目だ。
センちゃん
「この辺りは供述の通りですね」
2023/03/03/0:05
コンコン…
アリツさんが入室してきた。
[差し入れをお持ちしましたぁ。 少し休憩してはどうでしょう?]
[休憩も何も! そもそも始まってさえいないんですけど!?]
アミメキリンはアリツさんにもヒステリックに食って掛かる。
[今日はひな祭りなのでアラレと白酒を用意してみました。 どうぞ召し上がってください~]
一方のアリツさんは慣れているのか、軽くいなしている。
[ジラフがシラフじゃダメだってことなんですね!]
よく分からないことを言いながらアミメキリンは白酒を一気にあおる。
[けほっけほっ!]
思ったよりアルコール度数が高かったらしい。
背を丸めて軽く噎せるアミメキリン。
タイリク先生
[おいおい、大丈夫かい?]
[あぁ、お水を用意しておけばよかったでしょうかぁ]
アリツさんは甲斐甲斐しくアミメキリンの背中をさすっている。
[もうぉ、やってられないれすよぉ~!]
アミメキリンはそれを跳ね除けるように背を伸ばすと、
呂律の回らない口調で愚痴をこぼしがら、フラフラとおぼつかない足取りで室外に出て行ってしまう。
2023/03/03/0:11下手 に向かって歩いていると、ぼや~とした白い人影が見えてきた。
画面は廊下に切り替わる。
アミメキリンが暗い廊下を
(一時停止してズームしてみると、かろうじて雪子だと確認できた)
アミメ
[ヒェッ… オバケ!?]
雪子
「えぇ…?」
ショックを受けている雪子をその場に残し、アミメキリンは逆方向に向かって逃げ出した。
走って酔いが回ったのか、アミメキリンはすっかり千鳥足になっている。
2023/03/03/0:15
[む~ あの女、一体どこに隠したのですか…?]
[おっと、アミメキリンではないですか。今のは聞かれなかったでしょうね?
えっと…そうです。
原稿を取りに来たのです。 さっさと寄越すのです]
アミメキリンの顔からはみるみる血の気が引いていき、いまや蒼白だ。
・・・ゴス!💥
2023/03/03/0:16
博士
[ん? 何か足に当たりましたか?
おお、助手。 見つかりましたよ。 あの女、まさか客室の1つに隠していたとは・・・」
助手
[博士、博士]👉
助手の指差す先では白目を剝いたアミメキリンが倒れていた。
博士による無音フライングニーアタックが後頭部に炸裂したからだ。
博士
[い、今のは不可抗力なのです]
助手
[そ、そうです。 そうに違いないです。
なんかフラフラしていましたし、酒臭いところから見るにしこたま酔って勝手に倒れただけで
膝が入ったように見えたのは気のせいです。
ともかく、余計な詮索をされないためにもここはズラかることにしましょう]
2023/03/03/0:20
ほどなくしてアリツカゲラが画面に映った。
違和感に気付いたのか、小走りで倒れたアミメキリンに近寄ってくる。
アリツ
[・・・? アミメ…さん? 大丈夫ですか!?
先生― ちょっと先生! 来てもらえませんかー!?]
2023/3/3/0:24
ここでセンちゃんはビデオを止めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして真実が白日の下に晒された訳だが、フレンズたちの往生際は悪かった。
雪「やっぱり博士のせいじゃないですか」博士&助手 は何しに『ろっじ』に…?💢」
博「いや確かにとどめを刺したのはかもしれませんが、元はと言えばタイリクオオカミたちが・・・」
タ「雪子くんを見てかなり驚いていたようだが…」
助「お酒で悪酔いしたのがそもそもの原因なのでは?」
ア「
ふたたび白熱した議論が交わされる。
ただ、今度は誰の責任が一番重かったのかという低レベルな言い争いが・・・
「うーん…」
ようやくアミメキリンが意識を取り戻しそうだったが、いまや誰も気に留めていない。
[これって全員アウトなんじゃ・・・]
白けた口調でアルマーが口を挟むが、
博「いえいえ」
助「誰も悪くなかったと思うのですよ」
ア「たまたま不幸な事故が重なっただけでぇ~」
タ「つまり、みんなシロだろう」
雪「セーフ!セーフ!」
「んな訳ありますか!」
あまりの結論にアミメキリンがツッコむ。
「シロかもしれないけどアウト!
ホワイトアウトよ!」
5話~回収編~に続く
偶然と偶然(?)が折り重なった波状攻撃がヤギを襲ったのだ
不幸な事故だったのだ
ヤギが真犯人だった説もある…w?
ほぼキリンの独り相撲だったという
それにしても博士たちとりあえず救護措置しろよ!というツッコミをいれつつ
雪子が犯人じゃなくてヨカッタ・・・😮💨(そこ!?)
ハクトウワシ犯人説は大外れ!🤪
キレイにオチが決まったところでまだ続きがある!?
