第十一話「戦」
それは今から3日程前、グリフォンが破壊されたライブ会場から飛び去ってまだ間もない頃だった。
ヘラジカ達が心配そうに見守る中、アフリカタテガミヤマアラシはヘラジカに抱えられながら目を覚ました。
アフリカタテガミヤマアラシ「う~~ん…あれ…みんなどうしたですぅ?」
ヘラジカ「ヤマアラシ!気がついたか!体は何ともないか?!」
ヤマアラシ「…どこも痛く無いですぅ、でもライブ会場が…」
ヘラジカ「壊れたものは直せばいい、お前が無事で何よりだ!」
ヤマアラシ「ううっ…ヘラジカ様ぁ」
ヘラジカは改めて辺りを見渡しながらヤマアラシに問いかけた。
ヘラジカ「それにしてもこの有り様は一体どうした?セルリアンの仕業か?」
そこで側で見守っていた『嵐』のメンバーであるインドタテガミヤマアラシとオグロキノボリヤマアラシの二人がまだ少し怯えた様子で話し出した。
オグロキノボリヤマアラシ「あの…私達、離れた所から見てたんです…初めて見るフレンズでした…アフリカタテガミヤマアラシの方に近寄って行って…何か話したと思ったら急に暴れだして…私達怖くて物影から出られなくて…」
ヘラジカ「そいつはどんなフレンズだったんだ?」
インドタテガミヤマアラシ「んっとねー、頭に羽根があってー、でもでもお尻にはライオンみたいな尻尾があったよー」
ヘラジカ「尻尾だって?!尾羽根じゃなくてか?」
オグロキノボリヤマアラシ「間違いないです…ハッキリと見ました」
ヘラジカ「ううむ、とにかく会場をこんなにメチャクチャにするとは…許せん奴だ!」
アフリカタテガミヤマアラシ「そうじゃ無いんですぅ…」
アフリカタテガミヤマアラシは事の顛末を説明した。グリフォンは振付けに夢中になってしまうと周りが見えなくなってしまう事、そして尋常ならざる怪力の持ち主であるが故に起きてしまった事故であり、会場を破壊したのは決して故意では無かった事。
アフリカタテガミヤマアラシ「止めようとはしたんですぅ、でも凄い力で弾き飛ばされて…」
ヘラジカ「なるほど…そういう事か…それは是非とも勝負してみたいものだな!」
パンサーカメレオン「ヘラジカ様、そんな悠長な事を言ってる場合では無いでござるよ!」
シロサイ「このままではまた同じような事が起きてしまうかも知れませんわ!」
ヘラジカ「おおっ!それもそうか…!」
オオアルマジロ「ハシビロコウに頼んでハンターに知らせた方が良くないか?」
ヘラジカ「うむ、ではハシビロコウ、一っ飛びしてヒグマ達に知らせて来てくれないか、ここに来る途中のあんいん橋辺りですれ違っただろう?」
ハシビロコウ「……うん…わかった」
ののののののののののののの
ヒグマ「何?!今度はライブ会場で?!まったく…各地のセルリアンの異常発生といいどうなってるんだ…!キンシコウ!リカオン!すぐにそいつを追うぞ!」
ののののののののののののの
そして現在、グリフォンは平原上空を飛んでいた。
グリフォン「このちほーは過ごしやすくていい所だな。どれ、ちょっくらここらで休憩するか。」
丁度ジャパリまんを運ぶラッキービーストが見えたので、そこへ降りた
少し高台になっていて、見晴らしのいい場所だ ちょっと遠くの方には謎の建造物が見える
グリフォン(あれは…何なんだ?まぁ、いいや。)
食事が終わってぼーっとしていると、後ろから何やら向かってくる気配を感じる
グリフォン「…誰だ?、セルリアンじゃなさそうだが…」
人数は2人くらい…こっちへ向かってくる
グリフォンはとっさに障害物の裏へ身を隠して様子をうかがった
アフリカタテガミヤマアラシ「さあ、早いとこみんなと合流するです」
