サンドがいなくなり、9日が経過した。
今は11月20日、午後10時。
サイレンが鳴り響く。
場所はあの時、サーバルがビルを切ったところ。
街灯も消え、真っ暗な中。
大火のごとく燃え盛る炎に照らされる地面。
中央には一人の少女、
いや、アークセルリアンなのか
アークの前にハンターたちが立ちふさがる。
アーク「……僕は君たちに会うために、こんな品のない暴れ方をしたわけじゃない。そこを退いてもらおうか」
ヒグマ「嫌だ。最初に言っておく、逃げるなら今のうちだ、喋るセルリアン」
アーク「おうおう、因縁の敵みたいに言うじゃないか。心外だなぁ…僕には【アークセルリアン】という、立派な名前があるんだよね」
ヒグマ「んなことわかってる。だから最初に言ったんだ。二度目が欲しければ、歯を食いしばれ」
アーク「もう一度お願いしまーす!」
ヒグマも、8日間何もしなかったわけじゃない。
アークセルリアンに打ち勝つため、己に打ち勝つために特訓をしてきた。
ヒグマ「クマデ、行くぞ」
クマデ「……あいよ…」
ヒグマがアークをクマでで殴りかかる。
アークはそれを左手で受け止めるが、少し押され、膝をついてしまった。
アーク「これは想定外だ……これが後二人もいるのか……」
キンシコウとリカオンは構えながらも、その様子を見つめている。
ヒグマ「忠告を無視した報いだアークセルリアン!逃げるなら今のうちだと言っただろ!」
アーク「逃げる?僕がかい?そんな知れた攻撃で僕が逃げるってかい?」
アークは笑った。
アーク「その言葉、そっくりそのまま返してあげるよ」
キンシコウとリカオンは見た。
そして驚いた。
ヒグマが吹き飛ばされた光景を
ヒグマ「ぐっ!!がはっ!!……」
ヒグマを見つめる二人に、アークは言った。
アーク「久しく……。さっきの体は、本当の体の何分の一だと思う?」
またまた驚く二人。
アークの手が黒く、そして大きくなっていた。
頭についていたひらひらは大きくなり、体型こそ変わらないが、子供らしさが消えていた。
黒く、邪悪なオーラを放つその姿は、恐怖を擬人化したかのような姿。
如意棒「キンシコウ!戦闘をやめるんだ!」
キンシコウ「え……?」
如意棒「逃げるんだよ!!早く!」
如意棒がキンシコウを引っ張る。
リカオン「ななな…何ですか…その腕……」
アーク「ん?この腕かい?これはね【アークハンド】って言って、こんなことができる腕だよ」
アークは右手を前にかざす。
すると、その手からは1mを優に越す太さの光線が放たれた。
光線はヒグマのすぐ横にあたる。
アーク「今のはわざと外した。強さがわからないと逃げようにもないだろう?さぁ、逃げたまえ。僕には待たなきゃいけない人がいるんでね」
キンシコウもリカオンも唖然とし、その場から動こうとしない。
アーク「戦いたいんじゃない。怖いんだろう?分かるさ。少しだけなら待ってやっても構わない」
キンシコウは後ずさりながら問う。
キンシコウ「待ち人とは……?」
アーク「そうか、君たちとは同職だったな…?」
リカオン「え……?」
アークは首を傾げる。
その顔は笑顔であふれていた。
アーク「【かばん】だよ…彼女を待っている」
二人は驚いた。
アーク「呼んでくれるなら、少しだけ待ってほしいな。呼んでくれた暁には、君たちを逃がしてやろう」
呼べるはずがない。
彼女は一週間ほど前に出て行ったからだ。
だけど、逃げたい。
とても危険だ。
何よりヒグマが心配だからだ。
ヒグマ「残念ながらかばんはお留守だ…大人しく消え失せるんだな……!」
ヒグマがふらつきながらも立ち上がる。
アーク「お留守か、なら君たちに用はない。さっさと消えろ」
ヒグマ「消えろって言われて……消える奴がどこにいるんだよ!!」
ヒグマがアークに飛びかかる。
キンシコウも、リカオンもそれを止めようとしたが振り払われてしまう。
ヒグマ「うおぉぉぉ!!!!」
が、そんな攻撃、弾き返されるのは予想内。
何度も何度も殴り、殴られ。
ボロボロというか、もう屍のようであった。
キンシコウ「やめてください!!ヒグマさん!」
キンシコウとリカオンがヒグマの腕を抑えた。
ヒグマ「離せ!早く!!」
ジタバタともがくヒグマを、目を瞑り抑える二人。
アークはふと、疑問を問う
アーク「君が、ここまでして戦う意味は何だ?お前の感情は怒りだ。単なる怒りでここまでするなら軟弱者で怠惰、まるで子供だ」
