ツッコミ隊長さん&スナドリさんコラボSS(脚本:愛知)
芸ー1グランプリ
マーゲイ
「おはようございます!」
コウテイ「おはよう」
イワビー「オッス」
ジェーン「おはようございます」
プリンセス「おはよ、気合入ってるわね」
マーゲイ
「当然です!
なんせ今日はライブ会場リニューアル公演の初日ですから!
では打ち合わせを始めましょう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マーゲイ
「・・・と、ここまでが前半パートになります」
コウテイ
「うむ、良い構成じゃないか?」
マーゲイ
「ありがとうございます」
ジェーン
「
それだったらこの間フルルちゃんねるにお邪魔した時のお話をしようかと思うんですが・・・」
マーゲイ
「それは是非聞きたいですけど、明日以降に取っておいてもらえますか?
今日はお客様の間でも好評の『芸-1グランプリ』にしようと思ってます」
イワビー
「あぁ、あの『アニメで見たオーディション企画』から派生した実質フレンズたちの隠し芸大会だな。
いいねぇ! オレも好きだぜ」
マーゲイ
「読者に優しい説明セリフ、ありがとうございます。
気軽に参加しやすい形にしてみたんですけど中には未来の逸材がいたりして、
私的にも一石二鳥の企画なんですよね。
ではステージが暗転したら上手の方に移動して頂いて、審査員席に着席して頂けますか?」
プリンセス
「それはいいとして・・・
さっきから気になってたんだけど、あなたは誰?」
プリンセスの視線の先にはステージの下でかぶり付くように見ていた雪子の姿があった。
イワビー
「そういうこと言ってんじゃねぇよ、部外者なら立ち入り禁止だぞ?
今、大事な打ち合わせ中なんだ」
コウテイ
「それとも気の早いお客様かな?
入場時間ならまだ先だから・・・」
マーゲイ
「いえ、関係者なので大丈夫です。
今、ものすごく人気のアイスクリーム屋さんなんでスカウトしたんです。
イベント告知をしたら秒でチケットが売り切れちゃったんですよ。
あ、もちろんPPPの皆さんのネームバリューがあってこそ、ですけど」
ジェーン
「そう言えば・・・
もしかしてエジプトガンさんから口コミで広がって、評判になったっていうアイスですか?
とってもクセになる味らしいんで、ライブが終わったらみんなで頂きましょう」
プリンセス
「あんたたちって相変わらずアンテナ広いのね。
じゃあ話を戻しましょうか。
今回の賞品は何を用意してるの? 実は私、それも楽しみの1つなのよね」
マーゲイ
「今日はコレです!」
イワビー
「なんだこりゃ!?」
コウテイ
「大きいな・・・」
ダルマ落としはかなりの高さで、
コウテイが腕を伸ばしてやっと頂上に鎮座するダルマのヒゲ辺りに届くくらいある。
ジェーン
「おうちに持って帰っても置き場所に困りそう…」
プリンセス
「これにした理由って何かあるの?」
マーゲイ
「はい、ヒトの世界では建物が新しくなると『柿落とし』というイベントを行なうと聞きまして。
なんでも木槌で破壊したお酒を振る舞いながら落としたダルマに目を入れるんだそうです」
プリンセス
「何かいろいろ混ざり過ぎておかしなことになってる気がするんだけど・・・」
イワビー
「あー!?
いつもなら謎うんちくブッコんでくるフルルがいねぇじゃねぇか!」
ジェーン
「本当です」
コウテイ
「また寝坊か・・・
ジェーン、悪いが起こしに行ってくれるか?」
ジェーン
「分かりました」
プリンセス
「こんな調子でVtuberは勤まってるのかしら?」(ぷりぷりプリンセス💢)
イワビー
「それが、なぜか視聴者にはウケてるらしいぜ」
コウテイ
「それならいいが・・・」
その時だった!
イワビー
「おい、アレ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
空から降ってきたセルリウムがダルマ落としに接触し・・・
「ぐぉぉおおおーー!」
ダルマ落としがセルリアン化したのだ!
