ヘビ貿易の掲示板

SS・短編置き場

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ヘビ貿易やヘビの命など、MIDORIKAWA作品のSSや短編を置いておく場所です。ほぼ自分しか利用しない気もしますが、新しく何かを執筆した際は遠慮なく投稿してください。また、閲覧者の皆さんも見返したくなったらここをどうぞ。

最、どう最近?
作成: 2022/06/20 (月) 21:00:01
最終更新: 2022/07/26 (火) 01:39:55
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1
最、どう最近? 2022/06/20 (月) 21:17:12

記念すべき初代短編です

そこは、何人かの商人が小さな店を構える石造りの空間だった。
時を超え、幾多の土地を超えて一か月半。竜巻が吹き荒れる大砂漠を超え、荒くれ者たちをなぎ倒し、未知の文明の遺物に思いを巡らせてようやくたどり着いた、旅の終着点ーーー
いや、正確には旅はここで終わりではない。幾度もこの長旅を経験し、幾度も終わりを迎えたこの身はしっかりと覚えている。
今までに見たこともない強敵、大量の財宝、そして罠。今までの旅路の、努力のすべてをぶつけて初めて制覇できる「巨塔」での死闘。そして、その過酷な試練を通過した先に待ち構える「挑戦の間」の存在。
しかし、今から向かうのはその巨塔ではなく「別荘」。先に別荘に行くことで、様々な恩恵を受けることができることも知っているからだ。

魔法陣を用いて別荘へと転移し、まずは室内へと入っていく。
大量に抱えた紙切れや鉄くずを謎の機械に入れると、妙な色をした鉱石が出てくる。いつ見ても不思議で仕方がないが、活用できるものは有効に使うのが筋というものだ。
余りものを価値あるものに変えた後、進むのは透明な足場に結界が張り巡らされた謎の空間。ここからさらに魔法陣を踏むことで、別荘から巨塔への転移ができる。
工具の数も...申し分ない。薬や飲み物は...十分すぎる。あとは、己の腕力と知力(と、前世の知識)をフル活用して塔を制覇するだけだ。
早速最初の結界に体を寄せて、解除を
「この結界は
 初期ステータス(赤門から)スタートした場合のみ
 解除されます                 」
 

FIN

2
最、どう最近? 2022/06/20 (月) 21:20:01

地下 武器倉庫 偵察部隊怪文書
偵察部隊「やっと会えたねヘビくん。私ずっと君のこと待ってたんだよ?ヘビくんもそうだよね?だって外でいろんな本読んで必死にシャッター開けようとしてくれてたもんね。
あらら、驚いた顔しちゃって。そんなヘビくんも好き。え?なんで外のことが分かったかって?私偵察部隊だよ?私ヘビくんのこと何でも知ってるから。ここからず~~っと見てたんだよ?
家を出てラクダに乗るところも、よくわからない人からゴツいドリルをもらってたことも、遺跡みたいなところを荒らしてたところも、A4の紙を読んでたら急にガタイがよくなって扉をなぎ倒してたところも、
銀行の裏口から勝手に入ってお金を全部奪った挙句警察に賄賂を渡して鉄パイプみたいなのを受け取ってたところも、水が全部抜かれたオアシスを見て怒りでのたうち回ってたところも、
おじいさんに巧みな話術で化石を騙し売りしてたところも、人の家の井戸を勝手に使ってたところも、ムキムキの体で犬や猫、コヨーテをいじめてたところも、人がせっかく買った4Dプリンターを勝手に使ってたところも、
トイレでどう見ても大便みたいな見た目のカレーをタッパーに詰めてたところも全部。ヘビくんのこと全部知りたかったから。でも、やっと会えたんだもん。私のいない過去のことより、これからのことを考えよ?
なんでそわそわしてるの?逃がさないよ。もう二度と、絶対に放さない。ずっと私のそばにいて。ずっと私を見てて。私もヘビくんのことずっと見ててあげるから。...ねぇなんで?なんで私だけのものになってくれないの?
私のこと嫌い?そんなわけないよね?もし嫌いなんて言ったら刺すから。...もう刺しちゃおっか?そうすればヘビくんも私だけを愛してくれるよね?ヘビくんが悪いんだよ。私はこんなに君のこと想ってるのに、大好きなのに、そんな態度をとるから。
仕方ないよね?だってヘビくんはこんな純粋な気持ちを踏みにじろうとしてるんだもん。だから、おとなしくしてて?痛いのは一瞬だけだから。終わったら、おうちに帰っていっぱい愛してあげる。今までの幸せなこともつらいことも全部忘れちゃうくらい、私と一緒にいよ。
...うん。私も大好きだよ。」

3
最、どう最近? 2022/06/20 (月) 21:20:31

換金部屋 BLACK Doctor視点 怪文書

「あ、やっと堕ちてきたぁ♪借金まみれのおまぬけさん一名ごあんな~い♪
んふふ、早速だけどさぁ、君お金に困ってるんだよねぇ?そんな借金抱えてるってことはそういうことだもんね?なら、私がお金恵んであげよっかぁ?んふふふ♪
でもぉ、もちろん対価はいただくよ?まぁ、君には支払える財産なんて何もないだろうしぃ、体で払ってもらおうかなぁ~♡見た感じ、ヘビなのに結構体しっかりしてるもんねぇ♪
ん~~...何から始めちゃおうかなぁ~♪やっぱりまずは皮からかなぁ?ぐへ、ぐへへへ...♡
言っておくけどぉ、極悪債務者の君に拒否権なんてないからね。諦めて私に身を任せてめちゃくちゃにされるしかないんだよ♡わかった?そしたらお注射打ってあげるからじっとしててねぇ...♪」

4
最、どう最近? 2022/06/20 (月) 21:21:15

デモンズパレス サッキュバス 怪文書(はちみつさんからのリクエスト)

さらなる宝を求めて地下へと潜る。すると、地上近くのダンジョンで見かけるようなスライムと蝙蝠のような魔物が。とっさに身構えるが、どれもこちらを気にかけている様子はない。
いまさらスライムから水を手に入れる必要もないので、ゆらゆらと浮かぶ黒い魔物にゆっくりと這いより......