ヒグマ「なんだと!!!」
アーク「バカみたいに騒ぎ、正論を言われたら怯む。そんなバカにすぎない。が、君はその中でも一番タチの悪い【正論を言われても、支離滅裂に返す】そんなバカだ。お前のやっていることがいかに意味がなく、意味のわからないことがわかるか?」
クマデ「アーク……!だったっけ!!それ以上は言うな!!俺たちだって……」
アーク「人として情けない。僕は他人のことを思ってやっているのだ。そのため、人もいなく、今もなお瓦礫の山なここを選んだんだ。僕だって殺人鬼じゃない。お前はそれでも人か?」
クマデ「アーク!ヒグマはヒグマだ!人じゃない!」
アーク「おやおや?サンドスターに当たらなかったのかい?だから、そのポンコツ頭は在住なのか?」
アークは嘲笑う。
歯を食いしばり、しかめっ面で睨みつけるヒグマには、もう、目的なんてなかった。
クマデ「アーク……ヒグマにそんなことを言うな……怒りじゃなくて悲しみが出てくる……」
アーク「なんだ?武器。僕が間違ってるとでも?」
クマデ「間違ってる!!」
アーク「どこが?なにを!?」
クマデ「……間違ってる………」
アーク「ほら、言えないじゃないか。さっさと立ち去れ、あとでそのポンコツに喝を入れてやるといい」
アークは鼻で笑う。
軽蔑するようにヒグマを見つめる。
ヒグマは必死にもがく。
キンシコウ、リカオンは目を瞑り、下唇を強く噛んだ。
ヒグマは力が抜けたのか、抵抗がなくり、下を向く。
ヒグマ「……クマデ……お前はいつもそうだ……」
クマデ「……ヒグマ……」
ヒグマ「私とお前はどんな関係なのか!何で出てこない!!」
アークは首をまた傾げ、聞いた
アーク「関係?契約上のか?」
ヒグマはニヤつき、顔を上げた。
アークを見つめる。
その目は狂気に満ちていた。
ヒグマ「ヒグマの言う通り、私は人じゃない…」
アーク「ほう、自分の無能さを認めたか?」
ヒグマ「違う!!」
ヒグマは真剣に、アークの目を見つめる。
・
ヒグマ「私たちは【悪魔】だ!!!!」
・
アーク「……その答えは想定外…」
ヒグマ「戦う理由!?あるさ!表だけならな!!私は戦いたいから戦ってるのかもしれない!こいつと……クマデと一緒に戦うためにな!!」
アーク「それは武器に甘えてるだけでは?」
ヒグマ「だからここまでして戦うんだ!!!クマデは私の友だ!!仲間だ!!仲間だけが戦うのは理不尽だろ!?クマデがボロボロになって、頑張って戦うなら!私は屍になってやる!!」
アーク「ほほーん…」
ヒグマ「それが!私がここまでして戦う理由だ!!!表だって裏だってどうでもいい!私はこいつと戦う!!それが戦う理由だ!!」
クマデ「ヒグマ……」
キンシコウ「ヒグマさん……」
アークはクスッと笑った。
アーク「なるほど、面白い。それが理由なら、ここで死体となってニュースで報道されてもいいんだな?」
ヒグマ「ああ……勿論だ…!」
アーク「ハハハハハ!上等。ハンターと思って軽蔑していたよ。僕の餌を倒して金稼ぎしてる集団だと思ってね」
ヒグマは何もせず、ただただアークを見つめる。
・
ヒグマ「こっちも上等だ……!」
・
風の音が鮮明に聞こえてくる。
キンシコウとリカオンは、ヒグマを離し、そっと、一歩下がる。
そして見つめる。
何かが始まるかのように
そして、こっちとは別の、【あっち】でも動きがありそうで……
サンド「おい!さっさと支度しろ!サーバル、かばん!!まだ2回しかあってない奴らが、漫画の最終話みたいなことになってるから!!」
ツチノコ「なんだそれ…」
サーバル「サンドさん!!かばんちゃんが…!」
サンド「え、どうしたの?」
サーバル「い……居ない……」
サンド「え……えぇ……くそ!時間がない!サーバル、お前だけでも行くぞ!!」
ツチノコ「あー……俺はいいのね…」
第16話へ続く……
【アークハンド】とは
これらのこと
【頭についていたひらひら】とは
これのことです。
【ちなみに】
これが今回登場した、アークの新しい姿です。
とまと「急な展開や、文章の下手さはお許しください。空白の8日間は後々埋める予定です。引き続き、よろしくお願いします」
次回〈悪魔の奇跡〉
👍
🙇♂️
ヒグマVSアークの攻防も徐々に緊迫してきましたねー
続きも楽しみんみ
ありがとうございます!