コウテイ
「これは・・・今年もパークに黄砂、いやセルリウムの季節がやって来たか!」
マーゲイ
「そんな・・・このままではせっかくのライブ初日が」
イワビー
「なんか変なマジナイでもしたんじゃねぇのか!?
ーなんて言ってる場合じゃねぇな。
プリンセス、例のヤツ! イケるか!?」
プリンセス
「OK、やりましょう!」
そう言うと2人はコウテイの両脇を抱えると・・・
コウテイ
「おい、なんだ? なんのつもりだ!?」
身もだえるコウテイを無視して、それぞれ足も抱える。
ーとコウテイの体は、大の字かつ水平な体勢になる。
さながらミッションインポッシブルのイーサンのように・・・
プリンセス
「せーの!」
ゆうえんちのバイキングのように後方に勢いを付けて振ると、今度は前方に向かって・・・
投げ放つ。
イワビー
「必殺! カタパルトボカンアターック!」
コウテイの体は地面を這うように射出され、ダルマリアンの胴体部を1段弾き飛ばすと
どんがらがっしゃーん!
そのまま舞台袖に消えて行った・・・
一方のダルマリアンは胴が1段ぶん短くなったとはいえ、まだまだ健在だ。
その隙にキャットウォークによじ登っていたマーゲイが叫ぶ。
「ありました! へしは頭頂部にあります。
そのままダルマ落としの要領で胴体部を抜いて手も足も出なくさせてください!
ダルマだけに」
ジェーン「了解です」
フルル「これでも食らいなさい!」
戻ってきたジェーンとフルルは(マーゲイのボケをスルーして)手を繋ぐと、
そのまま二人三腕でダルマリアンに向かって走っていく。
ダルマリアンの両サイドを駆け抜けついでにまた1段胴を素抜く。
フルジェンのツープラトンラリアットを食らってもまだ余力のあるダルマリアンは
辺りを見回すと狙いをステージ下の雪子に定める。
マーゲイ
「危ない、逃げて!」
しかし雪子は怯まない。
チャーム(魅了)を受けたダルマリアンは行動不能に陥った!
ここぞとばかりにPPPの4人はダルマリアンを囲み、フリッパーで往復ビンタを見舞う。
ダルマリアンの胴が1段、また1段と弾き飛ばされる。
PPP最後の1人、コウテイは
「ふふ… ふふふふ…w」
鼻血を垂らしながらゆらりと起き上がり、
恍惚とした表情をしながら誘うようにダルマリアンに流し目を送る。
ぞわ…
ダルマリアンはドン引きしている。
そのダルマリアンに向かおうと1歩踏み出したコウテイは、
自らの鼻血で足を滑らし盛大にすっ転ぶと、そのままの勢いでダルマリアンにスライディングしてしまう。
足を刈られる形になったダルマリアンは最後の段を失い、頭を残すだけになる。
一方コウテイは
どんがらがっしゃーん!
逆の舞台袖に消えていった。
プリ・イワ・ジェ・フル
「今よ!」「今だ!「今です!」「…今だよ~」
隙を見てキャットウォークに登っていたマーゲイがダルマリアン目掛けて頭から飛び降りる!
・・・しかし本能が勝ったのか、宙で体をよじると綺麗に足から着地する。
ーと同時に瓦割りのようにダルマリアンの脳天をネコパンチチョップ!
雪子
「パンチなのにチョップ…?」
そんなもっともなツッコミをよそに
ぱっかーーーん!
