F畑任三郎
<第三幕>
扉
「カチ… す・・・」
ハシさんが開錠し、ノブを回すと静かに扉を開く。
捜査員たちは素早く部屋の中に滑り込むと武器・防具を構えながら視線をあちこちに走らせる。
ヨシさんとハシさんも捜査員の隙を突いて部屋から出て来る者がいないかを確認してから中に入る。
「どうやら犯人がまだ潜んでいる、ということもなさそうだ…」
ハシさんは物陰や本棚の上まで警戒しながらそう呟いた。
プリンセス
「マーゲイ・・・」
当の本人は血の海に顔を浸けるようにうつぶせで倒れている。
ジェーン
「またですか」
イワビー
「ホント、いいかげんリーダーをリストラされるぞ?」
ヨシさん
「よく見たら顔の周りだけですね。 血は・・・」
フル畑
「・・・」
「フル畑さん」
しゃがみこんで被害者の様子を観察していたフル畑が振り返ると、目の前にシマ泉の顔のドアップが・・・
💥🙆♀️
シマ泉
「アタッ! おでこをフリッパーではたくのはシャレにならな…
死… 死海の水を掛けるのはヤメてください!
やっぱりアオカゲがウマ泉をしてた方がきっとウマくいってたんじゃないのかなぁ…」 ブツブツ…
フル畑
「いきなり後ろに立ったら驚くでしょうが~ ーで、なに~」
シマ泉
「あ、ほら。 見てくださいよ、コレ。 カワイイでしょ」
そう言って差し出したのは真っ赤な和ノ鎧を着たマヌルネコのフィギュア。
フル畑
「キミねぇ、人の私物を勝手に触らない~
すみませんね~ 部下の躾がなってなくてぇ。 ほら、ちゃんと元の場所に戻しておいて」
ハシさん
「いや、どこに伏せn… 解決のヒントが転がっているか分からない。
気になるモノはどんどん調査してみてくれ」
サイ園寺
「では、このジャパリコインの模様はなんでしょう?」
フィギュアの持っている旗には四角い穴の開いたコインが6枚描かれている。
ヨシさん
「ああ、それは六文銭ですな。 真田家の家紋の・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
インドゾウ
「デカ長!」
ハシさん
「なんだデカいデカ。 デカい声を出して」
インドゾウ
「ここを見て下さい。 ダイイングメッセージが・・・」
インドゾウが指差した先にはマーゲイが描いたと思われる
インドガビアル
「まだ死んでないデスぅ」
インドサイ
「それは死んでいるのか死んでいないのか?
幻惑するは拙僧の十八番ぞ」
ハシさんが倒れたマーゲイを起こすと鼻から血を垂らしていた。
「息はある。 出血は多いが命に別状は無いようだ」
ヨシさん
「目立った外傷もありませんねぇ」
インドホシガメ
「どうしてホシ型じゃないんでしょう? 魔除けが目的なら六芒星のシャトコナを描けばよろしかったのに」
捜査員たちは被害者そっちのけで血文字の解読に血道を上げていた。
インドガビアル
「私も思い付きを言ってみてもいいでしょうか?
一介の捜査員には推理を披露する資格なんてないかもしれませんが」
ヨシさん
「いや、折角なので聞かせてください」
インドガビアル
「五角→互角→ウシのフレンズが犯人であることを伝えたかったのでは?と。
マーゲイさんを巡る三角関係のもつれから・・・
ってウシのフレンズなんて登場してませんでしたね。 すいません」
ヨシさん
「いえいえ、謝ることはありません。
五角形の意味をダジャレで・・・意外に良いアングルのアプローチかもしれませんよ?」
イワビー
「兎に角ダジャレをぶっこむスタイル。 さすがイルイルさんだぜ。
それに乗る刑事デカのヨシさんもかっけー!」
プリンセス
「ついにイワビーまでダジャレをかぶせてきた!?」
サイ園寺
「フル畑さん、コレ・・・」
LB
「ツー ツー ツー」
チェストの上には通話を終了していないボスネットの端末が置いてあった。
誰かとリモート通話をしていたようだ。
LB
「発信先にリダイヤルしますカ?」
フル畑
「お願いします~」
LB
「TRRR TRRR カチャ…」
インドオオカミ
「はい、なんでしょう?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
インカ
「あ、タイリクお姉さま♡ お久しぶりです」
タイリクシスターズの一員だけあって他の面々の存在は視界に入ってないらしい。
フル畑
「インカさん、少しお話を聞かせていただいてよろしいでしょうか?」
インカ
「今はとても気分が良いので。 何でもお聞きください」
フル畑
「マーゲイさんとはどんなお話を?」
インカ
「話?・・・はしていません。
映画のオーディションとしてダンスをお見せしただけです」
フル畑
「マーゲイさんは当初どんな様子でしたか?」
インカ
「普通…だったと思いますけど・・・
言われてみれば、慌ててたのか少し息が荒い気はしたかしら?」
シマ泉
「ちょ… フル畑さん、まさかインカさんを疑ってるんですか?
彼女がそんなことするわけないじゃないですか!」
フル畑
「シマ泉くん、いくらキミがインカさんのファンだからと言って私情を挟んじゃいけないよ~」
サイ園寺
「ですけど、現場にいないインカさんがどうやって?」
フル畑
「かのシャーロックホームズの言葉にこうあります~
『不可能を消去して、最期に残ったものがいかに奇妙なことであってもそれが真実となる』とね~」
ヨシさん
「私からも1つよろしいですか?
オーディションが終わってからお着替えはされました?」
インカ
「いえ? 汗をかいたのでシャワーは浴びましたが、このままです」
フル畑&ヨシさん
「ありがとうございました」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
部屋が暗転するとヨシさんにだけスポットライトが当たり、語り出す。
「この事件の真相は思ったよりも簡単でした。
代わってフル畑にスポットが当たる。
「んふ~ 原作のコロンボや古畑は初見で真犯人を見抜き、
しつこく付け回してはその言動から証拠を掴んでいくスタイルです~
本作はそのオマージュ作品と謳いながらそういう意味で『らしくない』作風ですが、
それは『犯人など元から居なかった』からです~
種明かしは次回の投稿で。 フル畑任三郎でした」
~to be continued~
なにぃどこに伏線があったんだ!?
教えてヨシさん
次は解決編ですね
ヨシさん
「このSSのタイトルは『F畑任三郎』です。
ーということで後は任せましたよ」
F畑
「はいよ〜」
またツイッターで紹介してもいいですかね
ヨシさん「👌」