小部屋から出ると、一本の通路のような光景が。均一に並んだ床の模様と先ほどの部屋から察するに、魔族の住居か何かだろうか?
先ほどの部屋はスライムの部屋。となると、他の部屋にはもっと強い魔物やお宝があるかもしれない!早速通路を進んでいくと、案の定先ほどの蝙蝠と入口のようなものが複数あった。扉などはないから中は丸見えで”他人の家をのぞき見している”という紛れもない事実に少し罪悪感を覚えるが、相手は魔族だ。それにこの砂漠は「アウトロー」らしいし、今更考えることでもないだろう。
そんなことを思いながら部屋をのぞいていくと、一つ気になる部屋があった。今までは何というか「食べて寝れるだけ」というような部屋や「ヤバい魔法に憑りつかれてます」オーラ全開の部屋ばかりだったのに対し、そこは部屋として非常に豪華な雰囲気を持っていた。ふかふかのベッドにガラスの机、観葉植物に女性が化粧に使うような鏡。しかし、それ以上に気になったのは中に住んでいる魔族だった。
人型のそれは上品な黒色の翼と鮮血のように赤い角を生やしている。露出の多い服により強調される体のラインは、成熟しきった人間の女性を彷彿とさせた。隙間から一目見ただけでも妖しい魅力がこちらまで伝わってきて、まるで誘われるように一歩、また一歩と踏み込んでしまう。やがてこちらに気づいた彼女はこちらと目を合わせると、「こっちに来て」と言わんばかりにいたずらっ子のような微笑みを見せた。そのしぐさ、表情一つに心を完全に奪われてしまう。過酷だった旅に、一輪の花が咲いたような気がした。
すると、部屋の前に立ちふさがっていた魔物は道を譲るかのように高度を上げた。彼女が「許可」したから?彼女が自分を部屋に入れていいと思ったから道が開いた、と自分は考え---
甘い。
これまで体験したすべての香り、味、感覚よりも甘い空気が広がってくる。しかしそれにくどさや不快感などは全くなく、ただただ甘く柔らかい空気が体を包み込んでいく。何か危険なものを感じたが、その理性が役割を果たせる段階はとうに過ぎていた。
既に”魅了”は完了していた。魔族に心を奪われてしまったという恐怖と、これから何をされてしまうのだろうという期待が入り混じる。が、そんな思考も甘いもやがかかったように消えていってしまう。
気が付くと自分は部屋に完全に足を踏み入れてしまっていた。今もなお微笑みを浮かべたままの彼女はゆっくりとこちらに近づいてくる。歩く動作の一つとっても美しく、非常に妖艶で、瞬きも忘れてその姿に見入ってしまう。
やがて彼女は自分と密着するほどの距離にくると、艶っぽい吐息混じりの声でこう言った。
「ほしいの」
鼓動が早く、強くなるのを感じる。たった四文字だけの誘惑は、自分を狂わせるには十分だった。ほしいってなんだ?何が欲しい?金か美しい鉱石か、芸術品か...
体?
改めて部屋を見渡してみれば、豪華なベッドや紅いじゅうたんに彼女の服装、それはまるで娼館のようにも見える。この甘く優しいにおいも、吐息混じりにつぶやかれた言葉も、すべて自分を昂らせるための物だったとしたら...?
「ちょうだい ぜんぶ」
先ほどより強く、鮮明な、けれども上品で静かなその声は、脈動と思考をさらに加速させる。体を預ける?魔物に?いや...そんなことをしたらただで済むとは思えない。おそらくここは住居なのだ。たとえ自分から奪うものすべてを奪ったとしても、逃がしてはくれないだろう。そうなったら、あとは搾取され飼い殺されるだけ。生かさず殺さずの状態で死を待ち続ける哀れな生き様、そんなのは絶対にいやだ。
しかし、この場をどうやって切り抜ける?自分はすでに魅了されてしまっている。体が欲しいと言われて紅潮しているのが何よりの証拠だ。自分はこの魔族---というより、一人の女性に心を奪われている。
そんな状態で彼女からの誘いを断ることが、どうしてもできなかった。この先の行為を、関係を、期待してしまう。想像してしまう。この本能をどうにかして止めなければ、頭では分かっているのに、体を捧げたいという気持ちは膨らんでいくばかり。彼女は欲しがっている。あげなくては、何か彼女の欲求を満たせるものを...!
その瞬間、理性が本能に打ち克った。いや、言い訳を見つけたというほうが正しいかもしれない。
自分が差し出したのは、ふわふわのぬいぐるみ。地上にいるときに作ってきた、かわいらしい動物のぬいぐるみだ。これで彼女の欲を満たせるだろうか?そうであってほしい、神頼みのような部分も正直あった。

すると、彼女は予想外の反応を見せる。先ほどまで自分が見惚れていた艶麗なしぐさや雰囲気は消え、代わりに少女のような目でぬいぐるみを見つめている可憐な女の子が目の前にいた。
ぬいぐるみを強く抱きしめた後、彼女はこちらを振り向くと、まっすぐな瞳でこちらを見つめ、純真な笑顔を送ってきた。そしてか弱い吐息混じりの声で、こう言った。
「ありがとう」
簡潔に言うと、自分はそのしぐさに射抜かれた。先ほどの情欲を掻き立てるような魅力とは別種の魔力のようなもので、心から”魅了”されてしまったのだ。
一瞬で心を奪われてしまうほどの妖しい魅力、巧みに心を弄ぶテクニック、そしてそれらとは全く違った純粋な少女のような一面。そのすべてが、ここまで生きてきた何よりも大事で、尊いものに思えた。
そんな愛すべき彼女に、これから永遠に尽くしていこうという気持ちが、心の中に芽生えた。それは強く根を張り、こうやって彼女を見ている今もふくらみ続けていた。

5
最、どう最近? 2022/06/20 (月) 21:21:36

オートファイター 蛇の目リトさんのアイデア 裏世界(裏社会?)のマッチョが恋愛してたと思ったらただの便利屋として扱われてただけの話

「おうおうおうおう!ここをただで通らせるわけにはいかねぇなぁ!?」
この決まり文句も、ヘビくん相手に何回言ったっけ?とにかく、回数も覚えてないくらいにこのヘビくんと会ったことがある。そこが重要だ。今では俺を見つけるとすぐに近づいてきてくれるようになったし、戦うようなぶっそうなことはせずいつも工具を買ってくれる(後払いだけど)。
ただ会いに来てくれること、それだけのことが俺にはすごくうれしかった。両親の顔も知らず、読み書きもろくにできず、目につく人すべてにケンカをふっかける毎日。捨て子としてスラムで生きてきた俺には、人のあたたかさというものを初めて教えてくれた存在だからだ。
「ん、取引か?しゃあねぇなあ、どれが欲しい?」
いつも通りに、商品を見せる。相場500~600円の工具3つで2000円とは、なかなかあくどい商売してるよなぁと自分でも思う。でも、商人が少ないダンジョンではこれくらいが普通だよな!
ヘビくんは、今日はたいまつを選んだ。客が二番目によく買ってくれる商品だ。えーと、「しゃくようしょ」を書き込んで...
「よっし!借りたからにはしっかり返してくれよな!また今度!」
いつも通りに、別れの挨拶。一分にも満たない会話の中で、今まで生きてきた時間で味わったことのないよろこびがあふれてくる。人と話して関わることって、こんなにいいことだったんだ。
ところが、最近は何か違うことを感じるようになった。今まではこの少しの時間で満足できたのに、「まだ行ってほしくない」という気持ちが日に日にふくらんでいる。
昔、とある町の屋外劇場でみた物語を思い出す。”どれい”としてひどい目にあっていた女の子が、お金持ちの男の子と恋に落ちるという物語だ。
今、その劇の男の子を見ているときとおなじ気持ちがする。すてきな人にであって、あこがれて、もっといっしょにいたいと思う。恋ってこういうことなのかな?
でも、今は心にしまっておこう。また明日、ヘビくんと会えなくなるかもしれないから。この気持ちが、もっと大きくなった時に伝えよう。いつも通りが、いつも通りじゃなくなってしまわないように。