いつもながらにすごいボリュームなのだ
こうして雪子の出オチバラシによる伏線は回収されたのであった・・・
ーで終わらないのが本作。
どんでん返しが待っている…?
マンガと違って文字のみだとどうしても物量がね・・・
ダブルスフィア×時短探偵・雪子 伏線回収系推理SS
【ホワイトアウト】
「シロかもしれないけどアウト!
ホワイトアウトよ!」
一度は勢いでそう言い放ったアミメキリンだったが、
「今回の事件は悪意があったわけでも故意でもありませんし。
なにより皆さん、反省もしているようですから・・・」
落ち着きを取り戻したアミメキリンは、すべてを水に流すことにしたのだった。
アルマー
「大岡裁きだね。 でも良かったの? それで」
アミメ
「私まで疑われていたことは心外ではありますが・・・」
センちゃんは気まずそうに顔を逸らす。
アミメ
「どなたかの科白(せりふ)にありましたが、たまたま事故が重なっただけだと思いますんで・・・」
一同の顔には安堵の色が浮かんでいた。
「・・・ねえ。
読者の中にはも薄々気付いた人もいるかもしれないんだけど・・・」
張り詰めていた空気が和らぎつつある中、1人神妙な顔をしながらアルマーが口を開く
「どうしました?」
センちゃんも、そのただならぬ気配を察し耳を傾ける。
アルマー
「今回の話って『白』多くない?」
一同はセルリアンがぽっかーん!を食らったような顔で…
いやつまり、ぽかんとしている。
アミメ
「・・・?
せっかくいい話で締めようと思ってたのになんでそんな茶々を…
って、これでは茶色ですか」
センちゃん
「いえ、アルマーの言う通り、確かに『科白』なんてあまり使わないですよね。
同じ漢字でももっとポピュラーな『台詞』がありますし、
カタカナの『セリフ』でもいいのにわざわざルビまで振って・・・」
「・・・?
私は台本通り喋っただけですが…?」
しかしアミメも違和感を覚え出したのか訝しげな顔になる。
「でも、言われてみて台本を見返してみると・・・
白い目とか、蒼白とか、白目を剥くとか、確かに多いですかね?」
だが、まだ半信半疑な様子だ。
アリツさん
「私に関係することで言うと白酒とか白桃ジャパリまん、とかですかぁ?
今日はひな祭りなんで特段おかしいことだとは思いませんでしたけどぉ」
「その日付設定もそもそも仕組まれたものだったとすればどうだい?」
タイリク先生は創作者目線で鋭い指摘を入れる。
助手
「ハクトウワシも白桃ジャパリまんと掛けただけのダジャレだと思ってましたが、
漢字で書くと『白』頭鷲ですしね」
アルマー
「ちょっと見て!」
一同の目が差し出された台本に注目する。
「ここに『白』に関連する言葉に背景色が付いてるんだけど、かなりの数あるよ!?」
センちゃん
「・・・なんですか、これは!?」
博士
「遡ってみると、そもそもこの事件の始まりはアミメキリンが『白紙』を持って倒れてるところから・・・
いや、もっと・・・・・・!?
って、タイトルからして『ホワイトアウト』じゃないですか!」
「・・・ホンマや!」
一同は雪子のボケを合図に、まるで新喜劇のように盛大にズッコケた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
博士
「やれやれ」
助手
「とんだ騒動に巻き込まれてしまったものです。
原稿も上がってないことですし、帰るとしますか」
アミメキリン
「何を言ってるんですか!
こうなったら徹夜ででも原稿を手伝ってもらいますよ!
マンガの作業工程というものはやることが目白押しなんですから
アルマー
「でもアイデアは全然無いって言ってなかった?」
タイリク先生
「いや・・・今まさに浮かんだ!
今回の事件をネタに再構成すれば面白い作品になりそうだ」
アミメキリン
「ほらほら、そういうことですから手伝ってください」
一同からは一斉にブーイングが起こるが・・・
雪子
「私のホワイトアウトの効果は12時間持続といったじゃないですか
どうせ朝6:00までは出られませんよ」
一同の間にはあきらめムードが漂う
アリツさん
「じゃあその前にお夜食にしましょうか」
一転、一同が湧き立つ。
アリツさん
「ーというわけですから博士さん、助手さん、ジャパリまんを出してください」
博士
「むむ…誤魔化せませんでしたか・・・」
この期に及んで独り・・・二人占めするつもりだったらしい。
助手
「私たちもれっきと宿泊客。
食べる権利はあるはずですよ」
「あなた方の分はあなた方の分け前として除いてもらって構いません。
ですから残りを出してください」
アリツさんはアミメキリンの決定を尊重し、感情に流されることなく。
それでいて正当な主張は通す。
博士「分かったのです」
助手「仕方ないのです」
雪子✋
「あ、私は遠慮します。
正規の手続きを経ていない飛び込み客なので」
(当然、頭数にも入ってないだろうし)
「でも・・・」
博士たちからジャパリまんを受け取りながらアリツさんは提案する。
「でしたら私の分を…」
タイリク先生
「その必要はないよ」
「ん?」
センちゃんはフレンズとジャパリまんをそれぞれ指差し確認しながら指摘する。
「足りてますけど…」
この場に居るのは博士、助手、センちゃん、アルマー、タイリク先生、アミメキリン、アリツさん
・・・そして雪子の8人
一方のジャパリまんは・・・数えてみると確かに8つある
アリツさん
「あら? 数は丁度しか頼んでなかったはずですけど・・・注文を間違えたのかしらぁ」
不思議がるアリツさんを尻目にタイリク先生がキメ顔で語りかける。
「やはり物語のラストというのは『大団円』・・・丸く収めないとね。
そうは思わないかい、ダブルスフィアのお2人さん?」
アルマー
(なんか台本から外れ出した…?)