ハシビロコウ「…うん、そうだね」
グリフォン「…あっ!」
見覚えのある顔につい声がでてしまったグリフォンに二人は気づいた
アフリカタテガミヤマアラシ「あっ!!!あーーーーーーー!!」
ヤマアラシ「おまえはあの時のー!」
ハシビロコウ「知り合い?」
ヤマアラシ「この間、さばんなでライブ会場を壊して逃げたヤツですぅー!」
グリフォン「うっ…あ、あれは…」
ハシビロコウ「まあまあ、わざとじゃないんでしょ?」
ヤマアラシ「わ、わかってるです!でもあの後大変だったんですぅー!」
グリフォン「ハハハ…あれは、その、調子に乗りすぎちゃって…すまんかった」
ヤマアラシ「まったくもー!プンプンですぅ!」
ハシビロコウ「じーーー…」
グリフォン「な、何だよっ」
ハシビロコウ「あなた、すごく力が強いってきいたけど本当?」
ヤマアラシ「あっ!そうだ!!丁度良いところに出会ったです!こいつにも協力してもらうですぅー!」
グリフォン「協力?何の話だ?」
ヤマアラシ「セルリアンの…セルリアンの大群がこのちほーへ向かってきてるんですぅー!!」
セルリアンの襲来に備え、ヘラジカ軍団とライオン軍団はライオン城に拠点を構えていた。城内には戦いに向いていない者やあまり力の強くない者も避難していた。
ヘラジカ「おおっ!ヤマアラシ、ハシビロコウ戻ったか、偵察ご苦労だったな、…ん、そこの者は?」
ヤマアラシ「ライブ会場をぶっ壊した奴ですぅー!うろついてたからつかまえて連れて来たですぅー!そういえば何のフレンズか聞いてなかったですぅ?」
その場にいるみんなの視線がグリフォンに集中する、グリフォンは少し緊張した。
グリフォン「お、俺はグリフォンだ、ライブ会場をあんなにしちまったからな…こんな俺でも役に立つんならセルリアン退治に協力させてもらうぜ」
城内が少しざわつく中、一人のフレンズが歩み寄った、ヘラジカだ。
ヘラジカ「そーかそーか!それは頼もしいな!私はヘラジカだ!よろしく頼む!ううむ、なるほど確かに強そうだ!どうだ、私と勝負してみないか?」
グリフォン「…へ?!」
そこに割って入るようにライオンが話に割り込んできた。
ライオン「ヘラジカ~、流石にそんな場合じゃ無いと思うよ~、ふーん、君かぁ、確かに私とそっくりの尻尾だねぇ私はライオン、よろしくね~」
グリフォン「あ、ああ!こっちそ…!よろしく頼むぜ!」
ヘラジカ「で、ハシビロコウ、セルリアンはどの辺りまで迫っている?」
ハシビロコウ「…あの移動速度からみて、…多分夜明け過ぎにはここから見える所まで来ると思う…」
ヘラジカ「そうか、では明日の決戦に備えて今の内にしっかりと休んでおくとしよう!」
ライオン「みんな、ジャパリまんはたっぷり有るから遠慮無く食べて力を蓄えてね~明日は早いよ~!」
その夜は、明日の戦の事など忘れてしまいそうなほど月の出た良い夜だった
グリフォン「いい月だ…さて、寝る場所、寝る場所… 静かな所ないかな…」
明日の戦に備えて寝床を探しているグリフォンに近づくフレンズが一人…
ヤマアラシ「待つです!」
グリフォン「うっ…な、なんだよ。やっかみなら今度にしてくれよ」
ヤマアラシ「違うです。明日の事でまだ話が色々あるですぅ!」
グリフォン「明日の事で?」
ヤマアラシ「…この城には、へいげんにいる戦う力のないフレンズ達も沢山避難しているです。だから明日は、絶対にここを守り切らなければいけないんですぅ!」
グリフォン「わかってるよ…見りゃあわかるさ」
ヤマアラシ「でも、セルリアンは数が多いですぅ…もしかしたら、押し負けちゃうかも…」
