ikapan
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2018/04/20 (金) 18:55:51
本文14
カレント達は外に飛び出して辺りを見回すが、男は既に人混みの中に紛れてしまっていた。
カレント「くそ!どこに行った!?」
フェネックは目を瞑り意識を集中させた。
フェネック「たぶんあっちに行ったはずだよ」
フェネックが左を指さした。
トワ「分かるの!?」
フェネック「耳は良い方だからねー。足音の聞き分けぐらいなら出来るよー」
カレント「マズイぞ...あっちは高速道路の乗り場がある方向だ!」
トワ「でも、この人混みじゃ追い掛けようが...」
カレント「いや。あるね。とっておきの近道が」
カレントはウエストバッグからフック付きのロープを取り出した。
トワ「何を...?」
カレントはカウボーイの様にロープをクルクルと回して屋根に狙いを定めた。
カレント「ッ!」
放たれたロープは屋根にカチリ固定される。カレントはそのまま壁をよじ登った。フェネックもそれに続く。
トワ「あいかわらず無茶苦茶する人だあなたは!!」
カレント「トワ!お前は高速乗り場にバスを待機させておけ!」
トワ「わ、分かりました!」
カレントに言われるがままトワは駐車場に向かって走り出す。
フェネック「お!いたいたー」
フェネックが指差す方向を見ると、人混みの間を縫って逃げる黒服の男が見えた。
カレントがニヤリと笑う。
カレント「さあ、追いかけっこと行こうぜ...!」
カレントは助走をつけて隣の建物に飛び移った。パルクールだ。
この辺りの建物は外観や高さが地中海風建築で統一されているので屋根から屋根への移動が比較的簡単だ。
カレント「来れるか?」
フェネック「勿論!」
フェネックもこちらに飛び移った。
カレント「あいにく俺は君ほど耳が良くなくてね。悪いが先導を頼む」
フェネック「はいよー!」
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