巨峰・アーリア
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2019/04/24 (水) 20:29:22
ぽっかりと空いた心に意識を奪われそうになったそのとき、扉をノックする音が響く
かばんは慌てて体を起こした
「どっ、どうぞ」
アフリカオオコノハズクの博士か、それともワシミミズク助手かな
彼女の予想に反し、意外な人物が入ってきた
「あの、遅くにすみません」
そこに立っていたのは、キュルルだった
「あれ、どうしたの?…もしかして眠れない?」
かばんはとっさに作り笑顔を見せた
キュルルは悲しげな表情を浮かべ、うつむいている
「……かばんさんに、相談したいことがあるんです」
かばんはキュルルを椅子に座らせ、自分はベッドの上に座った
「相談したいことって、どんなこと?私で良ければ相談に乗るけど、サーバルやカラカルの方が聞きやすいんじゃない?」
何の気なしに聞いた言葉だったが、キュルルがそれを聞いた途端に
「…………」
深い海に沈んだような、より深刻な表情になってしまった
彼女は重い口を開く
「ボク、誰かの役に立てるでしょうか?」
およそ想定内の質問だった
自分も前に、そんなことを考えたことがある
「落ち込むことないじゃないか。君にはたくさんできることも、役に立つようなことだってできるし、できたじゃないか」
「でも!」
キュルルの小さな叫びは行き先を失い、彼女は拳を強く握りしめることでなんとか押し殺した
「ボクができたことなんて、絵を描くことくらいで…でもそれが、セルリアンを生み出してしまうのなら…!」
彼女がそう思うのも無理はなかった
絵から無尽蔵に現れたセルリアンたちは、集ったフレンズたちが死力を尽くしてなんとか撃退したものだった
そしてその絵を書いたのは、紛れもなくキュルル本人だった
まだ未確定なことが多かったが故、キュルルたちにセルリウムの経過は伝えていなかった
だが、見事に裏目に出てしまった
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