「おうおうおうおう!ここをただで通らせるわけにはいかねぇなぁ!?」
このマップも、もう何回訪れたっけ?とにかく、回数も覚えてないくらいにこのマップにたどり着いたことがある。それが重要だ。今ではこいつにすぐ話しかけて取引をし、特に時間もかけず簡単にアイテム回収・地下ダンジョンへ行けるようになった(そこまでおいしいマップではないけど)。
ただ地下に行けること、それだけのことがこの旅にはすごく喜ばしいことだった。地上マップを早々に捨てて、工具もろくに持っておらず、常に効率を求めて地下をさまよう毎日。転生できるヘビとしてこの砂漠で生きてきた身としては、地下ダンジョンはもっとも稼げるマップと知っているからだ。
「ん、取引か?しゃあねぇなあ、どれが欲しい?」
いつも通りに、商品を見る。相場500~600円の工具3つで2000円とは、なかなかあくどい商売してるなぁと思う。しかし、商人が少ないダンジョンではこれくらい我慢していなくては貿易は続けられない。
燃料や木材もあまり持っておらず、バールも複数個持っているのでたいまつを選んだ。二番目によく買う商品だ。借用書を受け取り、流れ作業でサインする。
「よっし!借りたからにはしっかり返してくれよな!また今度!」
いつも通りに、旅は進んでいく。この長い命の中で、今まで歩んできた道よりも効率的な方法を編み出した。裏取引して腕力を上げて地下に潜るなんて、以前では考えもしなかったな。
ところが、最近は何か違うことを感じるようになった。今まではこの普通の貿易だけで満足できたのに、「何かが足りない」という気持ちが日に日に膨らんでいる。
昔、雲の上で建設した建物を思い出す。端のほうに建てられた、墓地のような建物だ。
今、この生活にマンネリ感を感じている。刺激的なことに出会って、苦戦して、もっと自分を高めたいと思う。成長ってこういうことなのかな?
でも、今は挑戦はやめておこう。資材や鉱石だってそろってないし、まだすべての鉱石を手にしたわけじゃないから。この貿易の果てに、もっと大きな目標を達成したときに挑戦しよう。結界解除が楽じゃなくなってしまわないように。

6
最、どう最近? 2022/06/20 (月) 21:22:25

行列のできるオアシス→砂漠の図書館 魔導士視点の真面目な短編

「ぐすっ、ぐすっ」
少女の泣き声が聞こえる。鉄柵に囲われたオアシスの外で、肩を震わせるみすぼらしい少女がいた。
「どうしたんだい?」
「あれ...私の...ぐすん」
彼女は鉄柵の内側を指さした。その先には、ポーチのようなものがあった。何枚かの銀貨が顔を出し、砂漠の強い日差しに照らされて輝いている。
一人の魔導士...いや、人間として、目の前で泣いている少女を放っておくことなどできなかった。まずは彼女を安心させるため、強く抱きしめる。
「大丈夫。僕が必ず取ってきてあげるからね」
さて、とは言ったもののどうしようか。彼女が自分で財布を取りにいかなかった理由が改めて理解できた。
砂漠において、水というのは何よりも貴重なものだ。そんなところにオアシスがあれば、当然人は殺到し、瞬く間に行列ができてこうなる。
「すみません、そこにある財布はあの少女の物なんです。少し通してもらえますか?」
「そんなこと言って俺の水を奪う気だろう!ちゃんと並べ!」
まぁ、当たり前の対応だ。自分だってそう言うだろう。正攻法では取り戻せないことは、最初からうすうす分かっていた。
「あの、ごめんなさい...私のドジで、迷惑かけて...」
「気にしないで。ポーチと一緒に君の笑顔も取り戻してみせるよ」
(仕方ない...女の子のためだもんな)
自分が旅に出た目的は、まだ見ぬ魔導書を読むことができる”砂漠の図書館”へとたどり着くこと。これまでの道で食料や水はかなり減ってしまい、正直余裕はあまりない。それに、質の高い魔導書を読むには多くの魔力が必要だ。でも、この行動が一人の貧しい少女を救うなら...!
「エラガイアム!」
鉄柵の向こうで、砂が震える。やがてそれらは舞い上がり、ポーチを乗せて僕の手元へと降り注いだ。
「はい、もう落としちゃダメだよ」
「......!」
少女の顔が明るく輝いた。頬に流れた雫を指先で拭い、満面の笑みでこう言った。
「まるで魔法みたいだった!お兄さん、ありがとう!」

7
行数ではじかれたので続き 2022/06/20 (月) 21:22:56 >> 6

”魔法みたい”。
魔法についてまったく知らない人間には奇跡的とも思える現象を、彼女はそう称した。
「あの人は女神みたいだ」とか「これは僕の宝物だ」とか、物事をポジティブに例えるときには”例えられる側のもの”は”価値あるもの”だという前提がある。
だから、何もないところから風が巻き起こりポーチを持ってくるという奇跡を例える魔法は価値あるものだという話。
それを知っているから僕は学ぶのだ。
魔法のような奇跡を、感動を、みんなに与えるために。何より、僕自身がそれを体験したかったから。
というわけで、ようやくたどり着いた砂漠の図書館で、手頃な本を手に取った。
タイトルは「獣には牙が与えられた 人間には魔法が与えられた」。
内容は魔法の使い方というより、この世界における魔法の変遷といった感じだった。
最初に自分が求めていたものではないとはいえ、こういった歴史書も力にはなる。魔法とは不思議なもので、同じ効果でも時代によって呪文の形態が違ったりするのだ。同じ魔法でも、違った視点から見れば新しい発見があったというのはよくある話だ。

三分の一ほど読み進めたころ、異変は訪れた。
鳴き声が聞こえる。いや、人間の声ではあるのだが、まるで理性のない獣のような叫びが聞こえたのだ。
「あ”っ」
断末魔のような叫びが、唐突に終わる。確実に”何かに襲われている”。貸出記録を読んでいたページに挟み、息を殺して本棚から離れる。
「ひっ!」
また聞こえた。今度はさっきよりも近い。この棚の向かいだろうか?ということは、次に同じ目に合うのは...
体が震えだす。この蒸し暑い砂漠で明確に示された死の危険が、体を冷たく凍らせていく。それなのに、脳は冷静さを取り戻せない。嫌な汗、震える体、砂漠の熱、凍える心、すべてが溶け合い混じりあってすべてを狂わせていく。
今この状況でできることは?そもそも敵の正体は?どうやって彼らは殺された?
既に正常な思考が保てる段階は過ぎていた。敵は確実にこちらへと近づいているはずだ。何か、何か生きる手段は...
(牙がある...!)
人間には魔法という牙が与えられたのだ。震えは止まった。代わりに勇気が体を包み込んでいる。
本棚の影から、何かが忍び寄ってくる。かましてやるぞ。あの二人の仇を取ってやるさ。使う魔法はもう決まった。僕の精神はこれまでの人生で最高のテンションへと上り詰めている。最高の出力で、最大の痛みを味わってもらうぞ。
目の前に何かが現れたのを皮切りに、相手も確認せずに僕は呪文を唱え始める。強力無比な一撃を、やつに与えてやるんだ。
「オイェディールユフィーム ソーアブリーク!」
叫ぶと同時に、目の前が真っ暗になった。真紅の霧と瘴気が身を包む。初めての召喚魔法が成功した!
「ふっ...ははははは!やったぞ!ざまぁみやがれ!」
殺人鬼を、俺がこの手で葬ることに成功したのだ。思わず気分が舞い上がり、体は空へと舞い上が...る...?
(え?なんで?どういうことだ?)
自分の胴体を触る。触ろうとする。が、ない。あるべきものが、その場所に。
下を見ると、そこには自分が”あった”。生きてはいない。胸のあたりから血が噴き出し、その傷口は腐ったようにドロドロだった。
(俺を殺した奴が、必ず近くにいるはずだ...あの時は顔すら見なかったあいつの顔を、最後に拝んで去っていきたい...)
見渡しても見渡しても、自分と同じような腐った死体しか見当たらない。本棚の裏に隠れて見えなくなっているのか?
(ん?あそこで本を読んでいるのは、まさか!?)
返り血を浴びて真っ赤になった手で、図書館の本を熱心に漁るヘビがいた。
「お前を絶対に許さないッ!地獄でお前を永遠に待ってるからなぁッ!」
聞こえるわけがないのに、俺は大きな声で叫ぼうとした。音にならない音が砂漠の空に消えていく。
奴はひときわ大きな本を手に取ると、こちらを振り返り、光のない目でこちらをじっと見つめていた。