ダルマリアンの頭部はブロック状に雲散霧消した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コウテイ
「よくやった」
ボロボロのコウテイがイワビーとプリンセスに両脇を支えられながらねぎらう。
イワビー「お手柄だな」
プリンセス「一時はどうなることかと」
フルル
「美味しいね~ これ」
雪子
「ありがとう」
いつの間にか雪子からアイスを貰ってご満悦のフルル。
ジェーン
「どうしました?」
消えずに残っていたダルマ落としの胴体部を集めていたジェーンが、
ダルマリアンを倒した体勢のまま様子のおかしいマーゲイに声を掛ける。
マーゲイ
「このままではダルマ落としになりません。
芸ー1グランプリの賞品はどうしましょう・・・」
開場時間は目の前に迫っていた・・・
~後編に続く~
【すぺしゃるさんくす】
ツッコミ隊長さん
スナドリさん(スナドリネコ・サモエドの出番は次回までお待ちください)
柿じゃなくて杮なんだよね~ 実は。
あとお酒をふるまうのは鏡開きで~
ダルマの目は左から入れるのが正式なんだよね~
まあ、どれもハレの(おめでたい)儀式には違いないんだけどね~」
イワビー
「つまりオレの『変なマジナイ』って指摘もあながち間違ってなかったのか…」
「すみません! 私が至らなかったばっかりに・・・」
マーゲイは
香箱座り土下座で謝った。コウテイ
「そこまで恐縮しなくても・・・誰もマーゲイを責めてるわけじゃないから。
反省してるなら次に生かせばいいさ。
それよりイベントの賞品はどうしたものか…」
雪子
「私に出来ることがあったら言ってね?」
プリンセス
「ありがとう、気持ちだけもらっておくわ。
ねぇ、芸―1を後日に延期するっていうのは?」
マーゲイ
「そういうわけには・・・
都合で出場出来なくなる人もいるでしょうし」
ジェーン
「もう時間です。
お客さんが続々入って来てますよ」
マーゲイ
「仕方ありません。
こけら落とし・・・改め、ダルマ落としはダルマ無しでやってもらって
賞品は別で用意しましょう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「う~ 緊張するなぁ」
「いっぱい撮るから頑張ってね」
ライブ会場に向かう大勢の客の中にスナドリとサモエドの姿もあった。
\わー!/\きゃー!/\コウテイさま~!/\わー!/\ふるるー、ふるるー!/
会場は大盛り上がり。
ライブステージ上のマーゲイ
「ではここで前半戦は終了。
続いて皆様お待ちかねのイベント、芸―1グランプリです」
\待ってました!/\今日は誰が出てくるのかな?/
マーゲイ
「トップバッターは初出場、オイナリマカミのお2人です、どうぞ!」
(BGM~)
舞台上では曲に合わせて踊りながら何もない空間から稲荷寿司とおにぎりを取り出すマジック?
ーを披露するオイナリサマとマカミ様。
舞台袖の審査員席では、
どうにかトリックを見破れないかとコウテイ・プリンセス・イワビーが凝視している。
ジェーンは「どうなってるのかしら?」とばかりに首を傾げている。
そして、先ほどのテーブルマジックパートでもらった稲荷寿司とおにぎりを前にご満悦のフルル。
観客席からは
\いつもの!/ \あれって芸でいいの?/ などの声が上がっている。
(BGM)
2人目はスナドリネコ。
ダンサブルな音楽と明滅する照明の中、ヨーヨーを披露する。
\お~!/ \こっち向いて~(📷 💥パシャパシャ)/
イワビーは審査員席から身を乗り出すように食い付き、
プリンセスとコウテイは「いいんじゃないかしら」「うんうん」という感じで話している。
そして頬笑みながら拍手しているジェーンと鼻ちょうちんを膨らませながら居眠りするフルル・・・
\きゃ~!/ \私と散歩して~/
クライマックスに差し掛かった場面で披露された技が元で、場に緊張が走りかけたが、
スナドリネコは最後までミスすることなくやり切ったのだった。
(BGM~)
3人目はVtuberのジェネット。
得意のバイオリンを披露する。
\うま~い/ \すっご~い/\帰ったらすぐチャンネル登録しよーっと/
コウテイ・プリンセス・イワビーが思い思いに聞き惚れる中、
巨匠フルルは一見、けもVの先輩として鷹揚な態度だが、焦りは隠せていないようで、
隣のジェーンが気に掛けている。