グリフォン「おいおい弱気だな、大丈夫なのかそんなんで」
そんな事を話していると、ハシビロコウが割って入ってきた
ハシビロコウ「明日は作戦があるの」
グリフォン「作戦?」
ハシビロコウ「このお城には前門と後門があるの。後門は閉めて、前門にセルリアンを集中させます。」
ヤマアラシ「そのほうがこっちの戦力も分散されなくていいんですぅ。」
グリフォン「後門・・・大丈夫なのか、閉めておくくらいの事で。突破されたら挟み撃ちだぞ。」
ヤマアラシ「そうならないように補強をみんなで入れたですぅ!」
ハシビロコウ「念のため、後門にも誰か見張りをつけます。それと、万が一城に侵入されちゃった時の為に城内にも少人数残ってもらうわ。」
ヤマアラシ「つまり城内、後門、そして前門と3手に別れることになるですぅ!」
グリフォン「なるほどな。俺はどこに行けばいいんだ?」
ハシビロコウ「あなたは・・・
オーロックス「はあっ!でやぁーっ!」
シロサイ「そんな攻撃で私の守りは崩せませんわ!」
アラビオオリックス「そこだぁ!やぁあっ!」
オーロックスがセルリアン牽制し、攻撃をシロサイが防ぐ、そこをアラビオオリックスが弱点の石を狙い打った。
パッカーンという破裂音とともにセルリアンはサンドスターの結晶となって消えて行く、ヘラジカ軍団とライオン軍団はそれぞれの長所を生かせるチームを編成してセルリアンと応戦していた。
ライオンとヘラジカは城の左右前方に、機動力と攻撃力をあわせ持つグリフォンは中央奥である城の前門に展開していた。
グリフォン「うらぁっ!!」
グリフォンの手の甲から指先がサンドスターの輝きを放つ鋭い爪に包まれセルリアンの弱点を貫いた、石を砕かれたセルリアンはそのまま結晶となって消える。
グリフォンは前衛で戦うフレンズ達を遠くに見ながら呟く。
グリフォン「凄いな…あいつら…こっちまで殆どセルリアン来ねえじゃん…こりゃ案外楽勝かもな…」
ハシビロコウ「じーーーーー…」
城の後門ではハシビロコウが虚空を見つめ続けている。
城内はそれでも緊張に包まれ、一刻も早いセルリアンの撃退を待ち望まれていた。
ヤマアラシ「うー…なんかハブられてる気がするですぅ…」
ヘラジカ「セルリアンの数も大分減ってきた!あと一踏ん張りだ、みんな気を抜くな!」
ライオン「ふーっ、結構しんどいねぇ…ヘラジカは元気だなぁ…」
ヘラジカ「そうか?ライオン、ゴロゴロし過ぎで腕が鈍ったんじゃないのか?」
ライオン「うっ…言うねぇ…」
会話が通るほどセルリアンが少なくなってきたその時、急にセルリアンの動きが変わった。それぞれバラバラに攻撃を仕掛けていたセルリアンが組織的な攻撃をし始めたのだ。
ヘラジカ「どうなってるんだ?!今までと様子が違うぞ?!」
ライオン「まずい!このままだと突破されるよ!」
後方のグリフォンは低空を飛びながらセルリアンの接近に備えていた。
セルリアンが統率された動きになった途端、前衛が苦戦し始めたのを察知した。
グリフォン「…この感じ…まさか…」
そして脳裏に一人のフレンズが思い浮かんだ。
グリフォン「…目覚めたのか…ヒポグリフ…!」
オーロックス「わーーーーっ!!」
アラビアオリックス「オーロックス、大丈夫!?」
シロサイ「これは一体どうなってますの!?急に動きが変わりましたわ!!」
オーロックスが押し切られて、攻撃が一斉にシロサイに集中する!
シロサイ「だ、だめ!これでは防ぎきれませんわっ!!」
その時、後方から伸びるゲートセルリアンの触手が鞭のようにしなり、シロサイにクリーンヒットした!