獣には牙が与えられた。人間には魔法が与えられた。
だから狡猾な蛇は猛毒を宿した。
「獣には牙が与えられた 人間には魔法が与えられた」244頁 8、9行目より引用

10

運悪いな。普通裏取引案件なのに

11
最、どう最近? 2022/07/05 (火) 21:00:23 >> 7

(何だこのシナリオ...?普通はここで裏取引するだろ...)
短編ストーリーとして面白さを持たせるためには仕方ないのだろうが、それにしてもこのヘビの行動は非効率的で疑問が尽きない。この文章のどこかに裏取引をしない理由が隠されていたりするのだろうか?
そんなことを考えていると、ふと背後に気配を感じた。少なくとも穏やかなものではない、なにか重苦しく本能的な恐怖を湧き立たせる気配。不用心に振り返ってはならないと直感的に理解し、呼吸を整える。幸い、その気配の主はこちらにまだ何の危害も加えていない。落ち着いて対処法を考えるんだ。バレないように警察に通報する?いや、そんな悠長なことをしている場合ではない。安全に、かつ迅速にこの場を切り抜けるにはどうすればいいってぇぇぇぇ!いきなり何しやがるんだクソが!人んちに勝手には言った挙句いきなり刺すとか人間のやることじゃねぇぞ!おい聞いてんのかお前!シュレッグみたいな肌の色しやがって!いやマジでお前人間か?顔色悪すぎじゃね?話聞こえてる?マジで大丈夫?って話してる最中だろうが遠慮なく切りつけてるんじゃっ

狡猾な蛇はどこまでも残忍だった。

12
最、どう最近? 2022/07/05 (火) 21:01:35 >> 7

は言った→入った
狡猾な蛇は誤字を減らす術を持っていなかった。

8
最、どう最近? 2022/06/20 (月) 21:26:24
9
最、どう最近? 2022/07/03 (日) 23:02:08

オモシロ泡どFさんのアイデア
砂漠の開拓地 開拓録

一章
ここまで、本当に長かった。ついに見つけた理想の土地。新たな歴史が、ここから始まる。俺はここを「ユートピア」と名付け、名前通りの理想郷を作り上げることを決めた。
今はまだ何もない更地だ。岩も残っていて、理想郷どころか一つの建物すら建てられそうもない。だが、必ず完成させてみせる。どんなに時間がかかっても、どれだけの犠牲を払っても。
女神様、どうかこの勇気ある一人のヘビとこの土地の幸運をお祈りください。この広い土地が発展していく様子を、ぜひその慈悲深い目で見届けてください。

二章
開拓の第一歩は、土地を整えることだ。このような荒れ果てた土地に手を加えずに建設を始めるというのは、さすがに無理がある。まずは障害となる岩を取り除き、サラサラの砂だらけの土地を安定させる。食料の安定供給と土地の改良のため、砂漠でも元気に育つ植物を植えることにした。
さらにボーリング調査の結果、ここにはオアシスがあるらしいことも判明した。整地に合わせてこの採掘も開始した。つい先日までただの更地だったここに、新しい風が確かに流れている。
女神様、どうかこの土地の開拓を見守っていてください。この広い土地に新たな「なにか」が芽吹く様子を、ぜひあの高い空から見届けてください。

三章
掘削を進めていたオアシスが無事に見つかった。ちょうどこの土地の真ん中あたりにあることから、これを女神像と並ぶ繁栄の象徴とすることにした。水とは生命の源である。
開拓が進んだ土地には、自然と人が集まった。それは表社会の常であり、同時に裏社会の常であった。人が集まり栄えるのは喜ばしいことだが、治安の悪化には何らかの処置を取らなければいけない。規則の発布や警備の強化が必要だろう。
女神様、どうかこの土地の発展がさらに続くようお力を貸してください。この広い砂漠の一点に人々が「なにか」を築いていく様子を、ぜひその寛大な心とともに見届けてください。

四章
ついに人々をもてなすための施設がひとつ完成した。しっかりとした床と屋根、壁があるということは、この荒れた砂漠の中にただ一つ「文明」そのものを感じさせた。警備を強化したことで以前のようなごろつきはめっきり見なくなったが、マナーの悪い客には困ったものだ。カジノを設置したことが関係しているのだろうか?
外にも小さな工業地区を作った。工業地区といってもいくつかの精錬設備くらいしかないのだが、それでも技術的には以前より高い水準の物を扱えるようになった。工事のための業者や重機は、隣にもう一つ土地を買ってそちらに移動させることにした。
女神様、どうかこの繁栄が永劫の物となるよう神聖なる加護をお授けください。この広い世界に一つの理想郷が創られていく様子を、ぜひ信仰の絶えぬ限り見届けてください。

最終章
傲慢なるヘビは、その身に似合わぬ野望を抱いた。到達不可能な理想郷を夢見て開拓を進め、栄華を極めたそこは現実とは引き離された別世界を創り始めた。やがて新たな物質を生み出し、人々は安寧の夢に溺れ、理想郷はその中にのみ在った。
今や理想は跡形もなく、あるのは怠惰な幻とまどろみのみ。果てなき欲を空想で満たす、虚ろな魂が彷徨うのみ。実に愚かで、嘆かわしい。なんと愚鈍で、無能なことか。
私の力を過信し、妄信し、さらには現世への干渉を求めたやつの理想と貪欲が生み出した世界。せめて私の手で、再び無に帰してやろう。その幸福を奪い去り、無知と輪廻をまた授けよう。夢を見る者がいる限り、深淵に触れる者がいる限り。

13
最、どう最近? 2022/07/21 (木) 13:29:24

砂漠の森で胞子を吸い込んだ砂漠の行商(薬草売り)の体からきのこが生えてきて力尽きるまでを書いてたらもはや一種の官能小説みたいになった短編

一日目
砂漠には何もかもが少ない。水が、食料が、薬が、武器が。しかし、そんな砂漠には危険が溢れるくらいに満ちている。乾燥、飢餓、疫病、危険生物。そんな砂漠に目を付けたのは、その足りないものすべてを補うのに不可欠な商人たちだった。
この物語の主人公となる彼女も、そんな商人の一人だった。オリーブアッシュの髪にハクモクレンを模した髪飾り、暑さを和らげるための黄色の頭巾に断熱服。この危険な砂漠においてはあまりにも無防備と言わざるを得ない軽装だ。それは、彼女がこの砂漠を「暑くて乾いているだけの大地」と甘く見ている何よりの証拠だった。

六日目
その目に映ったのは、砂漠に場違いな樹木だった。
「へえ、こんなところにも木が生えるんだ!」
砂漠の危険を知らず、世間の常識も知らない彼女は、この”森”そのものが罠であるということに気が付いていなかった。
直感的に感じる「乾いた大地に生える樹木」という異質な存在に好奇心を刺激されたのか、彼女は誘われるようにそれが密集している場所に踏み込んでいく。木の周囲は、蒸散による気化熱やそのほかの活動による風の流れなどによって少し温度が下がる。そのため、ここは水こそないがまさに砂漠のオアシスといえる場所だった。
彼女にはそのかすかな涼しささえも極楽に感じられ、見知らぬ土地に警戒するのも忘れて体を投げ出し、意識を手放してしまう。そんな無防備な獲物を睨む、野生の脅威がいるとも知らずにーーー

