未確認なスーパーヒーロー 最終話
〈未確認でスーパーヒーロー〉
ゆっくりと、ぼんやりと、
白い天井が見える。
ジド「ツチノコ!起きたか!?」
その声で、俺は完全に起きた。
ツチノコ「ジ……ジド?」
ジド「ああ、そうだ!ジドだ……はぁよかったぁ…」
ツチノコ「??こ…ここはどこだ……?」
ジド「え?ここはパー区総合病院さ」
俺は手を使って起き上がろうとするが、
右手に違和感、
(左手は折れてるので使わない)
いつもの義手じゃない……?
俺は右腕を確認する。
ジド「あぁ……すまない……」
ツチノコ「お……おい……これは……?」
それはただの義手。
ブーストもバーストもクソもないただの義手。
ジド「すまないが……ツチノコ…君は今日で警察をクビだ……」
ツチノコ「は?クビ?なんで!?俺がクビになったらスナネコの管理はどうすんだよ!」
ジド「…………」
ツチノコ「なんか言えよ!!」
俺はジドの胸ぐらを掴む。
慣れない義手で、
ジドは涙を流しながら
ジド「すまない……本当にすまない……
スナネコは……
・
・
・
《死んだんだよ》」
俺は胸ぐらを掴んだ手を緩める。
ジド「あの時、あいつを倒した時……彼女自身もかなり負担を負ってた……」
ツチノコ「なんで……?」
ジド「どうやらセルリアンともう一つ、コアも取引の一つに入ってたらしい。おそらくそれを使ったと……」
ツチノコ「じゃあなんで、反応しなかったんだよ!」
ジド「センサーは活動を起こしてるコアしか反応しないんだ!」
俺は手を退け、ベットの壁にもたれ。
そして眉間にしわを寄せながら微笑を浮かべた。
ジド「僕も…できる限りはやった……」
ツチノコ「……やってくれなきゃ困る……」
ジドは立ち上がり、
ジド「詫びじゃないが、渡したいものがある」
・
ツチノコ「お……おい!本当に出ていいのか?」
ジド「ダメに決まってる……」
ジドは俺を車に乗せエンジンをかけ車を走らせた。
ツチノコ「どこに行く!?」
ジド「僕の研究所だ」
ジドの研究所は病院から近く、
と、言うことでもう着いた。
ツチノコ「車で行く必要なかったんじゃ……」
ジド「こっちに来い!」
ジドが強く俺の義手を引っ張る。
玄関を入り、階段を登った。
そしてドアを開ける。
ツチノコ「渡したいものってなんだよ!」
ジド「渡したいものは……」
ジドはあるものを掴んだ。
ジド「新しい義手だ」
ツチノコ「え?」
ジド「あんな如何にも[人を殺してくださーい]みたいな義手は流石に警察はNGだった、だけどこれはあれほどの性能はないけどきっと君なら使ってくれる!」
その義手は前のものと比べると全くもって形が異なっていた。
ジド「力も結構出るし、ナイフも出て銃も打てる。だから……」
ツチノコ「な……なんで……」
ジド「予算が足りなくて高性能にはできなかったけど、平和とミライのために使ってくれ!!」
ジドは義手を渡してくれた。
今つけてる義手は引っ張れば取れるので、すぐ付け替えた。
ツチノコ「感謝するぜ……ジド……」
ジド「あ…そうそう……」
ツチノコ「ん?なんだ?」
ジド「誰か来たらまずいからあとは自力で帰ってくれ」
俺は外に放り出された。
あいにく自宅も近くだったので寄ってくことにした。
ツチノコ「あいつ……鍵閉めてねぇ……」
鍵のかかってないドアを開け、
ツチノコ「てか…ジドの奴……義足も用意できなかったのか……?」
俺はスナネコの部屋のドアを開ける。
そこは本やらなんやらが散らかっていた。
どうやら車椅子に乗るのに苦戦したっぽい。
ツチノコ「……汚いな……」
悲しそうな表情、心も悲しみで満タン。
するとスナネコのベットにたった一冊の本が置いてあった。
ツチノコ「俺の貸した本……」
付箋が付いていた。
俺はそのページをめくる。
思わず涙が出た。
本を閉じた。
泣きぐずれ膝をついた。
ツチノコ「なんだよ……ちゃんと……読めるじゃねぇか……スナネコ…ごめんな……頑張ったな……」
12ページ、付箋はしっかりと貼ってあった。
・
そのあと病院に戻ったらめちゃくちゃ怒られたんだよなぁ……
そして、今につながる。
現在時刻午前1時12分。
さぁ……夜が来る……!!
(推定ED・Great Days)
未確認なスーパーヒーロー 完