本文12
しばしの沈黙があった。カレント達は静かに彼女が口を開くのを待った。
???「残念だけど、少し違うかなー?」
彼女は一言緊張感の無い声でそう言った。その声にトワが反応した。
トワ「その声は....フェネック?」
フェネック「久しぶりだねー。トワ」
どうやらトワの知り合いだったようだ。
カレント「あ、あれぇ...?」
カレントの手からスルリとサンドウィッチが抜け落ちた。
見事に推理を外したカレントをトワがフォローする。
トワ「で、でもカレントさんの推理はかなりいい線行ってましたよ。彼女はアライさんの相棒なんです。」
カレント「へ、へー...そうなの...」
カレントは力なく笑う。
トワ「ところで、どうして正体を隠して一人でこんな所へ...?」
フェネック「それには少し事情があってね...」
フェネックの雰囲気が変わったのが顔が見えなくても分かった。
トワ「・・・・?」
フェネック「どうやら、お客さんみたいだねー?」
カレント「そのようだ....」
先ほどまで落ち込んでいたカレントもいつの間にか目つきが変わっている。
トワ「ふたりとも、いったい何を言って....?」
ドアチャイムが鳴ってスーツの男が五人入ってきた。全員がっしりとした体つきだ。
フェネックはコートのフードを深く被り直してうつむいた。
カレント「団体さんのお出ましだ....」
カレントはタバコをくわえて、zippoの蓋を弾いて開けた。
店員「いらっしゃい。空いてるお席へどうぞ。」
店員がそう言ったが、男達は真っ直ぐ満席のカウンターに向かってくる。
トワ「なんなんですかね..?あの人たち?」
カレント「黙ってろ....」
男達の方を見るトワの顔をつかんで前を向かせた。
トワ「ちょ、カレントさん!?痛い!」
男達はカレントの後ろで止まった。カレントの肩をがっしりと掴み、声をかける。
男1「すみませんちょっとお尋ねしたいんですが...」
To be continued