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あまりに唐突な質問にカレントは少々困惑したが少し考えて、
カレント「さあね、少なくとも嫌いではない。」
すると彼女は少し微笑み
???「そうですか。それが聞けて満足です」
そう言った。
カレント「それじゃあ俺の質問にも答えて貰おう。あんたが迎えか?」
???「あ、すみません!そうです。私、ミライと言います。元パークガイドで今は調査隊所属です。」
カレント「そうか、よろしく。」
ミライ「よろしくお願いします!」
彼女もまた菜々よりは年上だろうが、カレントより遥かに年下だ。
どうやらこのパークの職員は比較的若い年齢の人間が多いらしい。
ミライ「それにしても災難でしたね、船内でセルリアンに襲われるなんて...」
カレント「まさかパークに入る前にお目にかかるとは思ってなかったな。」
ミライは苦笑すると、突然思い出したように
ミライ「そうだ!船内でピンクの髪の女の子を見かけませんでしたか?」
そう問いかけてきた。あの船内で桃髪の女性と言えば心当たりは一人だ。
カレント「菜々のことか?」
ミライ「そうです!ひょっとしてお知り合いですか?」
カレント「まあそんなところだ。」
ミライ「彼女は私の後輩なんですよ!少し前にパークを出たんですが、今回戻って来てくれたんです。」
カレント「ほう、彼女の先輩か。」
ミライ「はい!」
カレント「ん?そういえば、彼女はなぜ一度パークを出たんだ?」
するとミライは少し複雑な顔をした。
ミライ「実は、彼女の担当していたフレンズさんが数年前、元の動物に戻ってしまって...」
カレント「元の動物に?」
ミライ「はい、フレンズさん達のフレンズ化は、長くて十数年なんです...」
以外だった。一度アニマルガールになれば、人間と同じ位の寿命があると思っていたが。
カレント「なるほど、そのショックで...」
ミライ「はい...」
動物園の飼育員も自分の担当していた動物が死ぬと、かなり精神的ダメージを受けると言う。
それが自分とコミュニケーションの取れるアニマルガールなら、もっとキツい。
休職したくなるのも無理はないだろう。俺はそんな感情は何処かに置いてきてしまったが。
ミライ「・・・・少し暗い話になってしまいましたね。さあ、話の続きは車の方で!」
彼女が気を取り直してそう言った。
ミライ「車は外に止めてあります。行きましょう!」
カレント「・・・分かった。」
病院を出て、駐車場に向かう。
ミライ「あ、あの車です。」
そう言ってミライが指差したのは黄色い四区だった。
カレント「ほう、いかにもサファリだな」
ミライは車に乗り込み、エンジンをかける。
カレントは助手席に乗り込んだ。
ミライ「さあ、出しますよ。」
ミライは大きな車体を上手く切り返し、駐車場を出る。
なかなかのドライビングテクニックの持ち主らしい。
開けられた窓からは涼しい夜風が入ってくる。
さて、そろそろ”裏の任務”も少しづつ始めないといけない。
カレント「聞いておきたいんだが...」
ミライ「何でしょう?」
カレント「アニマルガールとは”ヒト”なのか?それとも”動物”なのか?」
その質問にミライは少し考えて、
ミライ「そうですね...厳密に言うと”ヒト”に近いです。」
カレント「そうなのか?」
ミライ「はい。彼女達の体は、ヒトとなんらかわりありません。」
カレント「写真で見ると耳や尻尾がある様だったが?」
ミライ「あれは”けものプラズム”です。」
カレント「けものプラズム?」
ミライ「はい、フレンズさん達にはサンドスターよって人間化した体に”けものプラズム”と言われる未知の物質によって形成される耳や尻尾が付いているんです。」
カレント「ふむ...」
ミライ「加えて、まだ謎が多い”けものプラズム”ですが、一つ分かっている事があります。」
カレント「なんだ?」
ミライ「けものプラズムは、サンドスターと強い”意思”の力で形を自由に変えられるという事です。」
カレント「”意思”の力で...?」
ミライ「はい、フレンズさん達も"自分はヒトと変わらない"と強く意識すれば、耳と尻尾を消すことが出来るんですよ」
カレント「つまり、彼女達は”ヒト”なのか?」
ミライ「さらに厳密に言うと”ヒト”とはまた少し違うのですが...基本は動物の特徴を持った”ヒト”と考えて貰って大丈夫です」
ミライ「まあ、つまり....フレンズさんはフレンズさんですよ!」
カレント「・・・・・」
少しはぐらかされた感があるが、それでもかなりの収穫だ。
それにしても、”意思”の力で自由に形を変える物質...
外に情報が漏れれば一大事だ。
そんな物質の存在が明るみに出れば、このパークは世界中に狙われることになる。
良心の呵責と言うやつだろうか。カレントはこの物質の事を報告すべきか、悩んでいた。
カレント「ところで、どこに向かってるのかまだ聞いてなかったな。」
ミライ「あ!そうでしたね!」
ミライがすっとんきょうな声を上げる。
ミライ「いま向かっているのは、管理センターです。」
カレント「管理センターね..」
ミライ「そこで、あなたのお仕事の内容等の説明をさせて頂きます。」
カレント「なるほど。わかった。」
どうやらいよいよ、ここでの仕事が始まるらしい。
カレントは、管理センターへの到着を待ちながら、流れ行く開発中の町並みをボンヤリと眺めていた。
To Be Continued