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目の前に現れた人の身長を遥かに上回る怪物、"ウォーデン"。
コードネーム:"アバドン"はダイバーズの正面に堂々と仁王立ちしている...が動く気配がない、まだ"起動"していないということだ。
ダイバー1「!?...!..!!」
素早く言葉からハンドサインに切り替え、部隊に撤退を指示する。"前回"の失敗を踏まえた訓練の賜物である。
そして静かに、厳かに撤退を始めたダイバーズ、撤退中に石をそっと拾って放り投げる。場所は"ウォーデン"の真後ろ。
"カランッ、コロンッ"
音がなった瞬間、”起動”した"ウォーデン"は即座に振り向き、後ろの壁へと突撃する。轟音と共に後ろにあった壁を容易くぶち抜き、部屋だったものを瓦礫の山へと変えた。
時間は稼いだ。後は散歩から戻るだけである。
ダイバー1「やはり音による反応速度は尋常ではないな…敏感どころか過敏ですらある…。観測班、何体いる?」
観測班1「...現段階ではおおよそ6体、更に増える可能性がありますね。」
ダイバー1「それは不味いな、SISに報告しろ。散歩は終わったとな。」
観測班1「了解、スニークによる静音での撤退を徹底させます。」
命からがら防衛陣地に戻ってきた散歩班。一息ついてすぐに気持ちを入れ替える。正面衝突は避けられない。
エミリー「ただいま戻りました...。」
彼女もあの怪物を見たのだろうか、若干元気がなくなっている気がする。
ダイバー1「ご苦労だったなSIS、あれが今回の討伐対象だ。1体ですら倒すのに必要な戦力は最低でも1個中隊規模...それが現段階では6体...2個大隊の戦力に匹敵するな。」
逃げるのであれば1個小隊程度でも問題ないが、完全に倒そうとなるとそれ以上の戦力は欲しい。現状1体=1個中隊(300人)で見積もっているが、正直一度しか交戦データが取れていない以上、もっと多めに見積もっていたほうが良いのだが…
遠目から奴らを観測する。廃墟となり、粉塵が包み込む遺跡にポツポツと立つ巨大な影達…数は6つそれぞれが各場所で仁王立ちしている…本来ならヤツらが消えるまで待てばいいのだが…それでは目的に反する。
ダイバー1「始めるぞ、”アバドン”達を誘導し、”スカルクシュリーカー”を破壊しても問題ない距離まで引き離す。…再生してくれ。」
ピグリン兵1「わかったんだべ隊長さん!」
その言葉に従い、一台の装甲車両が動き出す。何ら至って普通である…上に大きなスピーカーを載せているところ以外は。
ピグリン兵1「みゅーじっく…スタート!!」