フレンズになる前のオレの記憶は曖昧だ。
気が付いた時には檻の中だった。
何かを持つヒトの、オレを見る目はいつも暗く冷たかった。
痛みは、とうに麻痺している。
何かが体の底から こみ上げてきて意識は飛ぶ。
そんな毎日が ある日、唐突に終わりを告げる。
夕焼けの中、そのヒトは檻を壊し、鎖を切り『キミはもう自由だ』と言った。
逆光で顔も見えなかったソイツとはそれっきりだった。
その後の記憶も曖昧だ。
オレは感情の赴くまま暴れていた、らしい。
だが、フレンズが怯え・悲しみ・警戒に満ちた目でオレを見ていたのは覚えている。
だから正気に戻ったとしても、誰もオレを受け入れるはずなどないと思っていた。
そもそも自分がそれを許せなかった。
でもアイツに会って、変わった。
周りが見えるようになった。
自分が少し分かるようになった。
イエイヌの目からは警戒心が消えた。
博士たちは子供を見守るような目でオレを見ている。
かばんは愛おしい(でいいんだよな)目でオレを見る。
ともえは・・・
変な時間に目が覚めてしまった。
フラフラとリビングに入ると、窓から夕日が差し込もうとしていた。
確か「
そんなことを考えていると、逆光の人影に そう声を掛けられた。
アムトラ
「・・・
何でもない」
ともえ
「でも顔色が悪いよ?」
アムトラ
「何でもないって言ってるだろ!?」
コイツは、時折こんな風に心の距離を詰めてくる。
いつもは捕まえたいのか突き放したいのか迷っている内に離れていくのだが・・・
あんな夢を見たせいか反射的に拒絶してしまった・・・
気まずい雰囲気が漂う。
ともえ
「・・・
ああ~ なんか足が冷えるな~」
ーと思ったのはオレの方だけだったらしい。
ともえはオレの気も知らないで、床に正座すると、
太ももをポンポンと叩きながら唐突にそんなことを言い出した。
アムトラ
「そんなに寒いならイエイヌに毛布でも持ってきてもらえばいいだろ?」
そのまま突っぱねたままでも良かったのだが・・・
いつの間にかコイツのペースにハマってしまう。
ともえ
「それじゃあ温かくなるまで時間が掛かるじゃない。
人h… フレンズ肌が恋しいなぁ・・・ チラッ」
アムトラ
「・・・
なんで そんなにオレに構うんだ…」
ともえ
「あたしが『そのため』に生み出されたから・・・かな?」
? 何を言ってるんだろう、コイツは…
ともえ
「詳しいことは分からないけど、『何かに縛られてる』気がするんだよね。
それって本人はラクかもしれないけど、見ている側としては『なんとかしてあげたい』
って思っちゃうんだよね。
それってエゴでしかないし、そういうあたしも何かに縛られてるのかもしれないんだけど・・・」
どうしてコイツは・・・