巨峰・アーリア
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2019/04/25 (木) 22:23:12
「大丈夫、海底火山のセルリウム噴出量はかなり抑えられたみたいだし、もう描いた絵からセルリアンも出てこないよ」
「……そうなんですか」
それでも、彼女から陰りが取れることは無かった
「まだ心配?今まで通り、好きなときに好きなものを描いていいんだよ」
「……怖いんだ」
握り締められていた手は、小刻みに震えていた
「怖い?」
「ボクが描いたのは絵のせいで、ボクのせいで……サーバルやカラカル、大切な人が傷ついたら…」
今にも泣き出しそうな表情で、視線を上げた
「1歩間違えば、リョコウバトさんだって……」
「キュルル」
かばんは冷静な口調で言った
「君は、絵が描くのが好き?」
「好きだけど…でも、それじゃあセルリアンが!」
「『セルリアンを生み出すつもりで絵を描いたこと』、1回でもある?」
「それはない…けど…」
サーバルは机の隅に置かれたスケッチブックを開いた
「私はこの絵とっても好きだし、フレンズからも評判だったよ、この絵」
ページをめくるたび、かばんは彼女の思い出を追体験できるように感じた
「また1枚描いてほしいな。実はセルリアンの実験で、貰った絵を…」
「違うんです」
かばんはスケッチブックを閉じて、キュルルの方へ向きなおす
「ボクが近くにいると、カラカルやサーバルたちが危険な目にあってしまうかもしれない…」
キュルルの目元には、涙が溢れていた
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