僕の名前はラッキービースト。
ここ、ジャパリパークのガイド見習いロボットだ・・・った。
過去形なのは試験官だったヒトが居なくなってしまったからだ。
今は他の機体と同じく「
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かつて僕をガイドロボに育て上げようとしたミライさんは、実は自称パークガイドだ。
最初はガイドになるつもりで就職し、研修を受けたらしいが、
本人曰く「フレンズさんたちの余りのかわいらしさ」に衝動が抑えきれず
何かとコミュニケーション(という名の接触)を図るので、上からガイド失格の烙印を押されている。
確かに、展示品に手を出すガイドなんて非常識にもほどがある。
それなのに隊服を着て、バスを乗り回し、問題行動を繰り返していながらクビにならなかったのは、
パーク七不思議の1つに数えられている。(残り6つは募集中だ)
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そんな「ヒトに任せる」ことに懲りたのか、上層部はロボットに白羽の矢を立てた。
ラッキービースト計画・・・僕もその1体だ。
ジャパリまんの配給・施設のメンテが主な業務だが、
牧羊犬のようにフレンズを管理・監視する役目も任されている。
なにしろフレンズは力が強く、知能もそれなりに備わっている。
反乱を起こして、または島から脱走→ヒトに危害を加えるようなことがあってはならない。
表向きこそ「けものの従僕」だが、実質は「けものをヒトに従属させる」ためのコントローラーであり盾だ。
そこに<私情>があってはいけないのだ。
そんな中、ガイドロボのプロトタイプとして開発された僕だったが、
プログラムに不備があることが発覚し計画は頓挫。 僕は処分される寸前だった。
それを「記録媒体として使うから」と言って拾ってくれたのがミライだ。
恐らく「似た者同士」だったからだろう。
自分の「ガイドになる」という夢を僕に託したかったのかもしれない。
(少し性癖を抑えれば良かっただけのような気もしたが…)
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いつものようにさばんなちほーの巡回と配給を終えた僕は思い出に浸っていた・・・
僕はいつまでこんなことを続けるのだろう?
今度は、何年も考えて答えの出ない問いを頭の中で繰り返す。
明日はどうしよう・・・このまま茂みに隠れてボイコット?
そんな非現実的なことも頭をよぎる。
可能か不可能かで言えば出来ないことではない。
他の機体と違って僕には<心>があるからだ。
そのせいで不良品扱いされスタッフの手で廃棄されるという心配も、今となっては無い。
ふとサーバルのことを思い浮かべた。
僕を含むLBたちがどれだけ機械的(ビジネスライク)に接しても、
やった仕事に対しては必ず笑顔で「ありがとう」を言う良い子だ。
(これに関しては他のフレンズも例外ではないし、<ボス>と呼ばれるのも実は面映ゆい)
おともだちになろうよ、と言われたこともある。
僕だって、その気になれば・・・
「・・・夜行性だから!
きゃぁ~~!!」
そんなことを考えていると、当の本人の声が聞こえてきた。
「サーバルちゃん!あぶないよぉ」
続けてサーバルとは別の声が聞こえた・・・
!?
驚いた。 ミライと声紋が一致したからだ。
思わず草むらから出て、サーバルの呼び掛けも無視して歩み寄る。
ミライだ! そう直観した。
風貌こそ似ても似つかないフレンズだったが、間違いない!
ーというか、そんなことはどうでも良かった。
これはガイドロボット試験の続きなんだ!
僕は<心>を押し殺して話しかけた。
「初めましテ… 僕はラッキービーストだヨ よろしくネ」
こうして