「あの……その…」
キュルルは少し照れ臭そうに、目線を外してして言った
「どうしたの?」
「かばんさんは、どうしてそんなに…心が強くなれたんですか?」
「心?」
「ボク、かばんさんみたいに強い心を持ったヒトになりたいんです!いつもサーバルやカラカルに頼りきりだし、臆病だし…」
彼女の見た目相応の子供っぽさをした、キラキラと輝いた目になっていた
「え、えー……十分強いと思うよ?もし私が描いた絵からセルリアンが出てくるって知ったら、ショックで3日は寝込むなぁ…」
「そ、そうですか……」
「あ、キュルルが鈍感だとか、そういう意味じゃないからね!」
「い、いえ…はい、気にしてないです」
「ふふっ…君って意外と、昔の私と似てるかもしれない」
「本当ですか?」
「うん。私も小さな頃、いろんな事が……」
会話の花が満開になったところで、急に扉を開ける音が割り込む
体の半分だけを部屋の中に覗かせる
「…声が大きいのです」
「あっ、博士…ごめん、寝てた?」
「私は夜行性だから問題ないのですが…2人は昼行性、早く寝ることを勧めるですよ」
コノハはキュルルの方をじっと見る
「そうだね。もしサーバルたちが起きたら心配するだろうし、早く部屋に戻ったほうがいいよ」
「わかりました。かばんさん、ありがとうございました」
キュルルは部屋を後にし、寝室の方へ向かって歩いて行った
彼女が角を曲がって、声が届かなくなったであろう位置に行ったところで、コノハはかばんに向き直った
「かばんは、辛くはないのですか?」
「え、私?もう寝るつもりだけど?」
「違うのです。かばんはサーバルのことを……」
「聞いてたんだ…音を立てずに近付くのは造作もない、だっけ?もしかして部屋に入ってきたのも狙って?」
コノハは少し焦った口調で言う
「かばんは、本当にそれでいいのですか?」
「いいの!私、もう大丈夫だから」
「またそうやって嘘を…」
「嘘じゃないって、きっと今のサーバルの幸せは、あの子たちと思い出をたくさん作ることだから。それに、サーバルはいつだって」
かばんは自分の胸に手を当てる
「ちゃんと、ここにいるから」