七日目
「けふっ、けほっけほっ」
「お゛うぇっ...ん゛っ」
砂漠に引かれた国境に、病の証が弱弱しく響く。昨晩から彼女は、このような不規則な咳と嗚咽を繰り返していた。それもそのはず、彼女の体の中には新たなる生命が生まれようとしていたからだ。
原因はやはり、前日の森で無防備に寝てしまったこと。この危険な砂漠において野宿は死と直結する行為だ。今生きていることすらも奇跡と呼ぶほかない。しかし、それでも無傷というわけにはいかなかった。
森という撒き餌で獲物を引き入れ、それを同時に隠れ蓑として利用する魔物。それは湿っぽい木陰に生えているきのこのような見た目だが、比べると桁違いに大きかった。そして何より自分の手足で動くことができた。狡猾な手口を用いて自らの種の存続のために他の生物を捕らえ、植えつけ、生かしながら殺していくその生きざまは、植物というより一種の寄生虫のようだ。
その策にまんまとハマってしまったのが彼女なわけだが、すべては彼女が眠っている間に起きたこと。つまり、自分が見知らぬ生物に胞子を植え付けられているとも知らず、何かを感じているとすればそれは不可解な気管の粉っぽさくらいなのである。
「うーん、砂を吸い込んじゃったかなぁ?げふっ、っげっふ!うぅ......」

八日目
胞子が体内に植えつけられてから三日。呼吸器官にのみ現れていた異変が体中を蝕み始めているのか、彼女は目に見えて体調が悪化していた。
まず、少し体を動かすのもつらいほどの倦怠感。体に鉛を詰め込まれたように重く、その場にまっすぐ立っていることすらままならないほどだった。
そして、それを助長するのは高熱。砂漠の暑さが皮膚を表面から焦がしているのに、体は寒さを感じて震えが止まらない。思考を巡らせることができない。どこか上の空といった様子だ。しかし、彼女は今でも「砂漠の暑さにやられた」くらいにしか思っておらず、自分が異形の魔物の菌床にされているとは夢にも思っていなかった。
「はぁっ......ぇっふ、えっふ」
咳をするたび、喉が痛み、倦怠感は膨れ上がる。体力を失っていっているのは明々白々だ。本来は旅人に売るはずだった薬草を、意を決したというようなーーーしかしそれは彼女の心からの敗北を意味するーーー表情で、口にほおばる。やがて症状は緩和され、歩みを進める。しかし、またすぐにあの倦怠感がやってくる。薬草をほおばる。歩く。倒れる。何度も繰り返し宿屋までついた頃には、薬草は半分以下しか残っていなかった。

14
行数ではじかれたので続き 2022/07/21 (木) 13:30:05 >> 13

九日目
「けぽ」
「けぽぽぽ」
パシャパシャと、黄色い液体を吐き出す。少しの泡を残して、砂に飲み込まれ消えていく。体が焼けるような感覚。喉や歯が痛み、筋肉が痛み...これを朝から幾度となく繰り返していた。しまいには黄色い液体が少し漏れ出てくるだけになっても、吐き気は収まらない。
食事が喉を通らず、水すらも傷ついた口中を刺激する。ただでさえボロボロだった体に栄養も取り込めないという致命的な状況。すべての病状が体を内側から蝕み、壊し、苦しめる。今になってようやく、彼女は何か自分の体に異常が起きていることを悟った。
だからといって、何がこの異変を引き起こしているかもわからないこの状況で彼女にとれる対処など何もなかった。せめて楽な姿勢でいようとするが、その楽な姿勢というのが土台無理な話だった。立って歩くことすら難しい状況で、さらに咳と嘔吐。地を這うように移動すればたちまち砂にこんがり焼かれてしまうし、たとえ日陰があろうとも移動するには必ず日向を通らなければならないのだ。
彼女の目には涙が浮かんでいた。溢れて落ちた涙も、嘔吐物と同じように砂に溶けていく。泣いてもこの地獄は終わらない。水を飲んでも、薬草を食べても、いくら嘔吐しても魔物は獲物を許さない。
「けほっけほっ...っ!?」
それはまさに一瞬の出来事だった。先ほどまで感じていた吐き気に似た別の感覚。体の内側から喉を押し広げる謎の異物感。その正体もわからないまま、意味不明な不快感が広がっていく。彼女が真実を目にするのは、それから二回目の嘔吐を終えた時だった。
黄色い胃液の中に真っ赤な固形の何かが混じっていた。やがて姿を現したそれは、彼女がずっと体の中に潜ませていた魔物の子孫、”きのこ”だった。
「なに、これ...?」
今起きたことを解釈するより早く、あの感覚がやってくる。けぽけぽという情けない音を立てて、何度目かわからない嘔吐を終える。そこにはやはり、真っ赤なきのこが含まれていた。しかも先ほどよりたくさん。
やはり彼女も薬草売りの端くれ、植物の生態くらいは知っていた。朦朧とする意識で何とかつじつまを合わせようと、パフォーマンスの低い頭をフル回転させる。
(私の中にきのこが生えてる...?)
気づいたときにはもう遅い。すでにきのこは体全体へ影響を及ぼし、高度な医療を用いても回復不能なほどに浸食されていた。それを何より分かっていたのは非情にも彼女自身で、絶望を知った目は焦点の合わない状態で虚空を見つめていた。。
恐怖ももう感じない。何もかもが遅かった。もっと早く自分の甘さに気付くことができていたならば、結果は変わっていたかもしれない。そんな意味のない後悔が浮かんでは苦しみでかき消され、わずかに残っていた体力も残さず吸い尽くされる。すべてが暗転し、薄れゆく意識の中、最後に見たものは...

?日目
その目に映ったのは、彼女が想像していたあの世とはまるで違うまぶしい太陽と緑だった。
「私、死んだんだよね?」
頬に手を伸ばす。確かに感触がある。続いて、砂をすくいあげる。さらさらとこぼれ落ちていく感触がはっきりと伝わってくる。
「まだ...生きてる?」
かすかな希望が心の中に芽生えた。肌に感じる暑さも、手のひらに乗った砂も、すべてが現実。まぎれもない事実。ならばまだ生きている、そう考えただけで体に力がみなぎってきた。苦しまされていた倦怠感や熱、吐き気は消え失せていた。
こうして直立し歩いたのは、何日ぶりだろうか?懐かしさのような嬉しさに包まれた彼女は、また無防備な心のまま歩き出し......また絶望する。
目の前にいたのは、きのこのような魔物。自分が嘔吐した者より何倍も大きく、周りには紫の霧のようなものが漂っている。ゆっくりと近づいてくる魔物に防衛本能が働き、一歩、また一歩と後ずさる。
背中にドスン、という感触を感じたのは、そのわずか数秒後だった。後ろには木が生い茂り、間をくぐるのが難しいくらいの壁を作っていた。逃げ道を絶たれ、気力が尽きてしまった彼女は、ついに魔物に肩をつかまれてしまう。
しかし魔物は、彼女を傷つけるようなことはしなかった。困惑しながらも彼女は手を振りこうとするが、肩を掴んだ手は一向に離れない。そこでようやく彼女は気付いた。この紫の霧の正体、そしてあの体調不良の全貌に。
たっぷりとその”霧”を吸い込んでしまったことに気づき、なんとか体から出そうと咳を繰り返す。そんな程度では終わるはずもなく、むしろ咳をした後の荒くなる呼吸でさらに体内に胞子が取り込まれていく。自然と流れ出た涙はきらりと光り、光を失った目をさらに際立たせていた。

16
通りすがりのヘビ 2022/08/06 (土) 21:00:08 >> 14

あ!お化けエリンギだ!食べよ!

