巨峰・アーリア
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2019/04/26 (金) 21:39:11
「セルリアンに食べられたら、記憶を無くしちゃうって!ボクのせいで大切な思い出が消えてしまうくらいなら、ボクなんか…!」
かばんはキュルルの肩に手を置いた
「消えないよ」
そのままゆっくり肩を抱き寄せ、腕を絡めた
「思い出は絶対に、永遠に消えない」
「でも…」
「思い出そのものは、一瞬かもしれない。でもそれは見えなくなってしまうだけで、無かったことにも、消えるわけでもない」
かばんはキュルルと向き合い、優しく言った
「永遠なんて存在しない。他の人から見たら、私たちの命だって一瞬のようにしか感じられないかもしれない。だからその一瞬を大切にして、一生忘れないで」
キュルルは袖で目元を擦りながら、深く頷いた
「ちゃんと聞いてたよ、君は『フレンズが大好きなんだ』って。その気持ちがあれば、その思い出は永遠のものになるよ。サーバルやカラカルとの思い出、これからもたくさん作ってね」
「………はい………!」
キュルルは涙でしわくちゃになった顔で、無理やり笑顔を作った
「そういうことだったんだね、サーバル」
口元で呟かれた言葉は、他の者の耳には届かなかった
かばんはあろうことか、自分で言った言葉から本当の気持ちを見つける事ができた
サーバルを失ったあの日
自分のすべてが崩れゆくような感覚に陥ってた
今までの旅も、楽しかった日々も、涙を流した時も
すべてを否定されたように思っていた
サーバルと再開したときも、彼女には自分との記憶が無かった
そんな彼女と出会っても、過去の時間が戻ってこないことも理解していた
それでも自分は今、ここにいる
かつて自分と共にいた
彼女を忘れたことなど、片時も無い
それは『思い出が消えることは決してない』から
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