「『出世魚』の代表と言えばこの私。貴殿も旅をなさるのか?ならば私も同行しよう。」
>> 15548のリデザ
大きさとともに名前が変わる魚、いわゆる出世魚の一角の鰤。
日本近海に広く分布し、季節によって生息海域を変える回遊魚でもある。しかし例外として南方海域では回遊せず「瀬付き」になるものがいる。性質は臆病。驚くと群れごと深みに逃げ込む。
2-3月頃に孵化した稚魚は、春になり全長が数センチメートルになると流れ藻に寄り添って生活する。このころは体色が成魚と異なる。このころの稚魚は「モジャコ(藻雑魚)」と呼ばれる。
小型甲殻類などを摂って成長し、夏ごろに藻から離れるとイワシなどを食べるようになり、秋ごろに外洋へ出て本格的に回遊し始める。年を重ねるごとにどんどん大きくなっていく。
同属種のヒラマサやカンパチと似るが、若干の違いがある。
実際の鰤が回遊するように各ちほーをさすらう。たまにリウキウやキョウシュウ南部に長く滞在することがある。
友人にヒラマサやカンパチがいる。臆病な面があるが努力家な一面がある。
刀は3回目の改名(ハマチ、イナダあたり)のあと、巨大セルリアンと挑んだ時にセルリアンのコアより生まれた刀。似た刀をヒラマサも所有している。何度か折ったことがあるそうだが、不思議なことに一晩過ぎると自然と元通りになる。しかし刃こぼれなどは治らないので定期的に刀を研いでいる。
着物は体色をもとにした衣装で、帯にはモジャコのころの体色があしらってある。
春の中頃、天気が変わりやすい季節もあって、その日は朝から雨が降り続き、外に出るのが億劫になっていた私は、旅の道中にある仮住まいの建屋で、ところどころ刃こぼれしていた刀を手入れをしようと砥石を荷物より漁っていると、カンパチ殿が雨ざらしになった笠と上着を物掛けに掛けて、腰を下ろしてふぅと一息。
「災難であったな、風邪はひいてはおらぬか?」
「はは、心配なんてせんでも大丈夫でやんす。こういうことはなれっこでやんす...。」
そんな風に強がっていたが、どう見てもさむがっていたし、くしゃみまで出始めたので、見かねた私は火を焚いて暖をとれるようにした。
「カンパチ殿、これで暖めるといい。寝込んだら大変であるからな。」
カンパチ殿は「すまねぇ」と一言言って焚火の近くで暖を取っていた。
ザァザァと降り続く雨の音の中、ぱちぱちとなる焚火と、刀を研ぐシャッシャッという音が混ざり合って、少し私は落ち着かなかった。
「こんな雨では外に出るのが億劫になる。だが、カンパチ殿は何故外に?」
焚火の暖かさで少し溶けたような顔をしていたカンパチ殿に聞いた。
「...ぇぁ?...!ああ、その話でやんすか。出たころは雨の様子もなかったんでやんすが、ここら辺に来た途端にざっと降られたんでやんすよ。いきなり降るもんだからびっくりしたでやんすよ。」
どうやら旅の足を進めていた途中雨に降られて困っていたところ、雨宿りに寄ってきたらしい。私もそういうことはあった。
「...ところでメジロさんやぁ、あんたさん名前変えたんだってなぁ。」
「それであるか。最近改名してブリと名乗っておる。...まだそんなに経っていないが、メジロの名が懐かしいな。」
先日、旅をしていた時に改名をして名前を変えていた。
「そう、「ブリ」かぁ。あっしにゃたくさんの地方名があるから、あんたよりは苦労するでやんすよ(笑)」
「この名前になってしまえば、地方名も関係がなくなる。まあ、変な誤解はされずに済むからすこし安心はするというのが本音であるな。」
私は刀を研ぎ終わって刀を鞘に戻し、焚火の近くによってカンパチ殿と談笑していた。そうしていると、ゴロゴロゴロと雷が鳴った。二人ともビクッと肩を震わせて顔を見合わせた。びっくりするカンパチ殿の顔を見て少し笑ってしまった。強かった雨脚はだんだんと弱まり、いつの間にか雨が止んだ。しかしそのころには夕刻のころを少し過ぎていた。
カンパチ殿は困った顔をしていた。
「うむ...雨はやんだがもう夜とは困りものでやんす。」
「一泊するほうがよさそうであるな。まあ、私はどちみち今日一泊するつもりだったんだがね。」
「あっしもそうさせてもらうでやんす。」
その建屋には布団があったので、布団を引きずり出したのだが、誰かが盗ったのか押し入れに入っていた布団は一枚だったので、カンパチ殿に布団を譲って私は床で寝ることにした。
「大丈夫でやんすか?床は固いから寝付きにくそうでやんすけど。」
「いいや、私は固い地面で幾度と寝てきたものであるから、慣れている。」
少々カンパチ殿は心配していたが、小さい頃から様々な場所で寝るのは慣れていたのでそう気にはしなかった。
「カンパチ殿、こうやって寝るのは好きであるか?」
「ん、あっしは寝ながら歩くこともあるんだがねえ、圧倒的にこう寝るほうが、迷惑を掛けなかったり、変なことで起きなくていいからこっちのほうがいいでやんすよ。
「そうであるか。まあ、今宵はゆっくりと休むといい。」
そうしていつの間にか寝入っていた。
不意に早朝に起きると、いつの間にか布団に入ってカンパチ殿の寝ていた。布団を敷く場所と床には段差があったのでよっぽどのことでは入れないし、私の寝癖なんてないようなものだから「もしや、カンパチ殿が?」と思った。
変な気づかいをするなあと思いつつ掛けた刀を持ち、まだ寝入っていたカンパチ殿に「また今度」と置手紙をして少しなまった足を動かつつ、再び旅に出た。
(bc4ef@b0782殿のカンパチ>> 10645をお借りしました)
リデザ:成長(出世)して男っブリが上がったような・・・
鰤
「おや、こんなところに燃やせるものが...。」
サムラーイ!ブリしぶいぜ