15
最、どう最近? 2022/08/02 (火) 22:38:22

辛辣なこと言って追い返してくるメイドカフェの店員

メイド「は~い、お帰りなさいませ、ご主人様♡ご主人様としかトレードしな...うわっ」
ヘビ「どうかしましたか」
メイド「いや『どうかしましたか』じゃないですよ。帰ってください」
ヘビ「なんでですか」
メイド「自分でわからないんですか?まず鏡って見たことありますか?これなんですけど、自分の姿見てどう思いますか?」
ヘビ「きれいな黄緑色だと思います」
メイド「それがダメなんですよ。なんで全裸なんですか?あなたは自分の従者の前で全裸のまま命令するんですか?『メイドさん、オムライスを作ってくださぁい』って。年端のいかない子供でもそれがダメだってことくらいわかるでしょう?
それにあなた無職でしょう?職無し能無し根性無しって感じのにおいがプンプン漂ってきます」
ヘビ「トレーダーという立派な職に就いていますよ!それに僕は根性だって能力だってありますよ、知ったようなこと言わないでください」
メイド「でも服はないですよね?」
ヘビ「そうですね」
メイド「それにトレーダーと言えば聞こえはいいですが、要するに都合のいいわらしべ長者でしょう?どうせなけなしの種銭と拾い物、盗品しかトレードなんてしてないでしょう?
結局は臨時収入得ただけの無職ですよ無職。私はこんな店であなたみたいな...いえ、あなたより”まとも”なお客さんに普段は全く見せないような愛嬌振りまいて安い給料得てるんです。あなたもそれくらい努力してから職に就いてるって言ってください、そして全国の職を持ってる人に謝ってください」
ヘビ「そっそれは違う!トレーダーだって立派な職業で、貿易は僕の人生なんだ。君こそ、全国のトレーダーに謝るべきだよ」
メイド「では、今まであなたがやってきたことすべて振り返ってみましょうか。
1日目、家の近くで水を汲んで周りのモンスターをしばく。
2日目、あたりに何もない砂漠でヘビに水を定価の二倍近い値段で売りつける。
3日目、バール売りのヘビからバールを購入。それから近くの店のレジから金を盗んで少女からたいまつを買い占める。その後金を盗んだレジの持ち主からピッケルを購入し、その店でたいまつを売りさばく。
4日目......これ以上言っても無駄ですね。そして14日目の今日、あなたはここで何をしていますか」
ヘビ「全裸でメイドカフェに入ろうとして今追い返されそうです」
メイド「何のためらいもなく言いましたね。恥ずかしくないんですかあなた」
ヘビ「全く」
メイド「やっぱりあなたトレーダーでも何でもなくただの変質者じゃないですか!店に入れるわけにはいきません、帰ってください。」
ヘビ「いやだ!僕はあなたのオムライスが食べたいんだ!」
警察「わいせつ罪の現行犯で逮捕する」
ヘビ「いつの間にそこに!?なぜですか、僕を見てください、これのどこがわいせつ罪なんですか!」
警察「いやどこからどう見てもわいせつ罪だ。トレードのウィンドウを出して拘束し、わいせつな行為をするつもりだったんだろう」
メイド「そうです、この人いきなり話しかけてきてトレードを持ち掛けてきて、全裸でずっと目の前にいるんです。早く連れていってください」
警察「なるほど。一応事情聴取したいので、あなたも署までご同行願います」
ヘビ「ちょっと待ってください!僕は誓って罪なんて犯してません!僕はこの人に迷惑をかけたりもしていません、店でオムライスを食べようとしただけです!本当です!」
警察「じたばたすんじゃねぇや!」
~~~FIN~~~

17
通りすがりのヘビ 2022/08/06 (土) 21:01:22 >> 15

そのヘビ国宝チャレンジ中だよ!
捕まえたら全ての保安官を皆殺しにさせるよ!

19
通りすがりのヘビ 2022/08/06 (土) 21:12:21 >> 17

Midorikawa「ヘビの命は重いよ!」
メイドに300のダメージ
メイドは倒れた

18
知識初心者 2022/08/06 (土) 21:12:20 >> 15

トレードのウィンドウは拘束用だった…?

20

緑の救世主1

ピッケルが足りない。
洞窟を丸ごと使った酒場で、僕は絶望していた。
狭い道は酒豪たちで閉ざされていた。退いてもらいたいが酒が回った彼らは化石を売ってやったら通してやってもいいぞ、の一点張り。あいにく化石は持っておらず、酒飲みたちを前に成すすべがなかった。ピッケルがあれば洞窟を無理やり突破できそうだが、先程最後の1つを使い切ってしまった。ピッケルを売ってくれるトレーダーがいれば...しかし、それは叶わなかった。

ピッケルとダイナマイトが足りない。ピッケルは沢山用意した方がいいという助言をメトロストリートのヘビから聞いており、ならばと5つも用意していたのに全然足りない。辺り一面の岩。掘っても掘っても岩。とにかく岩しかない。アイテムは底を尽き、大量の岩を前に、文字通り手も足も出なかった。

回復アイテムが足りない。ヤギみたいな見た目のやつに近づいたら見たこともないような恐ろしい猛撃を放った。こんな攻撃を耐えるには大量の薬草が必要だろうが、もう3つしか残っていなかった。悪あがきも虚しく惨敗し、気を失った。ああ、僕、死んじゃうんだな。目の前に白い光の筋が広がっていき、ぼんやりとした声が聞こえてきた。「目覚めなさい...目覚めなさい、ヘビ坊よ...」どこか聞き覚えのある声だった。このまま天国行きなのかな。雲の上でフワフワ浮かんで地上の景色でも眺めるんかな。そう思った時、また声が聞こえた。「目覚めなさい。いつまで寝るつもりだ!?こんな大事な日に寝坊してるんじゃないぞ!」...寝坊?......あ、これ夢か。

やっと目が覚めた。なんか悪夢を見ていたような気がする。

今日は旅立ちの日だ。僕らヘビ商人族は成人(厳密には成蛇)した日にたった1匹で初めての貿易の旅に出るという古くからのしきたりがあるのだ。
「ヘビ坊、さっさと水をくんで来なさい。」
そして今日は僕の成蛇の日だった。貿易の旅といえど、途中で命を落とすことも珍しくない危険なものだ。緊張でよく寝るれなかった日が続いて寝不足気味だ。今日だって貿易の旅で死にそうになる夢を見ていた気がする。今回の冒険は不安しかない。
「はーい...」
そう言ってペットボトルに水を詰め込んだ。
「ごめんね。こんな大事な旅だが、1Gたりとも旅費を出せなくてな。」
うちはすごく貧乏だ。オアシスに恵まれ、国宝級のレア鉱石が2つも存在するこの地は、かつては多くの旅商人や観光客で賑わうと思われていた。うちの両親はこれに目をつけ、一攫千金を夢見てここに移住した。しかし、現実は甘くはなかった。なんと鉱石が2つとも呪われていたのだ。呪いの影響で治安は悪く、無駄にお金を無くすようになって総資産も減っていった。いつしか誰も近寄らず、引越し費用すら持っていないうちだけがここに残って住んでいた。
「しょうがないよ。うちは貧乏だから。」
「地下には危険がいっぱいだ。気をつけなさいね。」
「ありがとう。行ってくるね。」
僕は水と地図を握りしめて、ラクダに飛び乗った。見送る両親はどんどん小さくなって、やがて緑の点となっって消えた。

