リカオン「あ、かばん!それに他の皆さんも!!」
かばん「リカオンさん!って、今背負ってるのって…」
セルミミズク「私のオリジナルではないですか!?早く、バスに入って治療するのです!」
リカオン「は、はい!」
助手は激しい衝撃で気絶しただけで、そこまで深い傷は負っていなかった。その事実に安堵しながらも、走るバスの中でセルミミズクはリカオンへ質問する。
セルミミズク「一体、何があったのですか?パークを脅かしかねない敵に、オリジナルはあやられたのですか」
リカオン「はい。しかも、その敵はかばんにそっくりで…」
サーバル「もしかして、黒かばんがまた現れたの!?」
リカオン「いえ、雰囲気が違うというか…たぶん別人です。しかし物凄く強くて、ヒグマさんが…!」
その声を聞き届けて、ボスとかばんはバスのスピードを上げる。一刻も早くしなければ、ヒグマ達が危ない。
そう思った、その時。
セーバン「来る!」
彼女の声が聞こえてきたのは、その出来事の前だったか後だったか。
バスが、強烈な衝撃でひっくり返された。
かばん「うわあっ!!」
回転する車内で、掻き回される一向。少し経って、かばん達は停止したバスから感性のままに放り出される。
その瞬間、かばんの瞳に映ったのは。
かばん(ぼ、く…!?)
光の無い瞳以外、まるで差異の無い姿。自分の鏡写しが、そこにいた。
サーバル「う…」
セーバン「ん…」
かばん(サーバルちゃん、セーバンちゃん、静かに!)
側で呻いた友を抑える。その間に、偽かばんはある一点へと歩み寄って行った。
そこに伏すのは、気絶した助手・リカオン・セルミミズクの3人。気を失ったままの助手を庇って、他の2人も失神してしまったのだろう。
サーバル(どうしよう、かばんちゃん!助手達がやられちゃうよ!)
かばん「…ッ!」
歯軋りするかばんだが、彼女たちに出来る事は何も無い。下手に出ても、あの偽かばんに容易く倒されてしまうだろう。
かばん(何か…何か、策を…!)
セーバン「大丈夫だよ」
かばんの思考を断ち切ったのは、側にいたもう1人の友達の声だった。
セーバン「ほら、間に合った」
???「オイ!」
セーバンの言葉と同時に、何者かがセーバンを呼び止める声。その方向にいたのは、先程かばん達が火口で出会ったフレンズだ。
クレナイ・ガイ「見つけたぞ、◯◯◯」
偽かばん「…」
かばんには、ガイの言葉の一部が聞き取れなかった。偽かばんも、その言葉に何の反応も示さない。
かばん「どうして、こんな事に…!」
ガイ「親玉を起こそうと四苦八苦しているようだが…そんな事は、この俺が阻止してやる!」
切られた啖呵に、偽かばんはようやく反応した。強襲という形で。
突き出された拳。それをガイは、紙一重でいなす。
突き出す。
カウンター。
躱す。
追撃。
反撃。
高速の攻防戦が、始まった。
サーバル「あのクレナイ・ガイっていうフレンズ、凄いよ!とっても速い!!」
かばん「今のうちに、3人を確保しましょう!セーバンちゃんも!」
セーバン「うん!」
ボス「アワ、アワワワワ…」