ダブルスフィア×時短探偵・雪子 伏線回収系推理SS
【ホワイトアウト】
「シロかもしれないけどアウト!
ホワイトアウトよ!」
一度は勢いでそう言い放ったアミメキリンだったが、
「今回の事件は悪意があったわけでも故意でもありませんし。
なにより皆さん、反省もしているようですから・・・」
落ち着きを取り戻したアミメキリンは、すべてを水に流すことにしたのだった。
アルマー
「大岡裁きだね。 でも良かったの? それで」
アミメ
「私まで疑われていたことは心外ではありますが・・・」
センちゃんは気まずそうに顔を逸らす。
アミメ
「どなたかの科白(せりふ)にありましたが、たまたま事故が重なっただけだと思いますんで・・・」
一同の顔には安堵の色が浮かんでいた。
「・・・ねえ。
読者の中にはも薄々気付いた人もいるかもしれないんだけど・・・」
張り詰めていた空気が和らぎつつある中、1人神妙な顔をしながらアルマーが口を開く
「どうしました?」
センちゃんも、そのただならぬ気配を察し耳を傾ける。
アルマー
「今回の話って『白』多くない?」
一同はセルリアンがぽっかーん!を食らったような顔で…
いやつまり、ぽかんとしている。
アミメ
「・・・?
せっかくいい話で締めようと思ってたのになんでそんな茶々を…
って、これでは茶色ですか」
センちゃん
「いえ、アルマーの言う通り、確かに『科白』なんてあまり使わないですよね。
同じ漢字でももっとポピュラーな『台詞』がありますし、
カタカナの『セリフ』でもいいのにわざわざルビまで振って・・・」
「・・・?
私は台本通り喋っただけですが…?」
しかしアミメも違和感を覚え出したのか訝しげな顔になる。
「でも、言われてみて台本を見返してみると・・・
白い目とか、蒼白とか、白目を剥くとか、確かに多いですかね?」
だが、まだ半信半疑な様子だ。
アリツさん
「私に関係することで言うと白酒とか白桃ジャパリまん、とかですかぁ?
今日はひな祭りなんで特段おかしいことだとは思いませんでしたけどぉ」
「その日付設定もそもそも仕組まれたものだったとすればどうだい?」
タイリク先生は創作者目線で鋭い指摘を入れる。
助手
「ハクトウワシも白桃ジャパリまんと掛けただけのダジャレだと思ってましたが、
漢字で書くと『白』頭鷲ですしね」
アルマー
「ちょっと見て!」
一同の目が差し出された台本に注目する。
「ここに『白』に関連する言葉に背景色が付いてるんだけど、かなりの数あるよ!?」
センちゃん
「・・・なんですか、これは!?」
博士
「遡ってみると、そもそもこの事件の始まりはアミメキリンが『白紙』を持って倒れてるところから・・・
いや、もっと・・・・・・!?
って、タイトルからして『ホワイトアウト』じゃないですか!」
「・・・ホンマや!」
一同は雪子のボケを合図に、まるで新喜劇のように盛大にズッコケた。
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博士
「やれやれ」
助手
「とんだ騒動に巻き込まれてしまったものです。
原稿も上がってないことですし、帰るとしますか」
アミメキリン
「何を言ってるんですか!
こうなったら徹夜ででも原稿を手伝ってもらいますよ!
マンガの作業工程というものはやることが目白押しなんですから
アルマー
「でもアイデアは全然無いって言ってなかった?」
タイリク先生
「いや・・・今まさに浮かんだ!
今回の事件をネタに再構成すれば面白い作品になりそうだ」
アミメキリン
「ほらほら、そういうことですから手伝ってください」
一同からは一斉にブーイングが起こるが・・・
雪子
「私のホワイトアウトの効果は12時間持続といったじゃないですか
どうせ朝6:00までは出られませんよ」
一同の間にはあきらめムードが漂う
アリツさん
「じゃあその前にお夜食にしましょうか」
一転、一同が湧き立つ。
アリツさん
「ーというわけですから博士さん、助手さん、ジャパリまんを出してください」
博士
「むむ…誤魔化せませんでしたか・・・」
この期に及んで独り・・・二人占めするつもりだったらしい。
助手
「私たちもれっきと宿泊客。
食べる権利はあるはずですよ」
「あなた方の分はあなた方の分け前として除いてもらって構いません。
ですから残りを出してください」
アリツさんはアミメキリンの決定を尊重し、感情に流されることなく。
それでいて正当な主張は通す。
博士「分かったのです」
助手「仕方ないのです」
雪子✋
「あ、私は遠慮します。
正規の手続きを経ていない飛び込み客なので」
(当然、頭数にも入ってないだろうし)
「でも・・・」
博士たちからジャパリまんを受け取りながらアリツさんは提案する。
「でしたら私の分を…」
タイリク先生
「その必要はないよ」
「ん?」
センちゃんはフレンズとジャパリまんをそれぞれ指差し確認しながら指摘する。
「足りてますけど…」
この場に居るのは博士、助手、センちゃん、アルマー、タイリク先生、アミメキリン、アリツさん
・・・そして雪子の8人
一方のジャパリまんは・・・数えてみると確かに8つある
アリツさん
「あら? 数は丁度しか頼んでなかったはずですけど・・・注文を間違えたのかしらぁ」
不思議がるアリツさんを尻目にタイリク先生がキメ顔で語りかける。
「やはり物語のラストというのは『大団円』・・・丸く収めないとね。
そうは思わないかい、ダブルスフィアのお2人さん?」
アルマー
(なんか台本から外れ出した…?)