下手ではマーゲイがスカウトする気満々で目を輝かせていた。
マーゲイ
「え? あ、はい」
審査員席に呼ばれていたマーゲイが舞台中央に戻ると戸惑い気味にアナウンスする。
「本当なら出場者は以上のはずなんですが、どうしてもフルルさんも参加したいということで・・・
エントリーナンバー4! フルルさんです!」
\審査員が飛び入りってw/ \フルル~! 頑張ってー!/
6⃣(予告BGM)
フルル「マーゲイの泣き真似。 げ~」
「マーじゃねぇのかよ!」
すかさずイワビーが野次る
。
\芸ー1だけに?/\フルルらしい~w/\フルル、結婚してー!/
観客席からもツッコミを入れられる。
コウテイとプリンセスは苦笑い、ジェーンは
「やっぱり気にしてたんですねw」と呆れている。
マーゲイは(°ㅁ°)ポカンとしていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
薄暗い舞台上にはこれまでのパフォーマー(イワビーに羽交い締めにされているフルルを除く)が並んでいた。
マーゲイ
「優勝は・・・」
ドラムロールと共にスポットライトの光がステージで∞の字ダンスを踊る。
「ヨーヨーを披露してくれたスナドリネコさん!」
スポットライトがスナドリネコを照らして止まる。
「やったぜ!」
\こっち向いて~(📷 💥パシャパシャ)/
昇竜拳のように飛び上がって喜ぶスナドリネコと撮影に余念のないサモエド。
マーゲイ
「では優勝者にはダルマ落としをしてもらいます」
スナドリ
「は!? なんで!?」
\こっち向いて~(📷 💥パシャパシャ)/
戸惑うスナドリを無視して、花束贈呈のような流れで渡されるハンマーと撮影に余念のないサモエド。
ステージ中央にはスナドリネコより頭1つは大きいダルマ落とし(ただし最上段のダルマは無い)
が運び込まれる。
\肝心(頭ですけど)のダルマはどうしました?/ \これでは未完成の慣性の法則なのです/
カレーの鳥の華麗(?)なツッコミが炸裂!
マーゲイ
「つい先ほど1度セルリアンになっちゃって。
なんとか『ぱっかーん!』したんですけど、戻ったのがこれだけなんですよぉ…」
自分で手を下しただけにしどろもどろになるマーゲイ。
PPPたちはどうしたらいいかを協議している。
「こけら落としの説明からする?」
「私は覚えてないぞ?」
「時間もかなり押してますし…」
「そもそもどうやって話を落とすんだ?」
一方、何かを思い付いたフルルが観客席の方を向いて手招きしていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このあと見事に着地を決めた雪子とスナドリネコは拍手喝采を浴びた。
マーゲイ
「では、ここからはライブ後半!
1曲目はアラウンドラウンドです!」
こうしてPPPライブ初日は大盛り上がりの中、幕を閉じた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このあとスナドリネコは商品としてジャパリまん(甘王 味)1年分を贈られ、
サモエドとむちゃくちゃ散歩するこになったというが、
それはまた別のお話である・・・
【すぺしゃるさんくす】
セルリアン転生シリーズのツッコミ隊長さん
アルパカ大好きスナドリさん
ついに完成 おめでとうございます🥳
感慨深いものがあります
ダルマリアンとの戦闘シーンを漫画に描く力があればなぁ~😑
雪子の登場シーンは親の気持ちさながらドキドキハラハラしながら読みました
(セリフ噛むんじゃないぞ~ヘマするんじゃないぞ~)
あらためてみるとやはりものすごいボリューム感で圧倒されました
臨場感のある丁寧な描写で読んでいて引き込まれました
雪子を使ってくれてありがとうございます
これからもおもしろい作品楽しみにしてます
読んで頂きありがとうございます
当初はオチにしか出番のなかった雪子ちゃんも
積極的に動いてくれて、存在感を出してくれました
あと書いて行くうちに雪だるま式に分量が増えてしまうのは
僕の悪いクセでして・・・ (^^;)
例のお話に繋がるようなエピローグとなっております
なにっ スナドリが優勝しただと…!?久々のSS制作おつかれさまでした(`・ω・´)ゞ
もしかしたらイヌフレの組織票がPPPを動かしたのかも?
久々の楽しい疲労でしたw
お読み頂きありがとうございました