フレンズ型のセルリアンの脅威を跳ね除け、2日が経った
事件後のかばんが行った実験と調査によると、海底火山からのセルリウム放出は大幅に削減されたことが判明した
海岸にキュルルが書いた絵を置いても、そこからセルリアンが発生することはなくなった
バンドウイルカとカリフォルニアアシカも「海のご機嫌も大丈夫」と言っていた
それを聞いたフレンズたちは安堵し、貰った絵を持ってそれぞれの縄張りへと帰っていった
事件後、経過を見るためにキュルルたち3人はかばんの研究所に泊まっていた
だが何か問題が起きるわけでもないので、明日にはキュルルは「自分が役に立てること」を探しに出かけるそうだ
その日の夜のことだった
かばんは3人に「カレー」と呼ばれる料理を振る舞った
最初は辛い辛いと叫んでいたカラカルが一番多く食べており、キュルルとサーバルはそんな姿を見て笑っていた
3人に貸した客間を後にし、かばんは自室に戻った
部屋の電気をつけ、靴を脱ぎ、ベッドに仰向けで大の字に倒れる
「はぁ~っ」
天井を見上げながら、数日前のことを考える
“サーバルとの再会”
かばんにとって、絶対にありえないと思っていた衝撃的なことであった
残酷にも、サーバルは彼女のことを覚えてはいなかった
それでも、かつて自分が共に過ごした友(フレンズ)がそこにはいた
相変わらずの壊滅的なネーミングセンス、天真爛漫で無邪気な笑顔、何にでも興味を示す性格、友を助けようとする優しさ
何も変わっていなかった
見たものに自分はいなかったが、たしかにサーバルそのものであった
そんな彼女も、明日にはここを去っていく
別れを惜しむべきか、また会える可能性があること喜ぶべきか
失った思い出を悲むべきか、彼女の門出を祝うべきか
はっきりしない感情が、かばんを包んでいた
このままサーバルと共に過ごしたい自分もいる
彼女に新しい世界で、新しいことを見させてやりたい自分もいる
ヒトって、なんて欲張りでワガママな生き物なんだ――――
かばんは自嘲気味に目を閉じた