セレン「首相、何故リバティニアに"DDD案件"の情勢を流したのですか?」
首相の秘書をしているセレンはそう、彼に訊ねた。
今回の"DDD案件"に含まれている情報は、まだ古代都市が見つかっていないとはいえレアなものである。
ファントム上層部にですら箝口令が引かれていたのに関わらずだ。もちろんこの情報を他国にリークしたのは首相の他にいない。
このまま情報を独占し続ければファントムはこういった関連の技術で各国よりも優位に立つことが出来る。外交上での切り札となっていたのにも関わらずだ。
ハイドロジェン「セレン、確かに君の...いや"君たち"の話は分かる。しかし、”古代都市”の存在はどのみち他の国でも明らかになる。先に知っていても問題ないでしょ。」
疑問を向けられたのは彼女だけでは無い。色んな人に聞かれた...いや、問い詰められたといった方が正しいか。
セレン「それはそうですが…なぜリバティニアに?」
ハイドロジェン「セレンはどうしてリバティニアと仲が良くなったのか知ってるよね?」
セレン「ええ…前の台湾事変に少しだけ噛ませてもらったときでしたよね?」
第二次台湾事変、それは複数の国家の思惑が絡んだ大きな軍事事件であった。ファントムも数的不利による劣勢を覆す為に援軍を送ろうとしたのだが…
ハイドロジェン「うん、援軍を出す予定だったクリーパー第7帝国が”メアリー・スーの怪物”を抱えててね…大丈夫そうだから辞めちゃったよ(苦笑)」
セレン「ああ…ありましたね…我々も貴重な資源を使わずにすみましたよ。」
結局この戦いは第一次台湾事変と同じく月夜仁の独壇場と化していた。
そのためにファントムは戦力派遣を停止…それどころか敵対するはずだった勢力と仲良くなるという珍事まで起こった。その一つが…リバティニアというわけである。
ハイドロジェン「僕やリバティニア勢力はあの月夜仁とかいう”メアリー・スーの怪物”に振り回された身、だからもしもの為の対抗手段は共有しておきたい…そう思ってね。」
セレン「成程…」
元々この情報を流す候補は2つあった。一つはリバティニア、もう一つはモルトラヴィスである。
立地上の関係もあったが、モルトラヴィスはすでに海洋生物であるエーギル由来の技術を確立していた事から今回はリバティニアに白羽の矢が立ったということである。
ハイドロジェン「毒をもって毒を制す…とまではいかないけど…備えなければいけないかな…これからに向けてね…。同じ志を持つ仲間がいれば尚更じゃないかな…?」
そう言い、彼は天井を見上げる。
ハイドロジェン「頼んだよ…皆…」
その想いは現在現場で戦っているだろう兵士達へ届けられた…。
草
言いたい放題で草()