突然スポットライトを当てられて戸惑う2人と、
そのリアクションを楽しそうに眺めるタイリク先生。
悪い顔をしている。
センちゃん
「・・・!
まさか『丸いもの』にも伏線があったとか・・・!?」
とっさに機転を利かしたセンちゃんがなんとか返す。
タイリク
「いや、無かったはずだよ?」
タイリク先生はあっさり否定する。
台本を見返しても確かに無い。
しいて言うなら句点(文末の『。』)ぐらいだが、これは伏線とは言わない。
センちゃん
「じゃあ、これからまた始まるとか?」
タイリク先生
「いや、あと少しでこの物語も終わってしまうよ、ほら」
タイリク先生は『何か』を待っているような口ぶりだ。
センちゃん
「だったら伏線とは言わないんじゃないですか?」
タイリク先生
「知ってるよ。
私だって創作者の端くれだからね」
センちゃん
「だったらなんでこんな茶番を?」
タイリク先生
「最後だからちょっとアドリブをカマしてみようと思ってね」
アルマー
「台本に無いこと急(球)に振られても困る(こまる)よ!」
キレイにオチたのを確認するとタイリク先生は満足げにうなずく。
そうして、ろっじアリツカを舞台にした物語は幕を下ろしたのだった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
~後日談~
彼女らの作業は夜が白むまで続き、
ホワイトアウトの効力が切れた頃、無事にマンガは完成した。
(イラスト:よしゆきよしぞう さん)
タイリク先生
「お疲れさん、有能なマネージャーくん」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
のちに舞台化されたこの作品は評判が評判を呼び、千秋楽を迎える頃には
プラチナチケットにまでなったという・・・
(白金)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【ホワイトアウト~舞台版~】
[キャスト]
センちゃん(探偵)・・・・・・・・・・・・オオセンザンコウ(ダブルスフィア)
アルマー (探偵)・・・・・・・・・・・・オオアルマジロ (ダブルスフィア)
アリツさん(ろっじアリツカオーナー)・・・アリツカゲラ
ハクトウワシ(ジャパリまん配達業)・・・・ハクトウワシ
タイリク先生(マンガ家)・・・・・・・・・タイリクオオカミ
アミメキリン(マネージャー)・・・・・・・アミメキリン
博士(宿泊客)・・・・・・・・・・・・・・アフリカオオコノハズク
助手(宿泊客)・・・・・・・・・・・・・・ワシミミズク
雪子(時短探偵)・・・・・・・・・・・・・雪子(友情出演)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[スタッフ(裏方)]
照明・小道具・演出・・・・・・・・・・・・ハクトウワシ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[製作]
原作 :タイリクオオカミ
脚本 :愛知
舞台監督:タイリクオオカミ
すぺしゃるさんくす:ツッコミ隊長さん
時短探偵~登場編~
パンダデカ編
VS怪盗編
ーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーー
カーテンコール
めでたしめでたしなのだ
白でまとめられたギャグサスペンスという新ジャンルなのだ!
雪子の分もジャパまんがあってヨカッタ
波乱万丈なストーリーでかつけもフレらしい
実に読み応えがありました
雪子起用してくれてありがとうなのだ
完結おつかれさまでした
「白」は漫才師ナイツさんの「赤と白」を参考にさせてもらいました。
ですが、伏線を複線走らせたのは初の試みです。
おかげで読むのが複雑になってしまったかも…(書くのもですがw)
前回(・・・はヨカレが主役でしたが)、前々回(ちょい役w)と
雪子ちゃんを起用させてもらってますが、
それだけ魅力的なキャラだということで、
それを生み出したツッコミさんは胸を張っていいと思いますよ。
その魅力についてSS3話分くらい書いてもいいんですが、
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シビレ隊長が妬きそうなので割愛しますw
ツッコミさんも体には気を付けて創作活動、ガンバッてくださいm(ーー)m
(もうちょいでコメント数2000か・・・)
長編お疲れ様でしたのだ
白圧の強いお話だったのだ
白身迫真の演技、お楽しみ頂けたのなら幸いですm(ーー)m