元気というと良く聞こえますが、躁病という名前がつくほどですからね。
患者さんによって躁状態の程度は違いますが、軽躁の方だと買い物が増えたり社交的になったりします。
軽くない躁状態の方は、ろくに眠らずバリバリはたらいたり、後先考えず浪費したり、とても気分が良さげだったのに急に激昂したりします。
さすがにそこまでだと困るな…
とても元気からとても憂鬱を繰り返すとは、本人も周りも大変だろう。
しかし、そんな様子があるならうつ病と間違えることもなさそうだが。
ええ、その人を何年も観察していたら気づくのですが…
患者さんは躁の時に病院に来てくれないのですよ。
明るい気分になっているから自分が病気だなんて考えないのです。
軽躁だと周りの方は気づきませんし、重い躁だと周りが気づいても本人は「自分は正常だ」と言って怒り狂うことも。
なんて獰猛さだ。
自分が正しいと信じている人間はいつも恐ろしいものだな。
とはいえそういう人も時間が経てばうつ状態になるのだろう?
一体どういう風の吹き回しなんだ?
そうですね、これは実際に体験してみないとわからない気がします。
普通の人は何か理由があって気分が上下するものですから。
授業の初めに紹介したとおり、ここからはプリンセスさんにお話してもらいましょうか。
もうお気づきかもしれませんが、プリンセスさんはかつて双極性障害と診断されました。
そして今も病気と付き合っておられます。
患者さんの声を聞いて、理解を深めてもらえたらと思います。
プリンセスさん、教壇まで来てもらえますか。
ええ。
大勢の前に立つのは慣れているけど、こうして自分の体験を話すとなると緊張するわね。
それじゃあ何から話そうかしら。
そうね、振り返ってみると昔からそんな傾向があった気がするの。
思い当たるのは5年ぐらい前からになるかしら-––