息抜きに書いた2500字くらいの短編
助手
「『ヒトが絶滅した理由を教えてほしい』……?」
数冊の本を抱えながら本棚を整理している助手が、きょとんとした顔でかばんを見る。
かばん
「はい。なぜヒトが絶滅したのか、やっぱり気になるんです。」
かばんは真剣な表情だ。
助手
「ううむ……。」
助手は顎に手を当てて何か悩んでいる。
助手
「…ヒトを見る目が変わってもいいなら教えてもいいのです。」
助手の言葉にかばんは少したじろいた。
ヒトを見る目が変わるということは、サーバルのかばんを見る目も変わってしまうのだろうか……。
サーバル
「気になるー!教えて教ええて!」
だが、好奇心旺盛なサーバルは大きな声を出して聞きたそうにしている。
(サーバルちゃんも聞きたそうにしてるし……うーん。)
かばんは聞こうか聞かないか考えている。
確かにあれだけ繁栄していたヒトが絶滅した理由も知りたいが、助手が言うようにヒトを見る目が変わってしまったら、フレンズとの関係に隙間ができてしまうかもしれない……
博士
「で、かばんはどうするのですか。」
かばん
「ふえぇ!?た、食べ...」
突然後ろから博士に声をかけられたかばんは反射的に声を出してしまった。
サーバル
「あ!ハカセ、いたんだ!」
博士
「図書館では静かにするのです。」
ハカセも助手と同じように本を何冊か抱えていた。
博士
「それで、聞くのか聞かないのか、どっちなのですか?」
本棚を整理しながら博士はかばんに再度聞いた。
助手
「聞かずに損するか聞いて損するかの2択なのです」
助手も本棚を整理しながらかばんに返答をきいた。
サーバル
「かばんちゃん、せっかくだし聞こうよ!」
かばん
「うーん……。お願いします。」
サーバルに促されたかばんは、聞いてみることにした。
博士
「そう言ってくれると思ていたのです。」
「ヒトが絶滅した理由。
それは、私欲による資源の取り合いのせいなのです」
博士が椅子に腰かけ、机の上で手を組む
かばん
「資源の取り合い……ですか。」
助手
「ヒトは絶滅する前、地球温暖化という現象に苦しめられていたのです」
博士の隣の椅子に座った助手が続けて言う。
サーバル
「ちきゅうおんだん……。かばんちゃん、その
しかし、かばんも初めて聞く言葉なのでどういう意味かわからない。
博士
「一部のヒトは常に自分の利益だけを優先し、母なる大地……緑豊かな山や森、透き通るような青い海、我々鳥科の動物が飛び回る空、そのすべてを破壊しつくしていたのです。」
サーバル
「ヒトはそんなことしないよ!だって、かばんちゃんはとってもいい子なんだから!
そーだよね、かばんちゃん!」
かばん
「う、うん……」
博士
「まったく……かばんはまだ純粋な心を持ったヒトのフレンズだから悪さをしないだけなのです。」
博士がため息をつく
助手
「確かに、かばんのような『いいヒト』もたくさんいたのです。
しかし、その『いいヒト』よりも数の上回る『悪いヒト』のせいで環境は破壊しつくされたのです。」
博士
「さらにヒトは地下深くに眠る天然資源を求め争いを繰り返し、やがてかつてのヒトにはあった相手を思いやる心も薄れていったのです。」
助手
「そんな中、ある一人のミュージシャンが無限にエネルギーを作り出せる魔法の機械を発明したのです。」
かばん
「ミュージシャンがですか?」
サーバル
「みゅーじしゃん……て何?」
かばん
「PPPみたいに、歌を歌う人の事だよ。」
「それで、そのミュージシャンの名前はなんて言うんですか?」
博、助
「「『平沢進』という名前なのです。」」
博士
「そしてそのヒラサワが発明した機械は、全部で3つあるのです」
助手
「まず1つ目は、さっきも言った、無限にエネルギーを作り出せる魔法の機械、『世界タービン』という無限機関なのです」
サーかば
「むげんきかん……?」
博士
「『無限機関』は、一度動き出したら止まることなく外部に力を加えられる機械なのです。
資源が枯渇していた当時のヒトにとっては、その無限機関は喉から手が出るほど欲しい物なのです。」
助手
「そして残りの2つは、人知れず回り続け天気を操作する『賢者のプロペラ』
世の中のすべてを計算しつくし、平和へと導く『夢みる機械』。
どれも使い方を間違えない限り、世界を救う魔法の機械なのです。」
かばん
「なら、なんでそんなに便利な機会があるのにヒトは絶滅したんですか?」
博士
「簡単なことなのです。使い方を間違えたからなのです。」
助手
「分け合えば余るものを、ヒトはをの3つの機械を奪い合うために
かばん
「……」
博士
「けっきょくヒトは自滅の道を歩んだのです。
それに呆れたヒラサワは、三つの機械を『ハルディンホテル』『ナースカフェ』『上南沢駅』に厳重にしまい込んでしまったのです。」
助手
「その3つの機械の稼働方法を唯一知っているヒラサワは、PEVO1号と共にホログラムを登り、論理空軍機にのって別次元へと姿を消したのです。」
かばん
「……ということはつまり」
博士
「ヒトはその3つの機械を稼働することはできず、そのまま絶滅してしまったのです。」
かばん
「……」
助手
「そんな落ち込むことじゃないのです。我々が知らないところで、ヒトは生きているかもしれないのです。」
博士
「例えば、崩れかけた建物の中のカプセルの中で眠ってたり……」
かばん
「……」
博、助
「「……かばん……。」」
俯くかばんに心配そうに二人が歩み寄る
かばん
「あっ大丈夫です!むしろすっきりしました」
顔を上げたかばんは笑みを浮かべながら二人に返事をした。
かばん
「それに、本当にヒトが絶滅してるなら、新しく作ればいいんですよ。」
立ち上がったかばんは服を脱ぎ始めた。
博士
「ななな、なにをやっているのですか!今すぐフクを脱ぐのをやめるのです!」
かばん
「ボク、ヒトがどうやって子孫を残してたのか気になるんですぅ。体に直接教えてもらいますよー!」
助手
「ちょ……やめるのです!お前は純粋でもなんでもなかったのです!所詮はヒトだったのです!サーバルぅ!いますぐかばんを止めるのです!」
サーバル
「ZZZZZZZZZZZZ」
助手
「な……」
それでもかばんの服を脱ぐのをやめない。
とうとう下の半ズボンまで脱ぎ始めた。
博士
「これはまずいのです!逃げるのです!」
助手
「ああああああああああ!!!!!!」
かばん
「あっちょっと、なんで逃げるんですか!待ってくださーーい!」
博、助
「「賢さの危機なのですうううううううう!!!!!!!」」
ジャパリパークは今日もずっこんばっこん大騒ぎだ。
カオス過ぎる…