サンド「ジド、ヒグマは?」
ジド「生憎、僕は医者じゃない。にわかな知識だが、左手の骨折と右足の複雑骨折、それに肋骨の粉砕と右肺が潰れてることはわかる。重症どころの話じゃないぞ?ブラックジャックでもいない限り、完治すことは不可能だろうな」
シドは深いため息をつく。
フェネック「ねぇ?死んでなかったのー?」
ジド「い…いいいい…一応…ででで…ですね…」
フェネック「セルバーストを真正面から受けて、それじゃ結構軽症だよー?」
ジド「え?」
フェネック「原子レベルで破壊する光線技を受けて、骨折?肺が潰れる?とんでもない軽症だよー」
ジド「だ…だけど、最新の医療技術でも、完全に治療することはほぼ不可能…後遺症が残るレベルですよ……」
フェネック「死んでない限り、どんな重傷でも治せる医者を、わたしは知ってるからねー」
ジド「え!?ブラックジャック!!??」
アライグマ「アライさんなのだ!!」
ジドは硬直する。
午前2時、ヒグマはボロボロの状態で、ベットの上に横たわっている。
一つの部屋、サンド以外はその部屋に居た。
いや、かばんはいなかったか
サンド「俺はかばんを探してくる。アライグマ、ヒグマを頼んだ」
ジド「ヒグマをって……どうするつもり…」
アライグマはヒグマの横の椅子に座った。
アライグマ「忘れたのだ?アライさんの野心は奇跡、つまりサンドスターの力を操る野心」
ジド「それが…?」
アライグマ「フレンズの体は人と同じ、人に動物の特性が加わった、それがフレンズ」
アライグマがヒグマに手をかざす。
アライグマ「崖から落ちたり、爪を引っ掛けて木を登ることなんて、人がやったら必ず怪我をするのだ。だか、サンドスターがあれば…」
荒くしていたヒグマな呼吸が落ち着いていく
アライグマ「フレンズはその野生に耐えることができるのだ。見ての通り」
ジドは急いで足を見る。
ジド「飛び出していた……骨がない……!?」
アライグマは頭をかき
アライグマ「とは言えど、フレンズからしたらただの回復技なのだ…」
シドは唖然とヒグマを見つめている。
フェネック「ジドさーん、私たちは基本何でもありだから早めに慣れることをオススメするよー」
サーバルは顔を上げ
サーバル「そ…そうだ!あの時、アークに何をしたの…?急に雪みたいになっちゃって……」
アライグマ「ああ……それは……」
アライグマは言葉を詰まらせる。
フェネック「ごめんねー、私ー怒りっぽくてねー」
サーバル「え!?ご…ごめんね…私、ちょっと…」
フェネック「いいさー」
フェネックは微笑をサーバルに見せる。
アライグマ「フェネックは特別で…怒ると止まらないのだ……昔にも一回……」
フェネック「アラーイさーん?」
アライグマ「ご……ごめんなさいなのだ…!アライさん…少し喋りすぎたのだ……」
フェネック「次やったら怒るからねー?」
フェネックは冷静に、そして殺気を放ちながら言う。
フェネック「私、水のあるところなら姿を見せなくても移動ができるんだー、だから、飛ばされた時にこっそり近くまで行って、凍らせたんだー。凍るとどんな物体でも脆くなるからねー」
サーバル(怒ることと…関係ないような……)
サーバルはそう思いながらも、フェネックの話を真剣に聞いた。
ジド「それよりも!」
フェネック「そ……それよりもー…?」
ジド「銀髪のゴーレム……あなた方にお会いし、お話までできるなんて……僕はなんて幸せものでしょうか!?あ…あの、握手してください」
フェネック「うわー……」
シドが手を差し出す。
アライグマ「アライさんは遠慮しておくのだ」
フェネック「私もー」
サーバルは不穏そうな顔をしていた。
僕がいない異常事態に、少し困惑している。
が、すぐ帰ってくると安心だってしていた。
ど深夜だが、僕は帰ってくると
サーバル「ち…ちょっと、外の空気吸ってくるね」
サーバルは立ち上がり、ドアを開け走っていく。
シド「サーバル、かばんのこと気にしてるな?」
アライグマ「ジド、ところでかばんって一体何者なのだ?」