シロサイ「あぁーーーっ!!」
ヘラジカ「シロサイ!大丈夫か!ケガはないか!」
シロサイ「だ、大丈夫ですの…でもこのセルリアン達、急に動きがはやく…」
シロサイを吹き飛ばしたゲートセルリアンを睨むヘラジカは次の瞬間、目を疑った。
ゲートセルリアンの上に、謎のフレンズの影が見えたのだ。
ヘラジカ「これは…どういうことだ!?」
謎のフレンズ「………」
のののののののののののの
一方その頃…
ツキノワグマ「ねえあんた、大丈夫?顔が怖いよ?」
ツキノワグマの言葉を全く無視して、しかめっ面で最前線を睨むグリフォンは直観で何かを感じ取った
グリフォン「…!!!間違いねぇッ!」
ツキノワグマ「ちょっとあんた!どこいくの!?」
パンサーカメレオン「グリフォン殿!持ち場を離れては…!!」
グリフォンは二人の言葉を無視して最前線に急行した
パンサーカメレオンとツキノワグマの静止を振り切りグリフォンはヘラジカ達のいる最前線へと飛び出した、既に陣形は徐々に崩れ始めている。それでもヘラジカとライオンは的確にセルリアンと応戦するが手薄となった部分の防衛線の突破は時間の問題だった。
グリフォンは直感に従い先端が鰐口状になった触腕を持つゲート型セルリアンのいる場所へと急ぐ。
ヘラジカはゲート型セルリアンの頭上に静かに佇む謎のフレンズに向かって叫ぶ。
ヘラジカ「お前は何者だ!何故セルリアンと共にいる?!」
しかし答えは帰って来ない、まるでこちらの声が届いていないかのようだ。
その姿は頭に鳥のフレンズのような翼を生やし尾羽がある筈の場所には馬の尾が棚引いていた。
そしてよく目を凝らして見ると閉じられた両の瞳の上、その額にはセルリアン特有の目が発現している。
ヘラジカ「…何だあれは…?!」
セルリアン上のフレンズは無言のまま手を上げるとヘラジカとライオンの方に向けてスッと振り下ろす、その合図に応じてゲート型セルリアンの無数の触腕が襲いかかった。
ヘラジカ「くっ、話の通じる相手では無いと言うことか!」
ライオン「来るぞっヘラジカ!」
ヘラジカは触腕の攻撃を武器で払い除けながらライオンとの見事な連携を見せる。
ライオンの爪が触腕の先端部分を千切り飛ばすが怯む事無く攻撃の直後で体制を崩したライオン目掛けて襲いかかった。
ライオン「くっ!かわせないっ!」
そこに猛スピードでグリフォンが飛び込んだ。
グリフォン「止めろーっ!ヒポグリフーッ!!」
ライオンを狙った触腕の攻撃がグリフォンの頭を掠めたが意に介す事無くヒポグリフを睨み付ける、少し深めに巻かれたバンダナが僅かに赤く滲んだ。
同時にヒポグリフの額の目が閉じ、代わりに閉ざされたままだった両の瞳が眠りから覚めるように開いた。
ヒポグリフ「…グリフォン?!あなたなの…!?」
グリフォン「……久しぶりだな、…ヒポグリフ…!」
ヒポグリフ「…そんな… そんなこと… あなたは死んだって…」
グリフォン「へっ… 俺がそう簡単に死ぬと本気で思ったのか!?」
ヒポグリフ「だって…」
しばらく二人の睨みあいが続き、周りのセルリアンの動きも止まる 場に異様な静寂が流れる…
その静寂を断ち切るように言葉を発したのはヘラジカだった
ヘラジカ「どういうことだ?知り合いなのか?」
グリフォン「ああ… 色々ちょっと訳アリでね。」
ヘラジカとのやり取りの間も、ひどく動揺した様子のヒポグリフと呼ばれるフレンズは一人でぶつぶつと呟く
ヒポグリフ「グリフォンが生きていた…?うそよ… どうして… どうして今頃になって…」
グリフォンは動揺するヒポグリフの額を見て、眉間にしわを寄せ歯を食いしばる
グリフォン「お前、そのおでこ…! やっぱりお前、NEO体に…!!」
ヒポグリフは額のもう一つの目を手で隠すようにしてうろたえた
ヒポグリフ「!! こ、これは……」
その時、ヒポグリフのうしろからもう一人謎の声が響く
???「何を手こずっているのです?」
群がるセルリアンが道を開けはじめ、奥から謎のフレンズがもう一人こちらに近づいてくる…