突然スポットライトを当てられて戸惑う2人と、
そのリアクションを楽しそうに眺めるタイリク先生。
悪い顔をしている。
センちゃん
「・・・!
まさか『丸いもの』にも伏線があったとか・・・!?」
とっさに機転を利かしたセンちゃんがなんとか返す。
タイリク
「いや、無かったはずだよ?」
タイリク先生はあっさり否定する。
台本を見返しても確かに無い。
しいて言うなら句点(文末の『。』)ぐらいだが、これは伏線とは言わない。
センちゃん
「じゃあ、これからまた始まるとか?」
タイリク先生
「いや、あと少しでこの物語も終わってしまうよ、ほら」
タイリク先生は『何か』を待っているような口ぶりだ。
センちゃん
「だったら伏線とは言わないんじゃないですか?」
タイリク先生
「知ってるよ。
私だって創作者の端くれだからね」
センちゃん
「だったらなんでこんな茶番を?」
タイリク先生
「最後だからちょっとアドリブをカマしてみようと思ってね」
アルマー
「台本に無いこと急(球)に振られても困る(こまる)よ!」
キレイにオチたのを確認するとタイリク先生は満足げにうなずく。
そうして、ろっじアリツカを舞台にした物語は幕を下ろしたのだった・・・
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~後日談~
彼女らの作業は夜が白むまで続き、
ホワイトアウトの効力が切れた頃、無事にマンガは完成した。
タイリク先生
「お疲れさん、有能なマネージャーくん」
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のちに舞台化されたこの作品は評判が評判を呼び、千秋楽を迎える頃には
プラチナチケットにまでなったという・・・
(白金)
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【ホワイトアウト~舞台版~】
[キャスト]
センちゃん(探偵)・・・・・・・・・・・・オオセンザンコウ(ダブルスフィア)
アルマー (探偵)・・・・・・・・・・・・オオアルマジロ (ダブルスフィア)
アリツさん(ろっじアリツカオーナー)・・・アリツカゲラ
ハクトウワシ(ジャパリまん配達業)・・・・ハクトウワシ
タイリク先生(マンガ家)・・・・・・・・・タイリクオオカミ
アミメキリン(マネージャー)・・・・・・・アミメキリン
博士(宿泊客)・・・・・・・・・・・・・・アフリカオオコノハズク
助手(宿泊客)・・・・・・・・・・・・・・ワシミミズク
雪子(時短探偵)・・・・・・・・・・・・・雪子(友情出演)
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[スタッフ(裏方)]
照明・小道具・演出・・・・・・・・・・・・ハクトウワシ
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[製作]
原作 :タイリクオオカミ
脚本 :愛知
舞台監督:タイリクオオカミ
すぺしゃるさんくす:ツッコミ隊長さん
時短探偵~登場編~
パンダデカ編
VS怪盗編
ーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーー
めでたしめでたしなのだ
白でまとめられたギャグサスペンスという新ジャンルなのだ!
雪子の分もジャパまんがあってヨカッタ
波乱万丈なストーリーでかつけもフレらしい
実に読み応えがありました
雪子起用してくれてありがとうなのだ
完結おつかれさまでした
「白」は漫才師ナイツさんの「赤と白」を参考にさせてもらいました。
ですが、伏線を複線走らせたのは初の試みです。
おかげで読むのが複雑になってしまったかも…(書くのもですがw)
前回(・・・はヨカレが主役でしたが)、前々回(ちょい役w)と
雪子ちゃんを起用させてもらってますが、
それだけ魅力的なキャラだということで、
それを生み出したツッコミさんは胸を張っていいと思いますよ。
その魅力についてSS3話分くらい書いてもいいんですが、
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シビレ隊長が妬きそうなので割愛しますw
ツッコミさんも体には気を付けて創作活動、ガンバッてくださいm(ーー)m
(もうちょいでコメント数2000か・・・)