本文8
しばらく走り、目的の港町に着いた。敷き詰められた石畳と辺り一帯に広がる白い壁の民家はまるで地中海のようだった。
カレント「さて...無事到着したのはいいが随分入り組んだ町だな。」
トワ「バスでは到底無理ですね。観光がてら歩きましょう。」
今日の本来の目的は観光だったはずだがカレント達はそんな事はとっくに忘れていた。
バスを駐車場に停め、町中に入った。町は意外にもヒトが多い。
カレント「どういうことだ?一般人は居ないはずだが?」
トワ「パーク関係者やその家族の方ですね。このパークは結構人口が多いんです。」
カレント「へぇ...」
トワ「ところで、目撃現場に来たのは良いんですがどうするつもりです?」
カレント「とりあえずは聞き込みだな。」
辺りを見回していてカレントは気付いた。裏路地から黒いスーツの男がずっとこちらをうかがっている。
トワ「それなら人が多い所が良さそうですね.....確かこの辺りに広場が...聞いてます?」
カレントの目線は明らかにトワではない場所を見ていた。
カレント「ん?あ、あぁ。すまない....」
トワ「どうかしましたか?」
トワに言われてカレントは我に帰る。
カレント「いや...すまない。ちょっとトイレに行ってくる」
トワ「あ、そうですか。分かりました..」
腑に落ちない様子のトワを残してカレントは裏路地に向かった。
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男はとある命令を受けてある人物の動向を探っていた。
裏路地からターゲットの様子をうかがいつつ、ポケットを漁りタバコを取り出す。
男「おかしい....ジャック・カレントの姿が見当たらない....」
後ろから腕がのびてきて、口にくわえたタバコに誰かが火を点けた。
驚いて振り向いた瞬間、眉間に銃口が当てられた。
???「アイスフレッシュか....少々女々しいがなかなか良いタバコを吸ってるな。」
男「貴様...ジャック・カレント!!」
カレント「おっと動くな。ここで騒ぎを起こすのはお互いマイナスでしかない。だろ?」
男「・・・・」
男は黙って手を上げた。
カレント「メン・イン・ブラックがここで何をしてる?何故俺たちを付け狙う?」
男「・・・・・・」
カレント「答えられないか?」
男「・・・・・」
カレント「答えたくないなら答えなくてもいいが、俺この前のエリア51での件をうっかり口を滑らしちゃうかもなぁ~??」
男「わ、わかった...答えるよ...」
カレント「それが利口だ..」
男「俺の任務はあんた達が真実に辿り着くのを阻止することだ...」
カレント「真実...?なんの?」
男「この前の連絡船での一件だ...」
カレント「あの一件にはお前達が関与していたのか....?」
男「・・・・・・」
カレント「答えろ...!」
カレントがそう言った時、男がポケットからカメラのフラッシュのような物を取り出した。
カレント「マズイッ!」
すかさずカレントは男の手を蹴り上げた。うめき声が上がり、フラッシュが宙を舞った。
落ちてきたフラッシュを素早くキャッチして腕で自分の目をガードしつつ男に浴びせる。
男「しまっ...!」
男の体から力が抜け、崩れ落ちた。
カレント「そこでオネンネしてるんだな...」
裏路地から出ようとすると気絶した男の無線機が鳴り出した。
カレント「脅かせやがって...」
男の懐を漁って無線に出た。
???『ザザ....こちらNo.090177だ...聞こえるか...ザ..』
カレント「...聞こえる..」
正体がバレないように声を絞って答えた。
???『ザザ...そち..らの様子は..どうだ?』
カレント「...今のところ奴らが真実に迫るような事はない。」
???『ようじ...しろ..ジャック・カレ..トは相当な..手練れ..だ..この計画..に勘づかれる..ことは..あっては..ならない..」
カレント「...了解」
無線は間もなく切れた。
カレントは男のポケットからタバコを取りだして火を点けた。薄暗い路地裏でカレントの顔がボンヤリとてらされる。
肺がゆっくりと煙で満たされていく。それを吐き出した。
カレント「計画ね...」
世界の真実を隠す為、または知った者を消し去る為に世界中を飛び回っている彼らがこのパークで何をしているのだろうか。
そして、何故連絡船の事件とは別件の捜査をしていたカレント達の動向を探っていたのだろうか。
カレント「どうやらこの一件、一筋縄ではいかなそうだ...」
ニヤリと笑うカレントの頬を汗がつたい、地面へ落ちた。
~第二章オープニング~
けもフレ要素はいずこに…面白いからいっか!!
良くないですね。はい(笑)
ちゃんと軌道修正しますのでご安心を...