グリフォン「!!!て、てめぇは・・・!!」
ヘラジカ「また新手か!?」
???「なっ!!き、君ははグリフォン・・・バカな、何故ここに?」
グリフォン「てめぇを探してたんだ!そっちから出てきてくれるたぁ、探す手間が省けたぜ!」
ヒポグリフ「ちょっと、どういう事ですか!グリフォンは死んだって・・・アナタ・・・嘘ついたのね!スフィンクス!」
スフィンクス「・・・嘘はついていないさ。こいつは死んだはずだった。」
ヒポグリフ「でも現にここにいるじゃない!」
スフィンクス「そんなハズはないんだ。何かの手違いだよ。」
飄々と喋るスフィンクスを見てグリフォンの頭にビキビキと血管が浮く
グリフォン「全部、てめぇのせいだろうがァァァァーーーーー!!!」
スフィンクスは肩をすくめる。
スフィンクス「やれやれ、そうやってすぐに感情を爆発させる…相変わらずですねぇ…君は」
スフィンクスは浅く掛けられた眼鏡を中指で押し上げる仕草をとると呆れた口調で言った。
スフィンクス「そんな事だから自分の力すら上手く制御出来ないんですよ」
グリフォン「何だとぉおお!」
スフィンクス「本来なら君がNEO体になる筈だったのですが…コントロール出来ないのでは何の意味もありませんからねぇ」
スフィンクスはつまらない物でも見るようにグリフォンに目を向けた。
グリフォン「ヒポグリフには手を出さねぇ約束だったろうが!!」
スフィンクス「それは君が完成されたNEO体になっていたらの話です、ヒポグリフはそのための予備ですからね、当然の事をしたまでですよ」
スフィンクスはグリフォンを嘲笑う。
グリフォン「てめぇ…どこまで腐ってやがる!!」
わなわなと怒りに震えるグリフォン。
スフィンクス「お喋りはここまでです、ヒポグリフ!その出来損ないを始末して下さい」
ヒポグリフ「スフィンクス!あなた何を言っているの?!そんな事出来るわけ無いでしょ!」
『パチン』とスフィンクスが指を鳴らすとヒポグリフの額の目が開く。
ヒポグリフ「うあ…お願い…止めてスフィンクス……」
ヒポグリフは再び意識を失うように両の瞳を閉じるとセルリアンを操り始める。
グリフォン「スフィンクス…!てめぇヒポグリフに何しやがった!!」
スフィンクス「大した事ではありませんよ、ヒポグリフには大人しくしてもらった迄です」
それまで静止していたゲート型セルリアンがグリフォンに狙いを定めて一斉に攻撃をくり出した、猛り狂うグリフォンは力任せに攻撃を払いのける、弾かれた触腕は尚もしつこくグリフォンに襲いかかる、一方の触腕は真っ直ぐグリフォンを狙い、もう一方はぐるりと大きく円を描きグリフォンを取り囲んだ。
グリフォンが向かって来る触腕を切り裂いた途端、もう一方の触腕が一気に輪を縮めグリフォンを締め上げた。
グリフォン「ぐっ…、舐めるなぁああ!!」
ブチブチと音を立てながら強引に体に巻き付く触腕を引き千切った。
スフィンクス「ははは、凄い凄い、その馬鹿力も変わってませんね、ですがあまり粘られても困ります、ヒポグリフ!」
スフィンクスがヒポグリフに向かって合図するとゲート型セルリアンがもう二体現れた。
その間、ヘラジカとライオンは押し寄せるセルリアンの処理で手一杯だ、とてもグリフォンに加勢出来る状況では無い。
グリフォン「ちっ、芸のねぇ野郎だぜ…!」
苦笑いするグリフォン、彼女は怪力を持つ反面、サンドスターの消費が激しく、継続的な戦闘には不向きであった。
三体のゲート型セルリアンがグリフォンに迫ったその時、空より見覚えのある三人のフレンズが降り立つ、ヒグマ、キンシコウ、リカオンのセルリアンハンターの三人組だ。
上空にはハンター達をを運んできたと思われる、三人の鳥らしきフレンズが飛んでいる。
ヒグマ「…ヘラジカ達の加勢に来てみれば、まさかお前までいるとはな」
グリフォン「お前ら…あの時の…」
ヒグマ「話は後だ、今はあのセルリアン討つぞ!」