冒険2日目。とはいいつつも事実上の冒険初日である。クレーター砂漠に到着した。ここにはたくさんの資材や財宝が埋まっていると有名な場所だ。あいにく、スコップは持っていなかったが、運のいいことに誰かがスコップを置きっぱなしにしていたのでそれを使わせていただいた。まあ、僕が使ったせいで壊れてしまったが、内緒にしておこう。スコップでクレーターを掘ってみると、なんと地下水を掘り当てた。もう1カ所掘ってみると今度は石油が出てきた。これはなかなか嬉しい。燃料で暖をとり、もう一仕事しよう(爬虫類だから体温を暖めておかないと仕事ができないのだ)。スコップがないのでしっぽで辛抱強く掘り進めると、わずかではあるが埋蔵金と温泉も掘ることができた。掘り当てた埋葬金で早速近くに居た商人ヘビからバールを購入した。今日は初日にしては十分な収穫だったのではないだろうか。喜びを胸に、ラクダに乗って次の街を目指した。

冒険3日目。たどり着いたのは広大な砂漠にぽつんと立つコンビニだった。コンビニなら人が集まり、情報収集に適しているほか、当然取り引きも行いやすい。なかなかいい場所に当たったようだ。とりあえずコンビニで情報収集すべく、新聞を買おう。
「おじさん、新聞を1部くれ。」
「はいよ。580Gだよ。」
しまった。昨日バールを買ったせいでお金が足りない。どうしたものか、と思った矢先、レジが目に入った。あそこにはお金がたんまりとあるはず。よし。盗もう。
「おじさん、その四角いのはなんだい?」
「ああ、これは電子レンジといってだな。。。」
今だ。店主が目をそらした一瞬の隙に僕はバールでレジをこじ開け、1000G紙幣を3枚ほど盗んだ。
「料理の腕がなくても絶品が作れる優れものだよ。」
「そうなんだ。はい、580Gだよ。」
何事もなかったかのように代金を支払い、新聞を受け取る。なくしたらいけないので、近くに置いてあったコピー機で新聞をコピーした後、早速新聞に目を通した。トップニュースは、地下で発見されたピラミッドと、そこに描かれていた壁画についてだった。壁画には文字も書かれていたそうだが、古代の文字で書かれており、何が書かれているかはまだわからないらしい。壁画の写真が新聞に載っており、それをみて驚いた。なんと、自分そっくりのヘビの絵が大きく描かれていたのだ。古代人は人間型だったともロボット型だったとも聞くが、ヘビ型であったという説は聞いたことがない。しかし、なぜヘビが描かれていたのだろう。気になって仕方なかった。いつか行ってみたい。
新聞を読み終えた僕は、適当に観光客に油を、もとい水を売り、適当にピッケルやたいまつなど、地下の冒険に役立ちそうなアイテムを購入した。そのあとはカエルを数匹捕らえ、店主自慢の電子レンジをこっそりとお借りして絶品パスタを作った。
「おい!うちのレジを壊したやつは誰だぁ!!」
しまった。レジからお金を盗んだのがばれた。すぐにラクダに乗り込んで、逃げるように次の街へ向かった。まあ、実際逃げているのだが。
今日もそれなりに収穫が良かった。今のところ罪を1つ犯したこと以外は冒険は順調だ。

つづく。(次回投稿未定)

21

緑の救世主2

冒険4日目。
昨日までの平和な雰囲気からガラリと変わり、砂漠の無法地帯とも呼べるような場所に来てしまった。ごろつきもうろついているし、それを追っているのか警察官も居る。気をつけなければ。
とりあえず酒場に顔を出すことにした。
「はーい、ヘビの坊や。何を飲む。」
「枝豆をひとつ。」
「......うちの裏メニューを知っているとは驚いたよ。ほれ、枝豆、680Gだよ。」
「どうも」
まわりの客はすっかり酒が回っているようだ。ちょうどいい。少しばかりお酒をいただくこととしよう。
一旦酒場を出て、裏に回ってみるとごろつきに絡まれた。
「おいそこのヘビ野郎。痛い目に遭いたくなければ金をよこしな。」
バールや包丁を持ってこちらに近づいてくる。でもこいつらは金に困っているだけに違いない。
「......借金で困っているんだろう?助けてやるよ。」
「なっ!?...」
「図星か。僕が皆の借金を肩代わりしてやろう。だからその武器を置いて欲しい。」
そういうとごろつきたちは涙を流し、お礼を述べながら持っていた武器やバールを僕に手渡してくれた。借金は抱えてしまったが、人助けはいいものだ。
さて、このまま今日の貿易を終えるには少し物足りない。というわけで、人が集まっている酒場に戻ることにした。戻ったときには、酒場のマスターはどこかに行ってしまった。ちょうどいい。置いてあったお酒と自販機で売っていたものをここで転売してしまおう。
「おいしいビールが冷えてるよ。」
「おう、緑のマスター、あるだけ全部売ってくれ。」
「まいど!」
結構な金になった。やったぜ。臨時収入を前にウハウハしていると、背後から鋭い声がかかった。
「そこの緑色の君。」
しまった。警察に見つかった。
「げげっ!」
「ブラックリストに載っているヘビだな。逮捕だ!」
冒険の序盤にして捕まるわけにはいかない。しょうがない。奥の手を使おう。
「ちょっとおまわりさん、これ欲しくない?」
お酒を転売して手に入れた3000Gを見せびらかした。
「な、何のまねだ!?」
「今見逃してくれればそのバールを高値で買い取っちゃうよ~。」
「......わかった。今回だけは大目に見てやる。」
うまくいった。下っ端の警察は激務でパワハラだらけで安月給だから賄賂が簡単に通ると聞いてはいたが本当だった。定価より少し高い程度の値段で上級のバールを入手できた。これがあれば仮に一回くらい捕まっても何とかなりそうだ。
警察が去って一件落着。......よく考えてみると、店主はいない、警察も居ない、客は酒におぼれている......。今ならレジを開け放題じゃないか!
というわけでバールでレジを堂々とこじ開け、賄賂に使った分だけ金を盗んだ。
今日もだいぶ潤った。......順調に罪と借金を重ねてはいるがそれ以上に稼いでいるので問題ないだろう。さて次の街を目指してラクダに乗ろう。そう思ったとき、ふと下り階段に目が移った。こんなところに階段が?今は地上だから、地下に続くのだろう。地下......。もしかしたら新聞で見た壁画にもたどり着けるかもしれない!地下は凶悪なモンスターが住んでいることもあると聞いているが、探索アイテムも回復アイテムもそろっている今なら突破できそうだ。少し怖いが、勇気を出して地下への階段を踏んだ。

つづく

22

緑の救世主3

冒険5日目。
貿易の旅に出てから、初めてのダンジョンだ。ダンジョンではモンスターが多数生息していると聞いていたが、ここに居るのはミミズくらい。まだやさしい方だろう。ピラミッドでなかったのは残念だが、お目当てのものがそう簡単に見つかるわけはないだろう。今日たどり着いたダンジョンでは、手前に鉄格子があり、奥には財宝が眠っている。なるほど、ここは財宝のダンジョンという訳か。ならば財宝はもらっていこう。昨日警察から賄賂の対価として受け取ったバールで鉄格子を破壊し、中の金品財宝をがっさりと持ち去った。初めてのダンジョン攻略にしてはうまくいった、よしよし。そう思ったとき、背後から声がした。
「緑色の君、もしかしてトレーダーかな?」
振り返ると、奇抜な格好の人間がいた。ダンジョン内で敵ではない人に会うとは珍しい。
「......はい、そうですが。どちら様ですか?」
「私はティムと申します。時空商人をしています。」
