突然呼ばれたキュルルは、咄嗟に姿勢を正した
「この先もいろんなことがあると思う。時には辛いことや、悲しいことだってある。でも、そんなときはいつでもここに来てね」
「かばんさん…」
「自分が役に立てるような場所や、やりたいことが見つかったら、それを目一杯楽しんで!そこでも、君のことを助けてくれる人は必ずいるから」
「はい…」
キュルルの肩をしっかり掴んだ
「君はきっと、大丈夫」
「!!」
キュルルの脳裏に、1人のヒトの姿が現れた
顔はよく見えないが、とても暖かな表情をしていた
「1人で行けるようになるなんて、こんなに早く成長するとは思わなかったわ」
自分にとって、とても聞き慣れた声が響く
立て続けに、今度は自分の声も聞こえる
「うん!パークにはね、たーくさんのフレンズがいるんだ!だから、1人でも怖くないよ!」
「そうよね…ちょっと心…しすぎかし…だって、あなたは……自慢の…………ですもの…」
声がだんだんと途切れ途切れになっていき、視界も暗くなっていく
薄れゆく意識の中、肩を掴んでくる感触だけ感じることができた
「あなたはきっと、大丈夫」
「!!」
「ちょっと、聞いてるのキュルル?」
「もしかして、気分悪くなっちゃった?」
キュルルの頬に、一筋の涙が走る
「……ぁさん…」
「え?」
聞き直す前に、キュルルはかばんの胸に吸い込まれた
「おふぁあふぁん!」
「えっ、どうしたの!?今なんて言ったの?」
「ちょ、アンタ泣いてるの!?何があったのよ?」
キュルルはかばんの懐で、涙を流し続けている
「もしかして、肩叩かれたの痛かった?そんなに強くした覚えないけど……」
『キュルル、大丈夫?ドコカ痛ムナラ教エテネ』
「ラッキーさんまで心配してるじゃない!ねぇ、何があったのか教えてよ!」
キュルルは泣き続けたまま、首を横に振った
「大丈夫、大丈夫だよ」
かばんは優しく、彼女の髪を撫で続けた