ジド「はひ!?そこらへんのフレンズです!」
アライグマ「フレンズなのは察しつくけど、一体何のフレンズ……」
フェネック「ヒトだと思うよー」
アライグマ「フェネックが言うなら間違い無いのだ」
ジド「実際ヒトだけども…」
フェネックは立ち上がり
フェネック「私も外の空気吸ってくるねー」
フェネックはドアを開け、サーバルと同じ道を辿っていく
部屋は静まり返り、ジドがアライグマを見つめる
とろけるような顔でアライグマを見つめるジドは、まるで恋をしてるようだった。
キンシコウ「あ…私たちも出たほうがいいですかね……?」
ジド「あ、居たんだね。いいよ、居てて」
ジドの顔が、心なしか不服そうに見えた。
さて、外を見てみると、ベランダに体育座りして顔を埋めてるサーバルがいた。
水の張った瞳にうっすらと光が反射し、美しい月がうつりそうで
フェネック「お悩み事かなー?速い子猫ちゃん?」
サーバル「フェネックさん……」
フェネック「はは…【さん】だなんてねー、私好きじゃないよー、そんなのー」
サーバル「じゃあ…なんて…」
フェネック「呼び捨てでいいのさー、多分年の差は30くらいあると思うけどねー」
サーバル「え!?一体いくつなの!?」
フェネック「48歳、どう?ドンピシャでしょー?」
サーバル「よ……48!!??私18だから…本当に30離れてる……」
フェネック「私、昔占い師目指してたんだー、練習してたんだけど、当たりすぎて怖くてやめたんだー、ちなみに、アライさんは45ねー」
サーバル「当たりすぎて怖い……って!そ…そんなに年取ってたの!!??」
フェネック「まーねー、若く見えるでしょー?フレンズだから当たり前なんだけどねー」
サーバル「フェネックって他に何か出来ることってあるの?」
フェネック「積極的だねー、一つ大きなのを言えば」
フェネックは右手を月の方へ伸ばした。
手を上に開くと、手のひらにひし形で縦長の小さな氷が出てきた。
フェネック「私の野心は氷、水のあるところだったら氷を出すことができる。それと…」
フェネックは氷をサーバルへ渡した。
サーバル「……暖かい……」
フェネック「私の気持ちで温度が変わるんだー」
サーバル「ってことは…今…怒ってる……?」
フェネック「まさかー、怒ってたら湯気が出てるよー。私は、サーバルと話がしたいだけなのさー」
サーバル「はは…なーんだ!アライグマが怒ると止まらないって言ってたから…」
フェネックは黙り込んでしまう。
サーバル「そういや…昔に一度………何があったの……?」
手に持つ氷が徐々に冷たくなっていく
フェネック「サーバル……」
サーバル「……ごめんね…聞かない方が……」
フェネック「いいのさー、言ってあげる」
サーバル「え!?」
フェネック「ただ、それは私の野心を知ることになる……」
サーバルは息を飲む
フェネック「私はアライさんが好きでねー」
静かに、でも確かに聞こえる
フェネック「ずっと、後ろを歩いてるんだー」
月光が照らすフェネックの顔は何か悲しい顔をしていた。
フェネック「それとねー……」
フェネックはゆっくり、サーバルの方を向いた。
・
フェネック「私はねー、【殺人鬼】なんだー」
・
サーバルは目を疑い、耳も疑った。
太陽の当たらぬ場所、月の光が照らしたのは
太陽を知らない、氷であった。
フェネックはニヤリと笑った。
手に持つ氷に、微かに熱が宿る。
第20話へ続く……
とまと「次回のアナサーは」
プリンセス「あれ……!?新年迎えてるわよ!!なんでこんなもん書いてるの!!」
ジェーン「知ってますか?とまと仮面の年末は、お年玉もらって終わりなんです」
コウテイ「ひどいな」
イワビー「家族と交流したりしないのか…」
フルル「親不孝者だねー」
とまと「毎回思うんだが、ここって俺を侮辱するコーナーじゃないよね?」
コウテイ「次回、〈黒い光〉」
ジェーン「侮辱するコーナーだと思ってましたよ」
プリンセス「悪魔……」
👍ペース遅いけど読んでるよ
🙇♂️