「商人?じゃあ売り買いでもするの?」
「いえ、私はあなたの時間を対価に商品を販売しているのです。」
「時間を対価に?どういうことだい?」
「あなたの回りの時間を1日分だけ止めて、その間の生命力エネルギーをいただきます。その対価として珍しい道具を差し上げます。」
そういうと緑色のごついドリルを取り出した。なるほど、これならばダンジョン攻略でいざというときに活躍してくれるかもしれない。
「じゃあ、お願いしてみるよ。」
そういうとティムはなにやら不思議な儀式を始め、気がついたら気を失っていた。

冒険6日目。
気がついたらダンジョン内で気絶していた。どうやら無事に「時間」の支払いができたようだ。約束通り、時空商人ティムから超電磁ドリルを受け取った。
「ありがとうございます。またどこかでお目にかかりましょう。」
そういうとティムは立ち去った。
さて、このダンジョンの宝も収穫できたことだし、ピラミッドの壁画を目指して次に進むとしよう。
途中ミミズやごろつきに絡まれたが、お金や借金の肩代わりでうまく対応し、さらなる地下へと続く階段を進んでいった。

続いては、ロボットトレーダーがいる遺跡にたどり着いた。古代人なのか、壁画に関する情報が得られないか訪ねてみたが、トレードに関係すること以外の問いかけには全く応じてくれなかった。仕方なく、適当に予備パーツ等を購入して、その場を後にした。
その後、重力が弱いダンジョンやなぜかサッカーボールが大量に破棄されているダンジョンなどを超えたが、ピラミッドや壁画に関する情報は得られなかった。
冒険を続けるうち、新聞で見た壁画が、その前からどこかで見たことがあったような気がするようになってきた。果たしていつどこで見たのか見当がつかない。そもそもピラミッドに行ったことすら無いはずなのだ。気のせいだと思うのだが、気のせいで済ませてはいけないくらいには強いデジャブの感覚に襲われていた。しかもその壁画には何か大事な意味があったような気すらしてくるのだ。新聞で見かけた、自分そっくりのヘビの絵が描かれた壁画。それが気になって、ここ数日は夜しか眠れなかった。まあ、ダンジョン内だからあまり関係ないけど。

そして翌日、遂にピラミッドにたどり着いた!

つづく

23
最、どう最近? 2022/09/03 (土) 21:58:52

タイムリープもの改め、ムカデとヘビの異色のコンビが己の運命へと立ち向かうジュブナイル小説(行数で引っかかるため、既に書いてある部分より短い後悔となります)

24
最、どう最近? 2022/09/08 (木) 21:24:00 >> 23
25
最、どう最近? 2022/09/22 (木) 21:53:55 >> 24
26
最、どう最近? 2022/09/22 (木) 21:58:25

というか第三話の途中(母について語るシーン)で謎の。が入ってますね 単純なミス

27

ギャグのヘビ貿易・ギャグ貿易
(| |)「名前のヘビ要素消えてるやないかーい」
( ◎ )「はっじまっるぞ〜!」

登場人物
(| |)(`| |´)ヘビ。ギャンブルと酒好きで、酔拳を体得している。あと免疫力がやたら強く、毒に耐性あり。世界中のレアな鉱石を集めている。
( ◎ )ミミズ。欲深いが、一行の中で一番常識的な感性を持っている。
金のためなら命を賭ける。
┌( ◉ )┐ムカデ。足くらいしかミミズとの差別化点がないので黒目になった。書くのがだるいから、『ムカデ「書くのがだるいってなんだよ!」』
みたいな感じで顔文字が省略されてたら察して。
金のためなら人の命を賭ける。

28

なんと、ヘビの顔文字の空白が消えている!
( | |)これで満足か?

29

空白が勝手に半角に  テスト  なるようだな。

30

あらためまして

ギャグ貿易

ある日
ヘビの実家にて
(   |  | )「あれ?...あれ?あれれれ??」
(  ´|  |`)「外に飾っておいた国宝が無いぞ?
飾っておいて、見た奴に拝観料として10000Gを請求する予定だったのに...」
(  ◎  )「噂通りの屑野郎だな!」
(   |  | )?「ん?今どこからか声が...」
(  ◎  )「しまった、バレる!」
(  `|  |´)「誰か家の影に隠れたな!出てこい!」
( ´◎  )「ちっ、ばれちまったか」
(  `◎)「逃げるが勝ちだぜ!あばよ!」
ザザーッ
(´|    |`)←FXで有り金溶かしたみたいなコンセント顔

31

ああ、あんなに苦労して手に入れた国宝が.........
ーーー
『デレレレレレ...デン!10点満点!パーフェクトな変顔です!』
(   ^  ^ )『やったーわーい』
ーーー
Σ(  |   |   )「はっ、現実逃避でつい変顔グランプリで優勝する妄想をしてしまった」
(♯ |   |)「あいつ...あれを取るためにどれだけ苦労したか知らんのか!!」

国宝は多くの罪を犯した人間(ヘビ)について周り、結果持ち主が犯罪者であることを広めてしまう呪いの鉱石であるが、とても美しい。そのため、多くの罪を犯してでも国宝を得ようとする者は多い。

ヘビのちっぽけな脳内に、国宝を取るまでの血の滲むような犯罪達が駆け巡った。
店員の注意を逸らしてバールでレジ抜きを試みるも失敗し、なんとか逃げるも砂漠内全ての店でブラックリスト入り。
メイドカフェに全裸で入ってわいせつ罪で逮捕されかける。
カジノでイカサマで勝ちまくるが酒を飲んだ勢いで自白してしまい出禁。
...碌な思い出が無いな。あんな国宝、取り戻さなくてもいいかも。
というか持っているだけで犯罪者確定なので警察から逃げ続けるヘビ生を送る羽目になる。
なんであんな物欲しがっていたんだろう。

実は国宝に取り憑かれていたのだが、本ヘビは知る由もない。

...うーん、国宝手に入れてからも野犬のウンコ踏んだり碌なことなかったしやっぱ奪われて正解だっt
(♯◎  )「おいいいい!!売ろうとしたら急に警察が出てきて追いかけられてるんだが!どうなってるんだ!?」
(   |  | )「あっ!さっきの...ゴホンどちら様ですか?というかなんですかその石ころ。あなたのものでしょう私は家に帰りますサヨナラ」
(  ◎  )「いま『あっ!さっきの...』って言ったよな!?
それでどうなってんだこれ!さっき国宝だとかなんとか言ってたがまさかこれ本物じゃ無いだろうな!?」
(  |  |)「本物だが?」
(  ◎  )「うわーーっ!?!?」ポイー
ミミズは国宝を手にゴキブリでもついたかのように投げるも、国宝は転がりながらミミズの手元に戻ってくる!(手、ないけど。)
Σ(  ◎  )「うわーーーーっ!?!?!?!?」
(  |  | )「国宝は罪を犯す人についてくるけど、無理やり奪われると今度はその人について行って罪を犯させるんだよね。って誰かが言ってた。」
(  ◎  )「そうすれば最終的に罪を犯す人についていく構図になるわけだ...って感心してる場合じゃねえ!助けてくれ〜」
(  ^  ^ )ニチャァ...
(  ◎  )「嫌な予感...」
(  ^  ^ )「頼み事をするときは、渡すものがあるよねえ〜?」
(  ◎  )「...真心?」
(   ^  ^)「金だよ」
(  ◎  )「やっぱりか...」